第53話 修学旅行の準備

「ねぇ、みんな自由行動どこ回る?」

チカは修学旅行の自由時間の使い方を友人と話し合っていた。

「嵐山は行きたいよね。」

「清水寺は外せない。」

同じ班のサチとユカリもそれぞれ行きたい場所を提案してくる。


「でもさ、この制服での行動って止めて欲しいよね、自由行動ぐらい私服でいいじゃん。」

サチは不満そうにシオリをパンパンたたく。

「それにお小遣いももっと増やして欲しい、一万円じゃお土産買ったら終わっちゃう。」

ユカリは定められているお小遣いに不満がある。

「二人共、一応決まってる事だからね。」

チカは二人をなだめるのだが・・・


「それでチカは服装に不満は無いの?」

「それとお小遣いはいくらか持って行くの?」

二人から逆に聞き返される。

「え、えーと、私は・・・

・・・ねぇ、二人共、私自由行動中、迷子になる予定があるの、見逃してくれないかな?」

「チカ、迷子の予定はおかしい、何をするつもり?」

あまりに不自然な言葉にサチが聞き返してくる。


「家庭の事情で護衛の人が来るんだけど、ほらみんなと一緒に行動しにくいっていうか・・・」

チカは少し目を逸しながら話す。

だがサチはチカの本心に気付く。

「ふーん、ユウヤさんなんだ。

デートだから邪魔してほしくないだけでしょ。」

「えっ、わ、私ゆうちゃんって言ってないよ!」

「違うの?」

「・・・違わない、お願いサチ、ユカリ見逃して!」

「・・・ダメ。班員は一緒に行動する。

私達もついていく、そっちの方が楽しめそう。」

「そんなぁ・・・」

チカは涙目になるのだが、サチとユカリの説得は難しかった。


「なあチカさん、自由行動俺達の班と一緒に回らないか?」

クラスメイトのケンゴがチカ達と一緒に行動しようと誘ってくる。

「私達は私達で行動するから一緒に回れないよ。」

「それなら何処に行くか教えてくれよ。」

「それはまだ話し合いの最中なの、ごめんなさい。」

チカはケンゴ以外からの誘いも全て断わりながら修学旅行を楽しみにしていた。

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