足枷だらけの決勝戦

『さあ、いよいよ今年の【槍海大擂台そうかいだいらいたい】もたけなわ! 決勝戦の始まりですっ!! この一戦で、次の【槍海覇王そうかいはおう】が決まるっ!! その栄誉を争うのは……この少年少女達ですっ!!』


 茜色の夕空の下。【尚武環しょうぶかん】のすり鉢状の客席が最高潮に盛り上がる。


 術力によって拡張された游香ヨウシャンの声が、その大歓声を貫くように響く。


『【天鼓拳てんこけん汪璘虎ワン・リンフー選手、【六合刮脚りくごうかっきゃく宋璆星ソン・チウシン選手——武法の世界に輝くこの二人の新星が、覇王の座を巡って闘うぞぉぉぉぉぉっ!!』


 おおおおおおおおおおおおおおおお!!


 興奮と熱気と歓声が天井知らずに膨れ上がり、円形闘技場をびりびりと震えさせ、その中央で向かい合うリンフーとチウシンの耳を衝く。しかし、二人とも微動だにしない。ただただ相手だけを見つめている。


「……わたしね、もしかしたらって思ってたんだ。リンフー、きっと決勝まで勝ち上がってくるかもって。根拠はないけど、そうなるんじゃないかっていう、強い確信めいたものを感じていたんだ」


「ボクも……似たような気持ちだ、チウシン。どういう段階であれ、ボクとお前はまた闘うことになるって、確信みたいなものを感じてた。……少し違うな。覚悟していたんだ」


 言って、二人は相好を崩し、また真剣に表情を引き締めた。


「ここまで来るのはそれなりに大変だったけど、まだ見せてない技も残ってるの。この決勝に備えて、頑張って出し惜しみしたんだ。それを今出せるんだと思うと、ワクワクしてきちゃうかも」


 挑戦的な微笑を浮かべるチウシンに、リンフーは無言で頷きを返した。その無言の仮面の下で、緊張を帯びていた。


 左腕の痺れは、まだ治らない。きっとこの試合で左腕は使えないだろう。


 片腕が動かなくなったことで、術力生成が出来ず使えなくなった技がいくつかある。【頂陽針ちょうようしん】【移山肘いざんちゅう】【迅雷貫耳じんらいかんじ】【忽雷こつらい】【炸開さっかい】【旱地行舟かんちこうしゅう】……その他もろもろ。


 相手は大陸指折りの蹴り技使いの衣鉢を継ぎ、なおかつ並居る強豪達を打ち倒して決勝戦まで勝ち上がった掛け値なしの強敵だ。五体満足でも大変だというのに、腕一本使えないのではさらに勝率は下がるだろう。


 だが、それでも引かない。ここで勝負を降りるなんてできない。自分にできることを精一杯やる。


 この腕のことも言わない。優しいチウシンのことだ。言えば手加減するかもしれない。けれどそれでは対等の勝負とはいえない。


 男の意地だ。


 意地を張りつつ、勝利も目指す。


 難しい。だがやる価値はある。


 リンフーはすっと心を戦意で染めた。猛火のごとく燃え上がるのではなく、灰の中で長く根強く灯り続けるおきのような熱を秘める。


『——始めっ!!』


 游香ヨウシャンの号令によって、決勝戦の火蓋が切られた。


 瞬間、チウシンの姿が視界の中で一気に巨大化した。その片足の像が白光のごとく閃きを見せる。そんな蹴りの前兆をしっかりと「知覚」していたリンフーは、【游雲踪ゆううんそう】を刻んだ。無駄な動作を極限まで減らした「最速の一歩」によって瞬時に斜め前へ移動し、霞のような残像を蹴り穿たせた。


 チウシンの切り替えも早かった。おぼろじみた足さばきで軸足を踏み変えるや、横合いを取ったリンフーへ回し蹴り。銀細工のように美しくなめらかな美脚が大鉈じみた術力を秘めて弧を描き、再びリンフーの残像の首を断つ。


 蹴って避けて蹴って避けて蹴って避けて。


 息つく暇もない二人の攻防劇に、観衆は歓喜し、二人は互いに脅威を感じ合っていた。


 相変わらず奇妙で素早い歩法だと、相手リンフーを再評価するチウシン。

 少しでも「知覚」が遅れれば直撃という蹴りの速さに、戦慄を禁じ得ないリンフー。


 油断や過小評価は敗北を意味する。これはそういう試合だ。つまり互いが互いを評価すればするほど、試合は長引く。


 けれども、やはり不利はリンフーにあった。


「どうしたの! 攻めて来ないのっ!?」


 チウシンのその発言に、その不利の原因が内包されていた。


 攻められない・・・・・・のだ。


 チウシンに隙が少ないというのもそうだが、今のリンフーは使える技が限られているため、上手く攻められないのだ。いつも使っている技はだいたい封じられており、攻めることのできる機会が大きく限定されてしまっている。


 しかし、チウシンはそんな事情など聞かされていない。だから、攻め手を休めない。チウシンの方が激しく動いているものの、彼女には息切れも疲労も見られないし、汗の一滴さえ出ていない。【六合刮脚】が蹴りの武法であるということを証明されているような気がした。


 怒涛の蹴りの嵐をどうにか紙一重でやり過ごし続け、ようやくリンフーは今の状態でも突ける「隙」を見つけた。


 リンフーは現在使える技の一つ【纏渦てんか】で打ちかかった。左腕が使えないせいで多少威力が弱まっているものの、それでも暴風じみた螺旋の術力がリンフーの五体を覆い、突き出した右拳に力を与えた。


 チウシンがちょうど振っていた回し蹴りの術力と、螺旋の術力がぶつかった。少しだけ押し負けたものの、それでも竜巻のごとき力場は彼女の蹴りを巻き取り、軌道を大きく歪めた。


「っ……」


 蹴り足に引っ張られて重心の均衡を崩し、宙に浮いた状態となるチウシン。——-ここだ!


 【硬貼こうてん】。小さな体に分厚い城郭のごとき濃密な術力をみなぎらせ、足の浮いたチウシン目掛けて突進した。現在術力を弱めることなく使える数少ない技。宙に浮いていれば身動きは取れない。当たる!


 だが、直撃寸前に、チウシンの姿が消えた。


 日向にいるはずのリンフーに影が差す。


 見ると、チウシンは先ほどより高い位置に浮いていた。


 そんなバカな。チウシンは地に足がついていない状態だったのだ。そこから随意的に体の位置を動かすなんてことができるのか。まして、高い位置になんて・・・・・・・・


 それが可能な答えはたった一つ。とてもバカバカしい、けれどそうとしか考えられない回答。


 ——空中を・・・蹴って跳ぶ・・・・・


 そのバカバカしい答えは、目の前のチウシンが何もない虚空を踏みつけ、横へ跳ねたことで実証された。


「嘘だろっ……!?」


 上、下、横、斜め上下……空中を縦横無尽に跳ね回るチウシンの姿に、リンフーだけでなく、会場の人間の多くが目を見開いていた。


 ——【蹬風脚とうふうきゃく】。特殊な術力を足裏に集中させ、空気を「踏み蹴る」技。【六合刮脚】の高等技術である。


 まるで鞠が狭い部屋の中で跳ね返り続けるように、チウシンは空中を幾度も素早く跳躍し移動し続ける……かと思えば急激に進路を変えてリンフーへ突っ込んできた。背後からの回し蹴りだ。


「ぐぁっ!?」


 蹴りに宿った術力に殴られ、リンフーは大きく弾かれる。なんとか受け身を取るも、チウシンはすでに虚空を走ってリンフーに追いついていた。不可視の足場を蹴って上へ跳ねてから、真上の空気を蹴って急降下。きつい角度の軌道を描いてリンフーへと落下する。


 流星のごときその蹴撃をどうにか回避。そのまま肘を先んじて【移山肘】へ繋げようと——


(っ! そうだった、今は使えないんだった!)


 リンフーの動きが止まる。いつもの癖で【移山肘】を使おうとしてしまったことが裏目に出てしまった。無論、その硬直は隙になるわけで、


「でっ!?」


 回し蹴りを叩き込まれる。


 ほぼ無防備で術力の殴打を喰らったリンフーは、体ににじむような苦痛を味わいながら弾かれた。


 場外に転がり落ちそうになるが、体を這いつくばらせて勢いを殺したため免れた。


 壁虎(ヤモリ)のような情けない姿から立ち上がると、チウシンがゆっくりと歩み寄ってくるのが見えた。


 その足取りからは闘志が一切感じられなかった。


 両者の間合いが近づき過ぎない程度の位置で停止すると、彼女は微かな非難の響きを持った声音で言った。


「——その腕、どうしたの?」


 ……そりゃ、気づくか。


 もはや誤魔化しはきくまいとリンフーは観念し、事実を打ち明けた。


「動かなくなった。【麻手ましゅ】って技のせいで、あと数時間は役立たずだ」


 チウシンの瞳が揺れた。


「なんでそんな技を? 誰かと闘ったの?」


「実はな……」


 リンフーはここまでの経緯を話した。自分が味わった事と、のちにユァンフイから聞かされた事実を。


 すると、チウシンはいよいよもって悔しげに唇を噛み締めた。


「そんな、わたしのせいで……」


「お前のせいじゃないだろ。悪いのはたかが博打のためだけにこんな真似をした連中だ」


「でも……」


 なおも気に病むチウシンに、リンフーは少し厳しい顔を作った。


「まさかお前、「手加減してやろう」なんて思ってないよな?」


「っ」


「図星か。……言っとくがな、もし今手加減なんかしたら絶交だからな。お前だって、前に本気を出せなかったボクに言ったじゃないか」


 ——女の子だから、わたしを殴れない? もしわたしに殺意があっても、あなたはそうやって攻撃しないつもりなの? わたしが真剣にあなたと手合わせしたいって思っていても、あなたはその思いに応えてくれないの?


 かつて自分が口にした言葉に、チウシンは虚を突かれた気分になった。


 リンフーはゆるりと微笑んだ。


「大丈夫だ。お前のせいじゃない。これはボクの未熟さが招いた結果だ。もう少しボクが多対一に慣れていたら、こんなヘマはしなかった。それに……左腕が動かないから何だ? ボクがシンフォさんから教わった【天鼓拳】は、これくらいで満足に戦えなくなるようなショボい武法じゃないんだからなっ。……だから、お前も気兼ねするな。真剣にかかってこい」


 チウシンしばらくうつむき、黙りこくる。


 だが、やがてがばっと顔を上げ、憂いの取れた晴れやかな笑みを見せた。


「——うんっ。ごめんね、わたし……本気でいくからね」


 言うや否や、彼女は鋭く動き出した。迷いのない勢いでリンフーへ瞬時に詰め寄り、少年のすぐ後ろにある場外へ蹴り落とそうとしてきた。


 その容赦の無さに我知らず口元を緩めながら、リンフーは【游雲踪】でその蹴りから紙一重で逃れる。いつもならそこから反撃へ移るのだが、今の位置は場外にかなり近いので、距離を取ろうと闘技場の内側を目指す。【天鼓拳】の一撃なら、たとえ気絶せずとも大きく吹っ飛んであっという間に場外行きだ。どれだけ場外から離れても不利にはなるまい。


 しかし、リンフーと何度も模擬戦を重ね、かつリンフーの試合をすべて観察していたチウシンにその考えはお見通しだった。怒涛の蹴りを数珠のごとく絶え間なく連発する。すべて【游雲踪】で避けられるが、逃げられる方向を限定させて立ち位置を操り、場外のきわの付近にリンフーを縫い止める。……蹴った勢いの渦に相手を巻き込んで逃げられなくする【春嵐纏葩しゅんらんてんは】の応用であった。


「このっ!」


 折を見て【纏渦】。捻りを加えながら右拳を突き出すリンフーの五体を術力の渦が覆い、そこへ触れたチウシンの蹴りをバチッと押し返した。——この技が使えて良かった!


 足を弾かれて宙を浮くチウシン。だが先ほどと同様に虚空を足場にして跳躍し、宙で体勢を立て直すや、リンフーめがけて左かかとを矢のごとく繰り出した。


 もう一度【纏渦】で防御しようとするが、リンフーの螺旋の術力に触れる寸前にまた空気を蹴っ飛ばし、元来た方向へと跳ね返った。【纏渦】の術力が切れたのを見計らい、再び後方の空気を足場にして前へ跳ねた。往復して戻ってくる形で再び左踵が宙を疾駆する。


 どうにか回避が間に合うが、チウシンは【蹬風脚】を惜しみなく使い、空中という自由な世界から縦横無尽に蹴撃を走らせる。それでも懸命に避け続けるリンフーだが、上空からの攻撃に警戒した経験など皆無なため、上手く対処しきれず左上腕に一発もらってしまった。


「痛っ……!」


 どうせ動かないなら痛みも感じなくしろよ! と内心で文句を言いながら吹っ飛ばされる。転がった方向は場外。なので素早く受け身を取り、手足で摩擦を働かせて勢いを止めた。踵のすぐ後ろは場外へ続く段差。


 チウシンはなおも空中を跳ねて疾走し、リンフーを迎え打たんと急迫してくる。


 すぐ背後には場外。押されれば下へ落ちて負ける。


(だったら当然、攻撃は「真っ直ぐ」だよな——!)


 後ろへ押す・・・・・のなら・・・回し蹴りの・・・・・ような横殴り・・・・・・の攻撃はしない・・・・・・・。さらに、人は自分の勝ちが近づくと、緊張感を緩めて攻撃を単調にさせやすい。


 案の定、チウシンが踵を突き出しながら、斜線の軌道で流星のごとく飛来してきた。


 リンフーは天空に引っ張られたような勢いで急激に立ち上がった。左足で根幹のごとく大地を踏みしめ、右足の踵を垂直に蹴り上げた。【升閃脚しょうせんきゃく】。右踵に込められた莫大な術力が、チウシンの踵と衝突した。


「っぐっ……!?」


 二つの術力が均衡を保ったのはほんの一瞬。すぐにチウシンの術力が押し負け、勢いよく直上に吹っ飛ばされた。横へ吹っ飛ばなかったのは残念だが、場外から離れる時間は少しは稼げるはずだ。


 リンフーは出来る限りの速さで闘技場の内側へ走る。


 けれどチウシンは思ったより早く戻ってきた。あまり場外から距離を離せなかった。


 やはり、空中に吹っ飛ばすのでは効果が薄い。すぐに【蹬風脚】で持ち直される。


 だが、ここまでやればそんなことは百も承知。


 ちゃんと「策」はある。今さっき思いついた「策」が。


 むしろ、場外から離れようとしたのは、その「策」を隠すため。もし場外から離れずとどまったままだと、その「策」の存在を匂わせているようなものだ。


 その「策」には、「あの技」を使わなければならない。奇襲性と意外性を併せ持つ面白い技だが、同時にリンフーが最も苦手としている技。


 ——おそらく、好機チャンスは一度きり。


 目の前にチウシンが現れる。


 リンフーは、拳をおもむろに前へ出す。


 その掌中には、小さな空間があった。蚊が自由に通り抜けられる程度の、本当に小さな隙間だ。


 目の前の少女が疾く、豪然と回し蹴りを繰り出す。


 その瞬間、リンフーは掌中の空間を、渾身の力で握り潰した。


「っ、あっ……!?」


 リンフーの拳から発せられた術力が回し蹴りと衝突。刹那の拮抗ののち、蹴り足ごとチウシンの体を弾き飛ばした。チウシンは驚きと戸惑いがこもった短い悲鳴をもらす。


 拳という攻撃は「点」だ。回し蹴りのような「線」や、体当たりのような「面」と違って打点が小さい。「点」の拳をかいくぐって「線」の回し蹴りを当てることなど、チウシンには容易い事である。


 しかし、当たった。拳に接触して・・・・・・いないにも・・・・・かかわらず・・・・・


 そう、チウシンが蹴ったのは拳ではなく、拳から放出された【術力】そのものに当たったのだ。


 【雲吼うんこう】。


 ゼロ距離から一気に術力を爆発させて相手に唐突な衝撃を与える、奇襲の性質を持った技。


 だが【雲吼】の特性はもう一つある。それは——しばらくの間、術力がその場に「残響」し続けること。


 拳を握ったところを起点に、規模は小さいが一定範囲内に術力が響き渡り、作用し続ける。それに触れると、術力の圧力に押し返される。今のチウシンのように。


 リンフーが最も苦手としている技で、使用には多大な集中力が必要だが、上手く決まったことに安堵する。


 技の正体が分からないため、チウシンは見えない壁に押されたのかと戸惑いながら滑空し続けている。


 そこが最大にして最後の隙だった。


 今のリンフーが彼女に勝つには、場外を狙う他ない。そして不意を突ける技はもうこれしかない。


 リンフーは術力の残響を避けながら、最後の力を振り絞ってチウシンに急迫する。


 戸惑いから覚めるチウシン。


 しかしもう何もかも遅い。リンフーはすでに技を使っていた。


 【硬貼】。巨人の猛進を内包した小さな体が、宙を舞うチウシンにしたたかにぶち当たった。


 踏ん張るものがない空中であるため、チウシンの体は冗談みたいな速度で吹っ飛んだ。


 場外など優に飛び越え、楕円軌道で闘技場から大きく離れていき、やがて落ちて転がって、壁際でようやく止まった。


『そっ……』


 その様子を見て、游香ヨウシャンは言葉をつっかえさせる。


 深呼吸して気持ちを落ち着けてから、目の前の状況を読み取り、次の瞬間嬉々とした響きを持った声色で高らかに勝敗を口にした。


宋璆星ソン・チウシン選手、場外! ——勝者、汪璘虎ワン・リンフー選手!』


 高まる歓声。


『皆様、お疲れ様でした!! 今年の【槍海大雷台】優勝者は……今年の【槍海覇王】の称号を手にしたのは………………謎の武法【天鼓拳】を操る麗しき若虎、汪璘虎ワン・リンフー選手です!!』


 歓声がさらに高まりを見せた。


 ——汪璘虎ワン・リンフー!! 

 ——汪璘虎ワン・リンフー!! 

 ——汪璘虎ワン・リンフー!!


 これまでで一番かまびすしい、雲を突き抜けて蒼天の果てまで響かんばかりの大歓声、大喝采。


 ——【槍海覇王】汪璘虎ワン・リンフー!!

 ——【槍海覇王】汪璘虎ワン・リンフー!!

 ——【槍海覇王】汪璘虎ワン・リンフー!!


 それらを形作る言葉は、生まれてからずっと一緒に過ごしてきた、自分の名前。


 それを、大勢の人間に呼ばれている。


 栄光。


 これは、自分が己の技と工夫と度胸によって獲得した、栄光。


 自分はこの光景を、多分、一生忘れないだろう。


 リンフーは両手を上で大きく振りながら、全力で叫んだ。


「ありがとう!!」


 その大喝采の中のどこかにいるであろう、誰よりも大切な恩師に向かって。


 ——シンフォさん、あなたのおかげで、ボクはこんなに立派になれました。

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