第12話 ゴンザレスとの出会い

というわけで、寒さ対策万端にして探索開始をする。


マンハッターホールの麓で入山申請をして、いざUMA!と意気揚々と出発した。

入山するときに他の冒険者パーティに遭遇したので、軽く会釈して横を通り抜ける。


「おい、お嬢ちゃんたち冒険者か?」

なんか声かけられた。めんどい...。


「はい。そうです。では、お互いご武運を。」とそそくさと立ち去ろうとすると、肩を掴まれた。

離せ、こらっ。


「おいおい、待て待て。お嬢ちゃんたち、もしかしてアイスゴリラのこと知らないのか?今、強力な魔物がいて、あらゆる魔物が山から降りてきてる。駆け出しの冒険者だろう?危ないぞ。やめとけ、他の場所で依頼を受けろ。」と忠告された。


知ってるわっ!辞めれるなら辞めるわ!


「ありがとう、お兄さん!私たち、アイスゴリラ討伐目的だから心配ご無用。じゃぁね〜。」とひらひら手を振ってネフィが入山した。


おいっ、置いてくな。

俺の肩に、おっさんの手があるぞ。


「は!?アイスゴリラを討伐?お前らが?正気か?」

おっさんが、唾を飛ばしながら驚く。


汚ねぇ、唾がかかる。まず肩を離せ。


「私たち、Sランク魔剣士同士だから気にしないで。

アレク行くよ。チャキチャキ歩かなくっちゃ私寒くて死んじゃう。」

早く、早くっとネフィが急かすので、おっさんにタグを見せた。


「はい、お兄さん。これ俺のタグ。

Sだろう?肩離してくれませんか?」

おっさんだと思うが、ネフィがお兄さんと呼んでるからお兄さんと呼んでやった。

俺、空気読む男!


「ほんとだ!Sだな。

じゃあ坊主、剣はどこだ?」


もっともな質問きたな。


「剣はない。」

ブスッと拗ねながら答えてやった。


「?魔剣士だろう??」


「そうですね、魔剣士です。」


「「・・・・。」」


放心しているうちにトンズラしよう。


てくてくとネフィと歩いてしばらく経つと、意識が戻ったのか大声でおっさんが叫んできた。


「やめたほうがいいぞぉー!!

俺の名前は、ゴンザレスだ。俺は、Aランクの斧使いだ!また生きて会えると思ってるぞ〜!!」


ありがとな、おっさん。気持ちだけもらう。もう会うことはないと思うが、名前は強そうだから覚えとくよ...。


「ネフィ、索敵魔法使うか?

寒いだろう?サクッと見つけてしまおうぜ。」


「アレク〜。ありがとう!

アレクのおばあちゃんアーティファクトのおかげでだいぶ助かってるけど、寒いんだよー。

でもさ、対象の魔力がわかんないのに索敵できるの?」

ネフィが嬉しそうに抱きついてきた。

おおぉい、近い近い近いっ。


「距離感っ!!お前は、女子。俺、男子!」

全く、残念女子だなぁ〜。


「多分、この山全体に索敵かければいけるんじゃないか?強い魔力反応に向かって走ればいいだろう?

ネフィ、身体強化で走って今日中に終わらせるぞ。

女子は体を冷やしたらダメだ。子宮に悪い!」


「ふはは!アレクは、紳士だね。

しかも子宮って。クフフ....。

臓器で考えるところが元薬剤師っ!はぁ、ウケる!」

ネフィはヒィヒィ笑いながら、バンバン背中を叩いてきた。


「じゃあ、やるぞ。『索敵サーチエネミィ、範囲マンハッターホール。』

...あー、多分これかこれだな。

うーん。ネフィ、一応聞くけど。

一つは比較的近くだが2番目に強い反応。

もう一つはこの山の裏側で1番強い反応だ。どうする?」


「もちろん。一番強い奴、一択でしょ!」


「だよな。お前はそういうと思った。

だが、かなり似た魔力だ。もしかしたら一番強いのは、竜とか他の魔物かもしれないが遠くから行くんだな?」


「うん違ったら、チラ見して戻ろう!まずはイエティ。

他のパーティにやられたら、イエティ見られないよっ。私たちの目的は、UMAを見つけて討伐することだからね!

もしかしたらどっちもイエティかもよ?」


「よし、じゃあ身体強化かけていくぞ。魔力が切れそうになったら言えよ。

イエティを足止めする魔力は残しとけ。」


『『身体強化パワーライズ、防風効果ウィンドプロテクション』』

身体強化をかけて、高速で移動する。吹き抜ける風が当たると痛いので、体の周りに空気の膜を張った。


30分ほど走って目的地に到着した。


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