第41話 雪遊び

翌朝、俺とチカが朝食を食べようと食堂に行くと組員一同が整列させられており・・・

「昨日はお楽しみでしたね。」

全員が同じセリフを同じタイミングで言ってきた。

「・・・誰の仕込みだ?」

「おやっさんです、昨日の蹴りの罰だそうです。」

「あのバカオヤジは!!」

「そ、それでどうなんですか?昨日やっちゃいました?」

組員の何人かは興味津々に聞いてくる。


「やるわけないだろ?

中学生相手にしたらだめだろ。」

「ですが・・・」

「マナブくん、そのことについてはもういいかな?

私もあまり聞いてほしくないし・・・」

チカは明らかに不機嫌だった。


「おじょう、すいません。下世話な話でした。」

マナブ以下組員達は深く頭を下げる。

チカが不機嫌な事は珍しく、組員達は少し怯えていた。


「チカちゃん機嫌なおしてよ。」

「うー、ならキスしてくれたらなおしてもいいですよ。」

「いや、それはまずいでしょ?」

「まずくないですよ、キスぐらい小学生でもしてますからね。」

朝から頬を膨らませ、不機嫌アピールをしてくるチカの機嫌をなおすために俺は頬にキスをする。


「にゃ!」

ほんとにしてくると思っていなかったのかチカから思わぬ声が漏れた。

「ほら、しただろ。だから、組員達にあたるのはやめなさい。」

「ユウちゃん、もう一回してよ、今度は唇がいいな♡」

チカは自分の唇に指を当てて、おねだりをしてくるが、俺は指をチカの口に当て、

「だーめ、クチビルは大人になってからだね。」

「もうもう!いいでしょ、ねえユウちゃん。」


俺とチカのやり取りを見ていた組員は・・・

「マナブさん、俺たちは何を見せつけられているのでしょう?」

「ユウヤさん、イチャつくのはそれぐらいにしてください。」

俺はマナブに言われて、少し今までの言動が恥ずかしくなり・・・


「ゴホン!あー、たしかにまあ、おい、お前ら見世物じゃない、さっさと席につけ!」

俺は咳払いをして、組員達を散らす。

「ユウちゃんも席につこ。」

チカも恥ずかしくなったのか、俺の腕に顔を押し当てるにしていた。


朝食をおえ、今日の予定を確認する。

一日自由行動となっており、


俺とチカを含めて若い組員達は近くのゲレンデでスノボーを楽しむ予定だった。


ゲレンデにつくと俺達は一面に広がる白銀の世界に感動していた。

「ユウちゃん、すごいよ。」

地元四国ではあまり雪がふらず、ゲレンデの規模も小さいがここは山全体がゲレンデとなっており、俺とチカは感動していた。

「それじゃ道具を借りに行こうか。」

「うん♪」

俺達は荷物になるからと自分の道具を持って来ていなかった。

その為にレンタルを借りる事にしたのだが・・・


「おいおい、女連れで初心者かよ。」

「そんな情けない男を置いて、俺達と遊ばないか?」

高校生ぐらいの連中に絡まれてます・・・

「遠慮します。」

チカははっきりと断るのだが、中々離れていかない。


「君達、地元の子かい?」

「おっさんは黙っていろ!」

「てめぇに関係ないだろ!」

俺もやんわり制止しようとするものの、男の子達は聞く耳を持たない。


騒がしくしていた為か、スタッフの人が駆けつけて来てくれた。

「君達、お客様に何をしている、さっさと家に帰りなさい。」

口調からしてスタッフはこの子達を知っているようだった。

「チッ!邪魔しやがって、行こうぜ。」

スタッフに言われて離れて行った。


「お客様、申し訳ございません。」

「えーと、話しぶりからして知り合いですか?」

「ええ、近くのペンション経営者のお子様なのですが、ゲレンデに来ている女性に声をかける悪癖がございまして・・・」

どうやら初犯ではないようだった。


俺とチカはため息を吐きつつ、ゲレンデにでるのだった。

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