第18話 遅れて帰って来るのはヒーローの特権

午後4時


金髪のロングの男は一人、西京橋からかなり離れた下水道の中で、手をかざしながら立っていた。男の腕からは、たくさんの黒い謎の黒い物質が飛び散っていた。


「やはり、ここにいましたか。」


その声に反応をし、男は振り返る。そこには、証 氷柱がいた。


「貴方を、拘束します。ゴッドハザードの一人、ワームハザード」


『ワームハザード』そう呼ばれるようになったのは、軍事大国の人々全員が、ある日突然、黒いものに覆われ、白骨死体となった事件が起こった。死骸の傍にあった、黒い物質をよく見るとそれは、小さな虫の集まりだったと言う。そこからつけられた、名前が『ワームハザード』。


「虫を出すのは、やめて頂きましょうか。」


氷柱がそう言った後、すぐに男の手のひらから、虫が出なくなった。


「なるほど、昨日、虫が途中で出なくなったのは、お前のせいだったのか」


男は、ゆっくりと、氷柱の方に首を向ける。その眼は恐ろしいほど冷たい目をしていた。


「お前は、危険分子だな、ここで死んでもらう。」


男がそう言ったとたん、下水道の水から、まるで、龍のような形をした、大きな虫が現れた。


(なぜ、蟲が!?)氷柱は能力を封じたはずなのになぜ蟲が出てきたのか疑問に思った。しかし、すぐに(なるほど、あらかじめ出していたものですか)と推測した。


「『現状凍結』アークモード!!」すると、氷柱の両手から、二対の剣が現れた。更に、氷結能力により、下水道の水を凍らせ龍の動きを止め、二対の剣を投げ飛ばし首を掻っ切った。二対の剣は風を切り裂く勢いで氷柱の手元に戻って来た。


すると、男は、少し感心したようすで、「ほう、お前、なかなかやるな。」


そして、口元をにやけると「では、これと同等の強さの虫が複数いたらどうなるのかな?」


と、言った瞬間、壁から、姿は違うが先ほどの龍のような形をした大型の虫が十匹も出てきた。


「ッく」瞬く間に、一匹が襲い出してきた。氷柱は、虫の追撃をよけ虫の顔の上から、剣を突き刺し、虫を顔面から真っ二つに斬った。すると、2匹同じような虫が右、左、双方から出現して氷柱めがけて襲ってきた。


氷柱は、2つの剣を横にして、二匹の虫の追撃に対応をする、


2匹の虫は、剣に体を突っ込み、自ら、自分自身の体を破壊した。


残りの虫が、一斉に氷柱に襲い掛かって来る。


「現状凍結!!」たちまち、虫たちの水が凍り始め動きがわずかに止まった。それは、一瞬の時間だったが氷柱は、それを逃がさなかった。二対の剣の刀身を伸ばし、疾風の如く駆け巡る残りの虫の首を全て一刀両断した。


「なるほど、さすがは、副隊長格の実力を持つものだ、結構、俺の虫の中では、頑張って作った蟲なんだがなぁ。」


「作った?」


「おまえ、蠱術こじゅつって知っているか?」


「・・・・・なるほど、その名の通り、自分の虫たちを食い合わせて、作った、虫と言う訳ですか」氷柱はこの時、状況が悪くなったことを噛みしめていた。氷柱の能力『現状凍結』の弱点、それは、相手が自ら自身の能力を言うと、能力が二度と封じられなくなるのだ。ほのめかしたり、ヒントを与えたりするのもダメである、今回、ワームハザードが蟲術と自分の能力を明かした、そのことにより氷柱は蟲術によって蟲を生み出す能力を封じられなくなってしまった。ではなぜ最初に蟲を生み出す能力は封じられたか、それは恐らく最初は蟲術で作った蟲ではないからであろう。氷柱は蟲術を封じられなくなったことを悟られないように表情を硬くする。


「俺は、自分の体中のありとあらゆる虫を蠱術で、作りあげて来ている、因みに俺の虫の数は、無料対数匹だ。だが、どうやら、お前の、能力と俺の能力は相性が悪い。まさか、相手の能力を言い当てるだけで、その能力の一部を封印するとわな。だが」


そこで、周りから、ドズン!! ドズン!! と地響きがなったとおもうとと虫の這うような悍ましい(おぞましい)音が、一気に、氷柱の耳に走った。


「もうすでに、出してしまった虫と蟲術に対しては、お前の能力は効かないらしい。」


氷柱は、周りの、虫の音に集中をした。どこだ、どこからくる。


「お前に全て捌くことができるか?そして、俺が、出した虫の数が、4000兆匹だ。」


その瞬間、大量の虫が一気に氷柱にブワアアアアと襲い掛かってきた。


氷柱が、能力を使おうとした瞬間、虫たちのせいで見えない所から、ビュッ!! とでかい光線が放たれてきた。「何!?」氷柱は、瞬間的によけた。さいわい、光線は氷柱の体には、当たらなかった。「これを、よけるか、絶対、避けられないと思っていたが。」暗闇と虫の間からワームハザードが姿を現す。肩に、大口を開けた虫がいた。この虫がさきほどの攻撃を、と氷柱が思っていいると、「因みに、この虫は、俺の肩だけじゃない」まさか、「この下水道のありとあらゆるところに出している」すると、辺りから、先刻の光線が四方八方から氷柱を襲い掛かってきた。それと同時に虫たちも、氷柱を襲い始めた。


『現状凍結』!!と虫たちを凍結させながら、氷柱は光線をよけていく。しかし、不意に、氷柱の足を何者かが掴んだ。何だと思ってみると、足元には顔面がサソリのような虫がいた。


 見覚えがあった。あれは、自分が学校で黒腕の報告を交差から受けた時、廊下に出て行った時発見した化け物だった。(まさか、あれも!?)


「ツカマエタ」そう言って光線を放とうとした瞬間に氷柱はすぐに、能力で、凍結させて、虫を破壊することを考えた。しかし、「ツカマエタ」「ツカマエタ」「ツカマエタ」三体同時に、氷柱の手足を光線を出す虫たちが縛りついてきた。そして、ほぼ同時に光線を放とうとした。


「まずい」氷柱は、剣が届きにくい場所に蟲がいたため、すぐに、剣を遠隔で操り操り、三匹の首を掻っ切った。


「ほう、掴んでなくても遠隔で操ることもできるのか、だが・・・・・こちらの虫はまだまだいるぞ」


その途端、なん十匹もの大型の虫が大量の虫の数で見えなかったが、キュイイイイイイイン!!っと下水道全体から、光線の光らしきものが見えた。


「コレクターコール!!!」


氷柱の叫び声と共に、一気に全体からドガガガガガガガガ!!!!と光線の嵐が氷柱を襲った。






光線が放たれてしばらくたって辺りが見え始めた時、体に、やけどを負った氷柱の姿が見えた。「はあ、はあ、はあ」下水道は光線のせいで、元から外に近いと言うこともあり、辺りが焼き払われていた。


「ほう、あれだけの光線を食らっても、少しやけどした程度か、威力はかなり高いはずだが」氷柱は、体に限界がきたのか、地面に跪いた。まずい、今の所はギリギリで対処できていますが、このまま長期戦になると。こちらが不利になるのは明らか。なんとかしなければ。ちょうどその時、外から、ドオオオオオオオオオオオオン!!!!と言う轟音が聞こえた。何の音かと思ってると、「ほう、体からジェット機を出すところ、『スタンダード』までは成長したのではないか、これは、彼女は中々の素質があるな、そう思わないか?証 氷柱」とワームハザードが言ってきた。


この音は、闇さんが出している音?一体外で何が起こっているのでしょうか、いや、今はそれより目の前の相手に集中しないと、「やはり、私とお前の相性は悪い、お前は、まだ立ち上がる、お前は必ずここで、殺しておかなくてはならない。」


そう、いうと、ワームハザードは、周りの虫を手のひらの中に集めてその中で、虫を食い合わせ始めた。「蠱術でできることは、なにも生物をつくるだけでは無い、こんなこともできる」そう言った瞬間、ワームハザードの手のひらから、黒い光線が蓄えられた。「まさか、貴方は自分の虫を食い合わせることによって・・・・・」「もう遅い」黒い光線は、氷柱めがけて真っ直ぐに放たれた。


当たる!!そう氷柱が思った瞬間、







「スモーキングガン」


と言うこえがきこえたかと思うと、モワアアアアアアと大きな煙の塊がでてきたかと思うと、黒い光線を一気に飲み込み、そして、ワームハザードの方に煙とともに光線が向かい爆発した。


「ふう、なんとか間に合った。大丈夫か? 氷柱。」


あけすけに明るい声がした方向をみると、そこには、一人の左髪が炎のようなサイドテールをした女性が小さな木の板が二つに重なっているものをくわえながら氷柱に近づいてきた。


「どうして・・・・あなたがここに。」


氷柱が呆然としていると、煙の中から、体の半面がやけどを負ったワームハザードが言った。「まさか、貴方が来るとは、特殊警察課総副隊長 紅 紫杏」


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