2022.7.22③ 熱せん妄?を病病看病

帰宅後、子どもは座薬で熱と痛みをやり過ごしながら、ひたすら寝ていた。

私の方も体調は相変わらずで、とりあえず頭が痛くなるとイブ。頭痛さえ軽減されればだるさや汗は忘れる程度。お昼も夜も元気に食して、普通に過ごしていた。


それがおかしくなってきたのが夜、23:35頃だ。

また熱が上がった子どもに座薬を入れて、しばらく様子を見ていたとき、なんだかだるさと頭痛のレベルが一段階上がったなと感じた。

検温する。 38.2。その日一日、37.0あたりをうろうろしていたのが、はっきりアップに転じた。


風邪…なわけない、コロナだなこりゃと、このとき確信した。まあ、そりゃ、罹るよね。これだけ子どものそばにいれば。


風邪だろうがコロナだろうが、我慢できるのなら熱は下げないほうがいいというのは常識だ。もう今からは寝るだけだしいいやと、何も飲まずにふとんに入ってみたものの、


……アタマ、痛い。


だめだ。熱はいいけどこの頭痛はムリだ! なんていうんだろうこれ。これまでに知っている頭痛より痛みが強いというわけではないけれど、ビシビシッと火花が散るような妙な痛み方。不快感が強すぎる。

結局またイブを服用。なんとか就寝した。



「……………」

何か声がしたようで、目が覚める。時計をみると1:28。

子どもの二段ベッドの下を借りて寝ていたのだが、声は上からだ。


「カイ、呼んだ?」

「…、で、………なんだよ」


意味わからない返事が返ってきた。なんだろう、寝ぼけた? 額に手を当ててみる。さっきの座薬がまだ効いているみたいで熱くない。少し見ていたら寝た。

私も薬がきいていて、頭痛もなく身体も楽だった。もう一度寝ようと思って横になったけれど、どうも子どもが気になって寝つけない。


2:00頃か、また上から「うー、う」という声が聞こえた。

のぞきにいくとまた意味のわからないことを言う。ちょっと気になってちゃんと起こすことにしたのだが、名前を呼ぶと「ん?」というもののちゃんと目が合うことはなく、突然大きな声で歌い出した。

ちょっと待って、これおかしくないか。

心配になり、もう一度「カイ」と呼ぶ。やはり「ん?」と答える。

「ちゃんと起きて。カイ」

目は開けた。でも起ききることはなく、どこかを見たまま、また目を閉じる。

これ……意識障害入ってる? それともただの寝ぼけ?

悩みながら見守っていると、少しして、また何事か言い始めた。


「カイ」

「んー?」

「カイと目を合わせたいんだけど、できる?」


言ってみると、彼はなんとなくぼやけた目でこちらを見た。このときは、続いて「頭が痛い」と言ったので氷を替えてあげた。

話は一応通じている。でもなんとなく不安だ。


2:53、迷った末に小児救急電話相談に電話をかけた。これがまた、つながらない。子どもの感染が急に増えたのをこういうところでも思い知る。


その後一時間ほどねばって、やっと電話がつながった。

相談すると「熱せん妄かもしれませんが、もう一度本人に話しかけて、名前とか、自分のいる場所とかをきいてみてください」とのこと。「救急車を呼ぶ状態ではないと思いますが、もしやはり受け答えが変なら、『自宅療養相談電話』のほうでこの時間に受診できる病院を紹介してもらってください」というアドバイスも。

不安だったが相談できて良かった。ネット上にはいろいろ情報はあれど、こちらの個別の状況を拾ってはくれないので、それだけを頼りに必要な対応の判断をするのは親にはかなりプレッシャーになる。専門家と電話で話せるのは本当に助かる。


結果的には、このあとちゃんと受け答えできるくらいに起きてくれた瞬間があった。

「大丈夫?」

「頭痛い」

「ここどこ?」

「うち」

様子に気づいて起きてきた夫と、今受け答えできているならすぐ受診しなくていいということで意見一致。


なんだかんだやっているうちに朝4:00を回った。夫がカイについていてくれるというので、薬が切れかけてきていた私は、それに甘えて寝た。


老老介護っていうけど、これって病病看病っていうのかなあ。私はまだ薬があれば余裕で動ける体調だけど、そうじゃなかったら大変だなあと思う。

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