第52話 シモは反省できる

「シモちゃん、気にしなくていいよ、騒がしくした俺達が悪かったし、それにヨシノブとはジャレているだけだから心配しなくても大丈夫だよ。」

俺は優しくシモに伝える。

「うにゅ、それでもごめんなさいなの。

ちゃんと謝らないとおかあしゃんに怒られちゃうのよ。」

「大丈夫、ちゃんと謝れているからね。」

俺はシモの頭を撫でる。


「ぶぅ、ユウちゃん。頭を撫でるのはこっちですよ。」

チカは不満気に頬を膨らませている。

「ほら、チカちゃん機嫌を直して、小さい子が精一杯謝ってくれてるんだからね。」

俺は頬を膨らますもう一人の子供の頭も撫でる。


「お、おまえ、やっぱりロリコ・・・」

「言わせねぇよ!」

俺はヨシノブをしばく。

「いてぇ!」

「やかましい!いらんことを言うな!

そもそも何でこんな時間に来たんだ?

まあ、俺は助かったからいいけど。」

俺は時計を見ると既に22時を回っていた、普段起きている時間とはいえ、人を訪ねるには遅い時間だろう。


「もう少し遅ければ明日にしたけど、ほら、シモがサリナ、あー俺の嫁さんに叱られてかなりしょげててな、それで少し遅いがお前なら良いだろうと訪ねて来たんだ。」

「なるほど、まあしょげているのは可哀想だしな。」

「まあな、それに謝る癖をつけるにもなるべく早くがいいし。」

「謝る癖?」

「シモはリョウの爺さんの弟子みたいなものでね、少々行き過ぎる所があるから・・・」

リョウの爺さん・・・

裏稼業の俺達にも知れ渡る、傍若無人の塊、関わると命が無くなるという裏では有名な人だ。


「俺は何も知らなかった、そうだろ?」

「知った事に変わりはない、今後もよろしく頼むさ。」

「いーやーだー!」

俺は否定するものの恐怖が一歩近づいて来ていることを感じるのであった・・・

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