06 over extended.

 目が覚めた。


 ここはどこで。


 私は、何をしていて。


 そう。


 夢を見ていた。


 どこまでが夢で。


 どこからが、現実なのだろう。


 ベッド。

 手を伸ばして、彼を求める。


 彼は。


 いなかった。


 いない。


「起きたか?」


 いた。


 シャワーを浴びていたらしい。半分濡れた状態で、ベッドに入ってくる。


「夢を見てた」


「そうか」


「何があったの。教えて」


「俺にも、分からない。飛び降りたと思って。気付いたら、おまえが飛び降りようとしていて。俺には記憶がなくて。おまえを引きずり下ろして、そしたら抱かれて。それで記憶が戻った」


「全部。現実なのね」


「おまえのほうは、どんな夢だったんだ?」


「ううん。夢は見てない」


 そのまま、彼を抱く。彼を、私に。刻みつけるように。


「私は、あなたの帰る場所になる。あなたが、何を抱えていても。私は。あなたのプラットフォームになる」


「プラットフォームか」


 何度も。何度も抱く。


「そんなものはいらない」


 心の奥が。じわっとした。彼を退ける。


「帰る場所なんて、いらない。俺は、おまえがいれば、他に何も。いらない」


「だめ」


 帰る場所に。私は。


 あなたが。


 私の。


「分かったんだ。俺が、おまえの帰る場所なんだって」


彼の身体。やさしく、触れる。


「プラットフォームは、俺のほうだ。あのとき。おまえを引きずり下ろして、抱かれて。わかった。俺は、おまえの必要とする、俺になる。だから」


 また。


 抱き合って。


 融け合う。


「ずっと。一緒に。ふたりで」


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