07 final & prologue.

 彼とのセックスが、いつも苦手だった。


 嫌いなわけではない。セックスそのものは好きだった。だけど。


 彼と交わる度に、つらさや苦しさ、切なさのようなものが一緒に流れ込んでくる。

 それは身体の真ん中で止まらなくて、胸を通り抜けて、頭のてっぺんまで私を浸透させる。それが、どうしようもなく、切なかった。


 でも。


 違った。


 本当につらいのは私のほうで。彼は、それを、受け入れてくれた。だから。ふたりで。抱き合って。何か、触れてはならないものにやさしく触れるように。求め合う。


 彼から流れ込んでくるものを。押し返す。せいいっぱい。私の心のままに。なにか、少しでも、やさしいものに変わるように。


 彼とのセックスは、もっとたのしくなった。

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