第45話 媚薬の試食

クスリを渡した翌日チカがクッキーを作ってきた・・・

「はい、ユウちゃんたべて♡」

「チカちゃん、何を入れたのかな?」

俺は不審な目でチカを見る。


「な、なにも入れてないよ〜」

チカは目をそらして答える。


「はぁ、チカちゃん、媚薬を使ったら駄目だって言ったでしょ。

もしこれを食べて俺がチカちゃんを襲ったらどうするの。」

俺はため息混じりに言う、もしあの媚薬がヤバい物ならチカを襲ってしまう可能性がある。

俺は危険性を伝えたつもりだが・・・


「えっ?責任を取ってもらうから大丈夫だよ。」

チカはサラッと答える。


「・・・」

危ないところだった。

普通に食べていたら人生の墓場にまっしぐらだった。

俺は少し冷や汗が流れる。


「ユウヤさん、何してるんですか?」

居間に入って来たシュンがたずねてくる。

「シュンか、チカちゃんがクッキーを作ってくれたんだけどな・・・」

「いつも通り、仲の良いことで。」

シュンはクスクス笑いながら微笑ましい笑顔を向ける。

「・・・媚薬入りだがな。」

「・・・」

シュンの笑顔が固まる。

「え、えーと、仲のいいことで・・・あっ、ボク用事を思い出したな。失礼します。」

シュンは迷わず立ち去ろうとする。

厄介な事に巻き込まれるのを避けるためだ。

「逃げるな、お前もチカちゃんを止めろ。」

「それをするとお嬢に恨まれるじゃないですか。」

「それでも金子組、組員か!身体を張ってお嬢を守る気概はないのか!」


「俺はお嬢の気持ちを重視する派です。」

シュンはアッサリと俺を見捨てる。


「はい、ゆうちゃん口をあけて。あ〜ん。」

「へっ?あーん。」

シュンとの話に夢中になっていると横からチカがクッキーを食べさせてきた。

俺は癖でつい口を開き食べてしまう。


「うっ!しまった。」

「ユウヤさん、俺はお暇します!お嬢、お部屋でお楽しみを。」

シュンは脱兎の如く居間から逃げていく。


「ゆうちゃん、どうかな?ムラムラしてくる?」

「あーーー、って、何も無いな。」

「うそっ!効果なかったの!」

「あったらどうするんだよ、まったく。

こんな形で結ばれても仕方ないだろ。」

「だって・・・ユウちゃんの周り女の人多いし。」

「そんなことないよ、なんだかんだ言ってお金目当てが多いからな。

それに可愛いチカちゃんがいるのにって、俺は何を!」

俺は口から言わないような事が漏れる。


「えっ!それって、ユウちゃん。もう一回言って!」

「いや、そんな恥ずかしい事・・・

俺の心はチカちゃんの物・・・って、何を言ってるんだ俺は!」

「ユウちゃん!」

チカは俺に抱きついてくる。

「待ってチカちゃん、これはクスリの影響だ!」

「いいの、ユウちゃんの心が聞けたんだから。

さあ、お部屋にいこ?」

チカは上目遣いで見てくる。

「だ、駄目だって、まだ早い・・・」

「早くないよ、もう充分待ったから・・・

私の成長する姿と一緒にユウちゃんに捧げたいな♡」

チカは擦り寄ってきている。

俺は理性を総動員して、耐える・・・


ふと顔を上げると扉の前におやっさんと倉田が立っていた。

「・・・ユウヤ、親の前で大胆だな。」

「そう思うなら、娘を止めてもらえますか?」

「孫の顔が楽しみだ。」

「止めろって!」

止めない父親に抗議していると、おやっさんの横には鬼が完成していた。


「ユウヤ、チカちゃんに欲情するとはどういうことだ。」

「これはその、媚薬のせいでして。」

「お前!チカちゃんに媚薬を飲ませたのか!!」

「いえ、食したのは俺です。」

「ツベコベ言うな!その不純な性根を叩き直してくれる!!」

俺は倉田に首根っこを掴まれ、訓練所に送られる、その日の記憶はそこで終わっていた・・・


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