第11話・魔王まあちゃん

「みんなーーーーーーーーー!! 今日はまあちゃんの単独ライブに来てくれてありがとおおおおおおおおお!! きゃは♪」


「「「「「「きゃは♪」」」」」


「みんなーーーーーーーーー!! 今日もまあちゃんに『ハラワタコール』を頂戴!!」


「「「「「ハラワタ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「「ハラワタ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「「ハラワタ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「「ハラワタ!!」」」」」


「きゃは♪ ありがとーーーーーーーーー!! 今日はみんなに大事なお知らせがあります!!」


「「「「「なーにーーーーーーー!?」」」」」


「まあちゃんには好きな人がいます!!」


「「「「「ブーーーーーーーーーーーー!!」」」」」


「いつもはファンのみんなを想って歌っているけど、この曲だけはその人を想って歌います!! 曲名は『好きなあの人はフルチン』です!!」


「「「「「まあちゃーーーーーーーーん!! 好きだああああああああ!!」」」」」


「私の心はいつも 満員電車 満たされた日々 通り過ぎて行くの♪


 走り出す青春は 交通渋滞 警備団に追われて 指名手配♪


 人間のハラワタ 真っ赤に染まる 私の手♪


 空に手をかざすと 滴る鮮血に にやけちゃうの♪


 でもでもでも きゃは♪


 でもでもでも きゃは♪


 彼が現れたの♪


 彼の手にはラブレター 鮮血よりも真っ赤な想いを込めて 私を誘うの♪


 恋のラビリンスは 魔王城よりも 複雑で 彼はフルチン♪


 でもでもでも きゃは♪


 でもでもでも きゃは♪


 そんな彼が好き 私の想いよ届け 不倫でも良いから 私に海老さんを見せて♪」


「「「「「まあちゃーーーーーーーーん!! 好きだああああああああ!!」」」」」


「ありがとーーーーーーー!! 今日も私がデザインした『人間は飲み物だTシャツ』を着てくれて!! とっ…………ても嬉しいーーーーーーーーー!!」


「「「「ハラワタ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「「ハラワタ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「「ハラワタ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「「ハラワタ!!」」」」」


「きゃは♪ ありがとーーーーーーーーー!! 二番歌うねーーーーーーーーー!!」


「「「「「まあちゃーーーーーーーーん!! ハラワタ抉ってーーーーー!!」」」」」



「パン屋でバイト セクハラ親父の 舐め回される視線 ムカついていくの♪


 募るストレスは 爆発寸前 お店の裏まで引きずって タコ殴り♪


 人間のハラワタ 警備団に見つかって バイトをクビ♪


 足元を見つめると 真っ赤な血の海 興奮する♪


 でもでもでも きゃは♪


 でもでもでも きゃは♪


 彼に会いに行くの♪


 彼の股間にはヤマウルシの葉 真っ青な表情の彼に願いを込めて チューをするの♪


 私の恋敵が お姫様でも 諦めないの いつか殺すわ♪


 だからだから きゃは♪


 だからだから きゃは♪


 そんな姫が大嫌い 私の願いよ叶って 不倫じゃ嫌なの 私にゾウさんを見せて♪」


「「「「「まあちゃーーーーーーーーん!! 刑務所でもライブをやってーーーーーーー!!」」」」」


「ありがとーーーーーーーーー!! みんなもギロチンにだけは気を付けてねーーーーーーーーー!!」


「「「「ギロチン・コ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「ギロチン・コ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「ギロチン・コ!!」」」」」


「きゃは♪」


「「「「ギロチン・コ!!」」」」」


「……ロクちゃん。俺を想って歌ってくれてるのに俺はライブ会場に入れないの?」


「……タケちゃん。俺たちがフルチンだからだよ。」


 至極もっともである。

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