おい、メイド。お前、今誰と喋っていた

「おい、メイド」


「え……あ、坊っちゃま……」


 学校からの帰り道、買い出しに来ていたのであろうメイドに出会い、気分が有頂天になったのだがーーーー


「お前、今誰と喋っていた?」


「………………え?」


 そう、なんとこの俺のメイドに話しかけている不届き者がいたのだが………。


「正直に話せ。あの男は誰だ?」


「え………と、仰られましても、私も誰か分からないので………」


「なるほど………」


 ナンパ……と言うやつか。


「…………ほう?」


 面白い。誰の女に手を出したかちょっと分からせ──────


「ちょ!坊っちゃま!」


「む、どうしたメイド。なぜ止める」


「坊っちゃまが到底人がしてはいけないお顔をしていたからです」


 何を言っている。俺はただ笑っただけだぞ?


「それに、俺の女に手を出そうとしたんだ………一度どのような目にあうか解らせておいた方がいいだろう……?」


「ーーーーっ」


 スっ、とメイドに話しかけていた男へ睨みを向けると、何か本能的に感じ取ったのが、体を細かく震えさせ、両の腕を摩った。


 ──────ほう?


「おい、メイド」


「………?はい、どうしました?」


「あの男。後で父上に調べさせろーーーあいつ、きな臭い」


 俺がそう言うと、先程まで薄らと赤くさせていた顔を引っ込ませ。


「………了解しました。直ぐに」


 と、直ぐに仕事人の顔に戻る。


 昔から、社交界に出ていたため、人を見る目が育っているため分かる。


 ………ま、明日の朝にはあの男の人生は終わっているな。精々地獄を見るがいい。


「………所でメイド」


「? はい、坊っちゃまどういたしま──────」


 俺は、メイドの前に跪き、手を取った。


「ここで出逢えたのも何かの縁だ。これからデートと洒落こもうではないか?」


「………………え!?」


 ぼふん!とメイドの顔が一瞬で赤くなる。ここは、そこそこ人通りが多いため、周りの視線をよく集める。


「喜んで、エスコートさせて頂こう」


「え……えとえと……あの、坊っちゃま……私、これでも仕事中なのですが──────」


「ならば、俺も付き添えば問題は無い。早く終わらせて、最近はやりのタピオカミルクティーでも飲もうではないか」


「え………あれ、あんまり美味しくな──────」


「そうか、ならばお前のために調べていたスイーツ店にでも行こう。本当は婚約指輪を渡す時に行きたがったが……」


「こ、婚約指輪ってなんですか!?坊っちゃま!?」


 翌日、昨日の男が朝のニュースで逮捕されていた。やっぱりな。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 俺もこんなメイド欲しかった………異世界転生すれば出会えるかな

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