第8話 過去世

ルフラは広い国だったので一週間経ってもまだ国の半分しか進んでいなかった。

相変わらず大通りから一歩入ると生気のない人や浮浪者がいる、という状況は変わらなかった。

ヒカリはどんな人にもほとんど偏見を持っていなかったので、その辺りは平気だった。

ヒカリは一週間この国に居て、またいくつか新たなことに気づいた。

それは大通りを行き交う人々はなぜか皆似ているということだった。

服装も似ているし、感情の伴っていない能面のような笑顔、しぐさ、話し方、どれも同じように見えた。

ヒカリはその違和感がだんだん気持ち悪くなってきていた。

皆いわゆる平均的な服装やしぐさ、話し方、行動をすることを心掛けているようだった。

ヒカリはその自己の無さや皆ロボットみたいに生き、目が笑っていない笑顔で挨拶し合う様子を見て段々心が萎えてきていた。

『正直怖い。』

『つまり綺麗な大通りを行き交う人はいわゆる普通の人。しかしこの人達の表情は怖すぎる、皆同じで品番が違うだけのアンドロイドみたいだ。この国ではこの人達が国を動かしている、そりゃ抑鬱も自殺も一向に減らないわけだ。だってこの人達こそ心が病んでいるんだから。』

『この人達が自分のしんどさに気づき、自分を省みない限りこの国は変わらないのかもしれない。こんな自己を押しつぶすような社会、耐えられないのが普通だよ。』

ヒカリは大通りを忙しく行き交う人達をなんとなく観察しながら、そんなことを考えていた。

『だめだ、考えすぎたら飲み込まれる。ご飯食べよ。』

ヒカリはなんとかマイペースさを取り戻し、大通りから離れ路地裏の小汚いパブのようなところに入った。


「いらっしゃい。」

マスターらしき人がヒカリを珍しそうに眺めながら声をかけた。

ヒカリはカウンターに座り、「とりあえず肉が食べたいです」とマスターに伝えた。

店にはヒカリ以外に一人、数席離れたところに背中の曲がった男が一人いるだけだった。その男は昼間から一人で酒を飲んでいた。

ヒカリが何気なくその男を観察しているとマスターが声をかけた。

「彼はよくここに来る常連さんでね、いつもあの席に座るんだ。あの輪廻の国カソリの出身らしくてさ、たまに他のお客さんに祖国のグチを言ってて。」

マスターは最後の言葉を、困ったもんだとどこか温かみのある困り顔で言った。

カソリとはルフラよりさらに西にある国で、輪廻転生を信じ独自の価値観を持っている国として有名だった。

その独自性から他国の人間はあまり近づけず、カソリに偏見を持っている人間も少なくなかった。

ヒカリはもう一度その男を見た。

マスターの言葉が聞こえていたのか視線を感じたのか、男が振り向いてヒカリを見た。

「なんだぁ?にいちゃん、俺になんか用か?」

ケンカ越しの言い方だった。

「あ、いえ、すみません。」

そう反射的に謝ったが、ヒカリはこの男に興味があったので言葉を続けた。

「今マスターから、あなたがカソリのご出身だと聞いたのですが本当なんでしょうか?もし差し支えなければ、少しお話しを伺いたいのですが。」

男はヒカリの丁寧で配慮に溢れた言い方と控えめな笑顔にショックを受け、「あぁまぁ…」と調子を崩したように答えた。

どうやらこんなに丁寧に話しかけられたことがなかったようだ。



     

数十分後…

「あの国はクソだぜ、クソ!最悪だよ!自分があの国の出身だって考えるだけで毎度さぶイボもんだぜ!」

…男は十年来の友人のように打ち解けていた。

なんとも品のない言い方をする男だったが、その気持ちいい程のからっきしの性格にヒカリは思わず笑ってしまった。

「おいおい笑い事じゃないんだって!お前も行ってみりゃわかるよ、あの国はクソだってな!」

ヒカリは、今日で一生分の「クソ」を聞いような気がしながら、どこか吞気にその場を楽しんでいた。

「だって考えてもみろよ、過去世で夫婦だったか知らないが何が悲しくてムキムキなおっさんと一緒に住まなきゃいけないんだ?」

「え?なんでおっさん?」

「前の人生で夫婦だったんだと。まぁ俺が男で向こうが女だったみたいだけど。俺はそんなもん覚えてもいないし、ある日ムキムキのおっさんが過去世で夫婦だったからまた一緒に暮らそうって言ってきた時の俺の衝撃がお前わかるか!?雷に打たれたね、そして悟った、あぁ…これが、悲劇ってやつか…ってな。」

ヒカリはうっかりムキムキのおっさんがひらひらのエプロンを着て、笑顔でこの男を出迎える光景を想像してしまい、今食べた肉が逆流しそうになるのを必死で抑えた。

「あぁ…そりゃ確かに、悲劇だ…」

二人は遠い目をして、何か切なげな哀愁を漂わせた。

「まぁそれが我慢の限界でさ。」

男は不細工に肩をすくめてみせた。

「俺はあの国を出た。だが別にそれだけの理由じゃない、あの国は、本当に…」

ヒカリは「本当に…」の後が聞き取れなかった。

男は消え入るように言ったかと思うと、その言葉と感情を飲み込むように酒をグイっと飲んだ。

ヒカリは男の表情が変わったことに気づいていたが、しばらく黙っていた。

きっと笑い話にできないような、この男が生きて感じてきた大きな孤独と悲しみの混ざった怒りを、その疲れた横顔と虚ろに漂う目から感じた。


「あんたは生まれ変わり、過去世なんか信じないだろう?」

品のない男が自嘲的にそう言った。

「いや、そうでもないですよ。」

「えっ!?」

これは想定外の返答だったのか、品のない男は驚いて酒を思いっきりヒカリにぶっかけた。

「わぁ!すまねぇ!…いや…驚いた…え?」

男はプチパニックに襲われる程衝撃だったらしい。

「え?じゃあ生まれ変わりを、…俺の言うことを信じるのか?」

「はい。あ…いや…ん~…ちょっと違うかな、僕は信じているというより、それが存在している可能性を知っているだけなんだと思います。」

品のない男は開いた口が塞がらないとはこういうことだ、という表情をしていた。

「存在している可能性を知っているって、どういうことだよ?」

ヒカリは男がぶっかけた酒を拭きながら答えた。

「信じるというのはあるのかないのかわからないけど、あるはず。ということでしょう?僕はそれとは違って、あるかもしれないけど、あるのかないのかの議論は別に重要ではない、という感じでしょうか。」

「…つまりあるって思ってるってことか?」

男は目を見開いてヒカリを凝視した。

「…まぁ、そうとも言えますね。」

「っなんだよ~!早く言えよ~」

男はヒカリの肩を思いっきりはたきながらそう叫んだ。

あまりにも強くはたかれたので、ヒカリは自分の肩がとれたかもしれないと本気で心配になりさりげなく確認した。

「いや~そうか~まさかこんなところに過去世を知ってる奴がいたとはね。いやまぁあんたも飲め飲め!」

「あ、僕はいい…」

ヒカリの言葉を遮って、酒をヒカリのコップに注ぎながら男が質問した。

「しかしあんた、なんでまた過去世を知ったんだ?東から来たんだろ?あっちには大国のアマネとか軍国主義のイライザとかしかないだろう?あ、それか少数部族でそういうとこが東にもあんのかい?」

「いえ、僕はイライザ出身です。もともと軍の人間で。」

「えぇえ!?ホントか!?イライザなんて超現実主義の国ってイメージだったけど。」

男は半分椅子から落ちながらそう言った。

「そうですね、まぁ過去世がどうとか考えていたのは国中探しても僕だけだったと思いますけど。」

ヒカリはそう言って笑ったが、今度は男が笑わなかった。

「は~…あんたなんか…いやまぁ…で、なんで過去世を知ったんだ?」

「ん~そうですね、理論として最初に知ったのは十五、六の頃でしたね、カソリの有名な作家シヴァの本を読んだのが最初です。」

男の顔がパッと明るくなった。

「うお~!お前さんシヴァ知ってんのかい?」

男は興奮して声のボリューム調整機能を失ったらしい。

ヒカリは耳がじんじんした。

「いや、嬉しいね~!シヴァはカソリのスターだからね。」

クソクソ言っているけど、実はこの男故郷大好きなんじゃ…と思わずにはいられないヒカリだった。

「シヴァの過去世の理論はすごく体系的でわかりやすく、矛盾がない。」

「くあ~お前さん話せるね!」

そう言って減ってもいないヒカリのコップにまた酒を注ぎ足した。

「シヴァの本は結構衝撃でしたね、今まで自分が捉えていた世界と全然違う世界がある可能性が出てきて、何よりそれが自分が今まで疑問であったこと、納得がいかなかったこと、説明がつかなかったことに答えを出してしまったんだから。」

ヒカリは饒舌になっていたが、それはこの男に話しているというよりももう一度自分に確認し言い聞かせているような感じだった。

「当時の僕の一番の疑問は、なぜ世界は平等ではないのかということでした。一生贅沢三昧をして生きる貴族もいれば、大人にもなれず亡くなっていく子供もいる。逆に貧乏でも家族に恵まれ幸せに生きる人間もいれば、お金があってもずっと怖れに苛まれ不幸な人生を送る人間もいる。世界がこんなに不平等なのはおかしいと思っていたんですよ。」

男は自分の興奮に少し疲れたのか、片肘をカウンターについてヒカリの話しを聞いていた。

「は~なんかめんどくさいガキだったんだな、お前。けど俺はお前好きだ!」

「あははっ。」

ヒカリもこの裏表のない男のことがだんだん好きになり始めていた。

「いやいやほんと、十五、六歳の悩める少年にはある意味救いだったんですよ。何度も人生を繰り返し、その度に新しいこと、もしくは前回の人生でやり残したことを学んでいく。全ての要素を学ぶまで、あらゆる立場、身分、環境で数え切れない人生を生きる。だから結局皆平等なんだって。」

「なるほどね~救いか。俺は生まれた時からその考えが当たり前だったからな~」

ヒカリは男が返す言葉をなんとなく聞きながらシヴァの本のことを思い出しいていた。

「でもシヴァの本の中で、なかなか理解できないところがいくつかあったんですよ。」

「理解できないところ?」

「はい、もし輪廻転生が事実だったとしたら僕達の…魂?の流れは直線ですよね、時系列に沿って進むと考えるのが普通。しかしシヴァは過去世は時系列ではないと言っていました。」

「俺も詳しくわかっているわけではないが、俺達が経験している過去世の感覚、これは記憶や感覚、感情として俺達の中に存在するが、その人生を実際に生きていたとは限らない、ということだと思う…というかお前さんは過去世は理論で知ってるだけか?」

「あ、いえ…」

「え?お前さん過去世見んのか?」

「まぁ…夢でちょいちょい。」

「夢でちょいちょい!?何だその軽い言い方!」

ヒカリの軽すぎる言い方に男が笑った。

「夢で見るってことは映画みたいに客観的に見てるってことか?」

「いえ、実際に経験し体感しています。現実かと思うくらいリアルですね。たいてい飛び起きて過呼吸か吐き気がします。」

そう淡々と語るヒカリに男はまたあんぐりした。

「おいおいおいおい…あんたどんだけタフなんだよ…なにがちょいちょいだ、がっつり見てんじゃねえか!」

驚いてのけ反っている男を見て今度はヒカリが笑った。

「ははっまぁそうですね。最初はパニックになりましたけど、だんだん自己処理できるようになってきて、最終的には夢の中でこれは過去世の夢かなと気づいて、起きた時に改めて解釈できるようにちゃんと覚えておこう、と思うぐらいになりましたよ。」

「…おいおいおい……玄人がいたよ…」

「あははっ玄人って!」

「いや~あんたやるな~…というかよく一人でそこまでできるようになったな~尊敬するよ。」

男が驚嘆するような、ヒカリの苦労を察するような顔をしたので、ヒカリはそれに答えるように微笑んだ。

「でもさっきの話しだと、今まで夢の中で体験してきた過去世は実際に生きていたか定かではないんですよね?あんなにもリアルなのに。」

「俺もそこはよくわかってねーんだ。でも確実に言えることは、過去世、魂の歴史は直線ではないということだ。俺達はその人生の記憶を死の際に魂、…意識と言った方がわかりやすいか、意識に刻み込む、そして意識は人間の全体意識へ帰っていく。」

「全体意識。」

「そうだ、全ての人間の過去、今、そして未来までも、人類全ての記憶が詰まった全体意識。まぁでっかい図書館みたいなもんさ。」

「なるほど。」

「で、俺達が過去世を見る時、個人の記憶を見てるのか、この図書館の資料を見てるのかは定かではないということだ。…というかそもそも、個人の魂の記憶ってあんのかね?人生が終わるたびに記憶を全部図書館に提出して、まっさらに戻んのかね?」

突然男がヒカリに質問したのでヒカリは一瞬固まった。

「個人の魂の記憶…ん~確かに今言った、記憶の図書館から今自分が必要な資料、現実で起こっている問題を解決するヒントとして資料を拾ってきて、過去世として見ているという理論の方が僕も納得できるんです。しかし、その理論では一つ説明できないことがあるというか。」

「説明できないこと?」

「はい、前にどこかで会ったことがある、と思う人間がいませんか?その人達と実際過去世で会っていたとしたら、個人の魂、意識が直線で進んでいて、よく別の同じ魂の直線と交わる…と考える方がわかりやすいんですよ。」

「そう、それなんだよ!俺も思う。何度も何度も親だったり子供だったり夫婦だったり親友だったり近所のおばちゃんだったりで同じ魂に会うんだよ!」

「あ、やっぱりですか?」

「あぁ、何度もね…」

男は少し複雑そうな顔をした。

「そうなるとやっぱり図書館説より直線説の方が説明がつくような。」

ヒカリはそう言って自分の考えの世界に入っていくような顔をした。

男も別の方向の何もない一点を見つめて考えを巡らせていた。

「でも、シヴァが言ってたよ、過去世の仕組みはあまり重要ではないって。過去世や意識はこの現実の三次元の世界に生きてる俺達には理解できない、四次元…それ以上の世界なんだって。」

ヒカリはこの言葉を聞いて少しハッとした。

「本当ですね、私達はこの現実に生きている限り、理解できないし理解する必要もないのかも。」

「だな、お前さんの言葉を借りて言えば、図書館説か直線説か過去世の仕組みがどっちかの議論は特に重要ではないってやつだ。」

男はヒカリの真似をしてちょっとかっこよく言ったつもりらしかったが、まったく似ていなかったのでヒカリは曖昧な顔をした。


「でも本当は…いや…」

ヒカリが何か思い詰めたような顔をして言葉を言いかけてやめたので、男は気になってヒカリを軽く小突いた。

「なんだよ、気になるだろ言えよ。」

「はい、でも本当は…僕は時々自分の過去世の記憶が自分のただの妄想で、どっか頭か精神がおかしくなって幻覚を見てるんじゃないかと不安になる時があるんです。」

「あぁ、そうだな、俺もだ。」

「え?あなたもそんなこと思うんですか?」

ヒカリは意外な返答に不覚にも驚いてしまった。

「なんだよ、意外か?俺だって不安になるさ!自分が見てたり感じたりしてるのは自分が都合よく作り出したものだったり、それこそ頭がおかしくなっただけなんじゃねーかってさ。」

「やっぱり思いますよね。」

「思うよ。でも俺の周りにいたカソリの人間は自分が見ているものを疑うことを知らない連中がほとんどだった。まぁそれでいいんだろうが、俺はそれが疑問でな、なんか盲目的に過去世を信じてる感じが嫌になっちまったんだ。」

ヒカリはこの男の繊細さに少し唖然としながら聞いていた。

「でもやっぱりどうしても、この人生以外の人生のイメージや感覚があるのは確かなんだよな…」

「そうですね、このイメージが本当に過去世であるにしろ、ただ自分が勝手に作り出したイメージにしろ、事実自分の中に存在して、僕達に影響を与えていることに変わりはありませんからね。」

そう言ってヒカリは少し微笑んだ。

「結局さっきの話しに戻りますね、過去世があるかないかどっちかの議論は重要ではない、ただ確実に自分の中に存在しているイメージとどう関わるか…ですかね。」

「だよな、やっぱりあんた話せるな~」

男は嬉しそうにそう言ってまたヒカリの肩を思いっきりはたいた。


「お前さん、俺の話しを聞いてくれるか?」

しばらく別の話しで盛り上がった後、男が急に真面目な顔になってそう言った。

「なんでしょう?」

「カソリは実は国の中で完全に東の地域と西の地域とで分かれていて、同じ国と思えない程違うんだ。」

「そうなんですか?それは初めて知りました。」

「まぁ他の国の連中はカソリを気味悪がって近づかないし、国交もほとんどしてないから、国の内情は知られてなくて当然だ。だがカソリを出て改めて思ったよ、大抵皆カソリを変人パラダイスだと思っているんだ。カソリ出身だとバレるとあからさまに避けられるしな。」

そう言って少し寂しそうな悔しそうな顔をした。

「…そうだったんですね。」

ヒカリは真っ直ぐ男を見ていた。

「で、俺は東の地域で生まれて育った。東は治安も良くてわりといい形で過去世と付き合ってるんだ。大抵皆ある程度の年齢になったら過去世を思い出し始める。しかし東に生まれる時点で大きなネガティブな過去世はすでに解決済みで、いくつか自分の成長に必要な過去世を体験し、大人になるとそのうち過去世で深い縁があった人間と出会い結婚する、というのがいわゆる普通の人生なんだ。」

「東に生まれる時点で大きなネガティブな過去世は解決済み、というのは前の人生で過去世と向き合い、昇華できたっていうことですか?」

「そう、東に生まれる人間は全員、過去世であらかたの過去世と向き合ってきた。…なんかよくわからん言い方だが。」

男は自分で言って自分で首を傾げていた。

「でもだからこそこの地域を選んで生まれてくることができるんだ。」

「地域を選んで生まれることができる?」

「わかりにくいか?まぁじゃあちょっと西の地域の話しも聞いてくれ。西の地域は過去世が悪い方に影響してる。実は西では犯罪や暴力が横行していて親殺しや子殺しも多い。夫婦間や友人間もな。」

「えぇ!?そんな激しいレベルなんですか?」

「あぁ、過去世で傷つけられた、殺されたって意識が強く残っていて、どうしてもその方向に引っ張られて最終的に行動にまで至ってしまう。」

「…確かにそうなるかもしれないですね、昔殺されたという心の傷や怒り、恨みは消えない…でも西の人達も過去世を思い出すんですよね?それとも衝動だけしか残っていないんですか?」

「ん~そこは俺もよくわからないところなんだが、やっぱり全く過去世の存在を知らずに感情と衝動だけ意識に焼きついていて、頭では理解できないけど駆り立てられるって奴もいれば、過去世は理解して、でもだからこそ許せなくて自ら行動に移す奴もいる。」

「なるほど。」

「だが西の人間に共通しているのが、自分が一つの立場しか経験していないと思っているところだ。」

「一つの立場。」

「つまり、加害者か被害者か。」

「加害者の記憶が強いと罪悪感に苛まれ続ける。それが限界にきたら自分を殺したくなって自殺したり、社会へ怒りを転嫁させ犯罪に走ったりする。」

「…罪悪感が怒りに転嫁か…確かに罪悪感を感じ続けると自己否定、自己卑下に陥る、その自分自身への抑圧はやがて恨みへと変化する場合がありますからね。」

「そうだな。そして被害者はまぁわかりやすい、前の人生で傷つけられた、だから復讐したいんだ。」

「…」

「しかしこのどちらかの立場に固執している限り、永遠の負のループから抜け出せないんだよ。誰しも被害者も加害者も経験してきたんだと気づかない限りね。」

「そうですよね、僕だって加害者の時もあれば被害者の時もある。どっちの立場も経験している。」

「でもあんたはそれに気づき、自分を省みることができてんだ。自分を省みることができ、変わる決心をし、自分を許し怒りを捨てて、負のループから抜ける努力をした者は西の地域を抜けられる。」

「なるほど。でも頭ではわかっていてもとても難しいことですよね。」

ヒカリはうつむき加減に自分の何かを思い出すように言った。

「あぁ…被害者の過去を癒すのも、加害者の過去を許すのも、同じようにとても難しいからな。だけどやっぱり、俺は何度も同じことを思う、この両極は二つで一つであって、両極が統合した時初めて俺達は純粋に今を生きられるようになる。」

「両極の統合か。」

「あぁ。」

二人は神妙な顔で同時にコップを傾けたが、ヒカリは男に酒を入れられたことを忘れていたようで、驚いてむせた。

男も自分がヒカリのコップになみなみと酒を注いだことを忘れていて、不思議そうな顔でヒカリを見た。


「しかし親子の縁ってのは深いと思わないか?うんざりするぐらいさ。」

男が突然、もううんざりというようにそう言った。

「東出身の俺でさえそう思うんだぜ?西の連中はよくやってるよ。」

「やっぱり親子の縁が一番濃いですよね、いい意味でも悪い意味でも。」

「あぁ。」

「…でもそれって…」

ヒカリはそう言いかけて何かを考えているのか斜め下を見て固まった。

「何だ?」

「僕は子供は親を選んで生まれてくると思っています。意識だけの段階で一番次の人生で学びたいことをスムーズに学べる親を選んでくるというか。」

「あぁ、俺もそう思うよ、で?」

「でもその親との縁が、西の地域の人達みたいにネガティブな方に深くても、その課題をクリアしたいからあえてそこを選ぶ…」

「?そうだな。」

「でも意識だけの段階の思いは人間の体に宿った時点で一度忘れ去られる…忘れ去られるから自分がこの親を選んできた目的も意味も気づけなくなって、ネガティブな部分にのみ振り回されてしまう。」

「おぉ。」

「でも人間は意識とは別の衝動として、人間という生物としての本能も持ってますよね。」

「うん。」

男はヒカリがどこに行き着きたいのかまだわからなかった。

「子供は親が全て、どんな最悪な親だって百パーセント愛している。なぜならそれは生き残るために養育者に愛着を持つという人間の本能だから。」

「だな。」

「どんなに親を憎んで離れたとしても、心の中から親が消えることはない。」

「おうとも。」

男はそう言って一度大きく頷き、「で?」という顔をした。

「…ということは、私達はその本能さえ計算に入れて、親を選んでいるってことですかね?」

「…え?」

「だって人間である限り本能には逆らえません。だからあえてそれを利用するんです。」

「…」

「つまり、私達は親との抗いようのない血縁にいつまでも縛られている気になっている。でもそれを、それこそを、奥深くで望んでいたとしたら…?」

「…え?」

「つまり意識は、私達は、あえて退路を断つ程、この親との関係性を解決できない可能性なんて微塵も考えていないということになりませんか?」

「…なるほど。」

「私達は、私達の自我(心と思考)が課題としての苦しみや痛みを乗り越えていける可能性を信じて疑ってないということです!」

ヒカリはそうに違いない!というように意気込んで男を見た。

ヒカリの勢いに押された男は少しのけ反って答えた。

「結論まで長かったな~…いやでも、あんたもシヴァと似てるって思ったよ。」

そう言って男はニヤッとした。

「え?僕がシヴァに?」

「あぁ、あんたの今の考え方は、意識も、自我も、人間の本能も存在する全てを肯定する考え方だ。つまり全てが互いに補い合い高めあっている、ということだろ?」

「そうです。」

「カソリの連中は、東の奴も皆良い奴だ。だがどこかで気づかないうちに何かを排他している。俺はそれが耐えられなくなって国を出たんだ。」

「何かを排他。」

「あぁ、俺がシヴァのファンなのは、今のあんたの考え方のように全てを肯定する考え方をしているからなんだ。」

「シヴァはいのち、心、体それぞれが独立した意思を持っていることと、その上でさらにお互いに信じ合って高め合っている関係を説いた。その説の根源には何があったと思う?」

男は真剣に聞いているヒカリの顔をチラッと見て、続けた。

「シヴァの、人間の全ての要素に対する尊敬の念があったんだ。」

「全ての要素を…尊敬…」

ヒカリは感慨深げに繰り返した。

「あぁ、そしてその思いは人間にも反映された。シヴァはどんな人間でも肯定した。西の人間でさえその全てを受容した。」

ヒカリは十五、六歳の頃始めてシヴァの本を読んだ時のことを思い出した。

当時のヒカリにとって過去世の理論は奇抜すぎて受け入れるのは難しく、今までの自分を否定されるような気持ちになって抵抗し葛藤した。

しかし、やはりその本を読まないことは出来なかった。

それはあまりにもその本が誠実で、この世の全ての人間全てのいのちへの尊敬の念と愛で溢れていたからだった。

「しかしなんでシヴァがそんなことができるのかって皆不思議に思った。全てを肯定するなんて、もう人間の域じゃないと思っていたんだ。いくら過去世と向き合い乗り越えてきた東の人間でも、自分はその域にはなれないと思ったんだよ。」

「それはそうですよね、全てを肯定するなんて僕だって到底できそうにない。」

「だよな、でもまぁ…あっ!」

そう言って、男は突然思い出した!という顔になった。

「どうしました?」

「確かシヴァが著書の中でそのことについて書いてた部分があったのを思い出した!ちょっと待ってろよ。」

そう言って男は自分の横に置いていた、え?岩?と思う程茶色く汚れた自分のカバンの中をガサゴソ探り始めた。

「あれ?ねーな。」

ヒカリは岩の中を必死で捜索している男の背中を、複雑な笑顔で見守っていた。

男はカバンの中身をなぜか椅子の上に巧みに積み始めた。

そして次の瞬間、その積み上げた男の生活必需品が全て崩れ落ちていったが、男はまったく気にせず捜索を続けた。

「あった!」

そう言って男はボロボロになったシヴァの本を大事そうに取り出した。

ヒカリはそのボロボロで茶色くなった本に一瞬たじろいだが、本を開いた途端、ボロボロになった理由が男が本を粗雑に扱ったからではなく、何度も何度も読み込んだからだとわかって小さく驚いた。

「待てよ、確かこの辺だ。」

男はそう言って目的のページを開いた。

そこにはこう書かれていた。


  第三章 過去世との関わり方について


「この章では過去世とどう関わっていったらいいか段階的に説明してある。」


① まず自分の中の説明できない恐怖感や原因のわからない体の不調、生き方のクセ、感情の傾向に気づく

自分の中に自分でも理解できない恐怖感や怒りはないか。何かに異常に嫌悪感や不安を抱いていないか。「こうでなければならない」と強いこだわりを持っていないか。


② 何かに気づいたら、まずこの人生の過去、幼少期の親との関係や環境、出来事を振り返る

    気づかないだけで幼少期の些細な出来事で深く傷ついていることもある。ここで、今持っている恐怖感や人生の歪んだ方向付け「~でなければならない」という固定観念を決断していることが多い。なので過去世までいかなくてもここで原因を掴めることも多く、むやみに過去世に目を向ける必要はない。


③ それでも原因が掴めない時は過去世に目を向ける

   ただ静かに内側に入っていくだけでいい。もし体の痛みや違和感、心のもやもややイライラとしてサインが出ている場合は、その痛みや違和感、もやもや、イライラと優しく対話するように注意を向ける。呼吸と共に迎えに行くように…


④ どんなイメージや感情が出てきても絶対に否定はしない

   ただそのままをしばらく体感している。


⑤ 必要なら癒しの作業をする

   出てきたイメージや感情を発散し、浄化する。おもいっきり泣いてもいいし、

紙に何かをなぶり書いてもいい。そしてイメージの中で過去世の自分を抱きしめる。


⑥ この①~⑤を繰り返す

   最初は苦痛でしかないかもしれないが、徐々に癒しのコツを掴むはず。


ここまで読んでヒカリが言葉を発した。

「やはりシヴァの説明はわかりやすいですね。」

「だよな。この①から⑥までが一つ一つの過去世と向き合う作業で、次の⑦からがもう一段上の気づきについて書いてある。」

「もう一段上の気づき?」

「あぁ、俺があんたに見て欲しかったのはむしろこっちだ。シヴァがなんで全ての人間を受容できるのか、その答えがここにあるんだ。」

男のこの言葉に、ヒカリはなんだかドキドキしながら続きを読み始めた。


⑦ 過去世で全ての立場を自分が経験してきたことに気づく

いくつもの過去世を見るうちに、自分があらゆる立場を経験してきたことに気づく。私の話しをすれば、私は過去世(実際に生きたかは定かではないが、自分の中に存在するこの人生以外の人生のイメージ)では殺人を犯し、また別の人生では殺される経験をした。また別のある人生では街を焼きつくし、また別の人生では焼死した。魔女狩りにあい死んだ人生もあり、誰かを差別し死に追いやった人生もある。ある時は災害で死に、ある時は聖人であった。またある時は乞食であり、ある時は王族の煌びやかなドレスを着ていた。またある時は夫婦で憎み合い、ある時は信頼しか存在しない夫婦であった。このように、いくつもの人生であらゆる立場を経験する。

そして、過去の全ての人生が一つのストーリーのように繋がっていっているのだと気づく。


⑧ 加害者になってしまった時、その行動の背後に何があったのか理解する

被害者になってしまった時、その事柄の背後に何があったのか理解する

   (加害者の時)

前述以外にも、私はあらゆる犯罪や不道徳を犯してきた。しかしいくつもの過去世を見るうちに、ある共通点に気づいた。それは加害者である時も、どこかで被害者だということ。犯罪を犯す前には、必ず、深く傷ついた経験をしている。

   加害者の自分を責め、罪悪感に苛まれ続ける道より、勇気を持って、罪を犯す原因となった傷と向き合おう。そして罪を認めて、その罪の責任を持ちながら、今を生きる覚悟をする道の方がいい。

   (被害者の時)

   そして逆に、被害者の経験をする時には、その前に同じような状況の加害者の経験をしている。撒いた種は刈り取る、とよく言うが、それはある意味真実である。私は被害者であった過去世を嘆き、その記憶に怯え「なぜ私ばかりこんな辛い目に…」と憂いてきた。しかしその傷を嘆ききった時、突然あることに気づいた。それは、その被害者の過去世を経験する原因になったのは他でもない過去の私自身の行いなのではないかと…

   私はその気づきの後はとてもショックだった。なぜならずっと自分は被害者であると思っていた方が楽だったからだ。被害者であるうちは援助を受ける正当な理由を持てる。しかし一度この気づきを得ると、私は一人で立たなくてはいけなくなった。

   しかし嘆き続け人の援助を受け続ける道より、勇気を持って加害者の自分と向き合い、受け入れ、両極の自分を知りながら今を生きる道の方がいい。


⑨ そしてその全ての過去の自分から逃げない

   私も過去世を省み、己の罪や傷、恐怖、醜さ、狂気におののき、自分を責め、運命を恨み、生きることをやめたくなったこともある。しかし私はそこから立ち上がった。絶望の最後の端を見ても、心が壊れてしまっても、私達はまた戻ってくることができる。なぜなら私達は人間であるから。

私は絶望の崖の端で、ついに私自身に出会った。その静かでありながら全てを越えていくような決定的な出会いは、私に絶対に消えない光を与えた。

そうして私は、全ての過去世と今のこの人生を愛した。


⑩ 全ての人間の中に過去世の自分を見る

   ⑨を越えると、ある感覚が芽生える。それこそを一体性を呼ぶのかもしれない。私はある時から、出会う全ての人の中に私を見るようになった。どんな人間でも過去の自分と重なる。それゆえに、私はもう他者を自分と別の存在として見ることができなくなったのだ。


そう、だから過去世は、私達が出会う全ての人の中に自分を見ることができるようになるために、存在しているとも言える。


「…」

ヒカリはここまで読んだ時、自分の腕に鳥肌が立っているのに気づいた。

『なんて人がこの世にいるんだろう。』

シヴァの客観的で的確な過去世の観察と、その気づきの力に驚いていた。

そしてなにより、書かれた①~⑩までの過程を、確実にシヴァ自身がその身をもって体感し、逃げずに向き合い続けたことがひしひしと伝わってきて、改めてシヴァという人間への尊敬の念が湧いた。

「どうだ?これがシヴァが全ての人を受容できる理由だ。俺はこれを何度読んでも、なかなか実践できずにいるがな。」

「そうですよね、頭ではなんとなくわかったけど、これを実践していくのには相当な精神力が必要だし決定的な動機付けも必要。シヴァはおそらく、ここまでの気づきを得ることを望んだ深い経緯があるんですね。」

「あぁ、相当な覚悟をせざるをえない経緯があったのかもな。」

二人はまだ本を開いたまま、静かにシヴァという人間に思いを巡らせていた。


「実は俺はシヴァに一度だけ会ったことがあるんだ。」

「え?そうなんですか?」

「あぁ、うんとガキの頃な。」

この男の子供の頃…想像するのに苦戦したヒカリだった。

「シヴァってどんな人物だったんですか?」

「う~ん、あんまりはっきりは覚えてないんだが、印象としては穏やかな変わったおっさん…かな。」

ヒカリはちょっとガクッとした。

「はは、変わったおっさんって。」

「いや、ほんと、ガキの俺じゃシヴァは計りきれなかったんだろうな、俺のボキャブラリーでは変わってるとしか表現しようがない。でも実はシヴァは西出身なんだよな~」

「え?そうなんですか?」

「あぁ、でも西を十代で抜けてきたらしい。シヴァの自伝に書いてあったが、十歳で母親を病気で亡くしたり、父親と兄との暴力による歪んだ関係があって、十代で相当な経験をしてきたが、それを越えてきたんだよ。」

「…そうなんですね。」

「で、二十歳ぐらいに東に来たんだが街に住もうとしなかった。一人で人が寄りつかない深い森の奥に住み始めて、そこでさらなる気づきを得ることと執筆活動に専念した。でもシヴァが四十ぐらいになったある日、突然旅に出ると言って東からも出てった。どこに行くかは結局誰にも告げずにな。で、俺がシヴァに会ったのはその出てく前に街に来た時だ。なんというか、シヴァの周りだけ空気が違ったよ。俺はガキながら思った、この人の周りに宇宙があるってな。」

その場面を思い出すように遠い目をして語っていた男だったが、ヒカリはまた、この品のない男の繊細な感性を垣間見て驚いていた。


ヒカリは今まで会った人間の中でこの男が一番人間の真髄を知っているんじゃないかと思うと妙な気分になった。

「…人は見かけによらないって言葉はこの人のためにあったんだな。」

「あぁん?何か言ったか?」

「いえ、何も。」

そしてこの国に来て初めて、人間らしい人間に会えたと思った。




マスターも驚くぐらいすっかり意気投合した二人だったが、数時間後ヒカリは先に進みたいので、と男に別れを告げて店を出た。

これ以上一緒にいると別れ難くなりそうだった。

ヒカリは店に入る前よりなんだか元気になっている自分に気づいた。

『あの人は見かけはあんなだけど、ずっと自分から逃げずに戦ってきたんだ。』

ヒカリは品のない男のことを尊敬している自分に気づいて、一人でふっと笑った。

その時、後ろの方からだみ声で叫ぶ声が聞こえてきて振り返った。

さっきの品のない男だった。

「お前さん足はえーよ!こっちはいいおっさんなんだよ。」

「どうしたんですか?」

男はゼーゼー言いながらヒカリに向き直った。

「これ、持ってってくれ。」

そう言ってさっきのシヴァの本を差し出した。

「え?そんな、これはあなたの大切な本じゃないですか、こんなに読み込むくらい。」

「大切な本だからだよ。それに俺はもう暗記してる。」

この「暗記してる」発言に男のかなりのオタクぶりを感じて一瞬引きかけたヒカリだったが、男が真っ直ぐにヒカリを見てなんのためらいもなく本を差し出す姿を見て、すぐに戻ってきた。

「いいんですか?本当に。」

「あぁ、重くなっちまうが、お前さんに持ってってもらいたい。」

ヒカリはなんだか不思議な気持ちになりながら本を受け取った。

「ありがとうございます。」

「あぁ。」

そう言って笑った男の顔は、前歯が一本なかったがとても穏やかで優しい顔だった。

「じゃあな、気をつけてけよ。…お前さんに会えてよかったよ。」

最後の方を照れながらそう言ったかと思うと、振り向いて足早に戻っていった。

「僕も会えて良かったです!」

ヒカリも戻っていく男の背中にそう声をかけた。

男は軽く手を上げただけだった。

ヒカリは受け取った本を見てなんとなくパラパラと開いた。

ふと、最後の方の一ページだけ妙にごわごわしていることに気づいて、そのページを開いた。

そのページには赤い線が引かれ、こう書かれていた。


     過去世は、今ここを幸せに生きる一つのヒントにすぎない


「…」

ヒカリは去っていく男の背中を見た。

『いったい、彼はこのページを開いて、何度一人で泣いたんだろう…』

そのページに、男の涙の痕が無数にあった。

ヒカリは強く、この男が幸せであるようにと祈った。

その去っていく曲がった背中に向かって。

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