第5話 大国主命 タケハヤ討伐に向かう

「タケハヤは上流にある国を治めるやつなんですが、いけ好かないやつなんですよ」

 兎が歩きながら話す。

「一番怖いのが大蛇か蛟を従えたって話で、水を自在に操るんです」

「水?」

 カイが聞く。

「そう、何度も洪水を起こしたんです。これ以上洪水を起こされたくなくば、八神姫を妾によこして国を譲れって言うんです」

「ふうん、八神姫は嫌なの?」

「そいつ、爺さんなんですよ」

「うへえ・・・」

 この国では大きい男性が好まれるらしい。大きくて強い男の子孫を残したいということらしい。兎から、あいかわらずヒロへアプローチが続いている。


 山が見えてきた。

「もうちょっとですよ。こっちです」

 ところが、ヒロとカイは山を見上げて足を止めた。

「どうしたんです?」

「あっちだな」「あっちだねえ」

 山を見ながら言った。

「ええ?」

「強い魔力が感じられる、結界だね」

 山の方に向かてしまう。

「ああ、待ってくださいよ!」

 二人の後を兎が追いかけた。


 夜の山。洞窟が見える。縄が張り廻られた洞窟。周りに見張りが4人いる。青銅と思われる剣を腰に下げている。

”どうするんです?”

 小さい声で兎が聞くと、ヒロが言う。

「大丈夫。カイ、あとよろしく」

「はいはい」


 ヒロは普通に近づいていく。

「おい!何者だ!!」

 見張りが怒鳴って、駆け寄ろうとした途端に次々と倒れていく。

 痙攣したかのように動いているので死んではいない。何かで縛られているようだ。

 ヒロは、何もなかったように洞窟に入った。


「大丈夫でしょうか?」

 兎がカイに聞いた。

 2人は洞窟につながる道に立っている。

「大丈夫なんじゃない?」

 カイは言った。

「こっちは大丈夫じゃなさそうけど」


 背後を見ると、大勢の男が向かってくるところだった。

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