第一章 16話 中年は脳内少女の進化に驚愕する。

シドーは脳内で同居?するナビゲートシステムであ人格を持つレイが肉体を持って具現化するという話に理解が追いついていなかった。


「マジでにレイが肉体を持つとか言ってる?」


『マジです!』


「確かに細胞があって自我があるなら、可能っぽいけど、、、実際の肉体はどうするの?」


『取りあえず現時点での具現化は元の細胞だけで増殖させるのでミニサイズが限界ですね。細胞群からあらゆる要素を再構成して、、、えいっ!』


まるで3Dプリンタで下から造形されていくように人の形が出来上がっていく。およそ5秒ほどで身長15cm程の人形?が出来上がった。黒髪ロング黒目の和風美人で女性らしいボディラインをしたミニチュア人間が完成した。背中には白色の鳥の翼が着いておりこれで飛ぶのだろうか、、、衣装がないので全裸である。本人は恥ずかしがってはいないが。


「おー。凄い凄い!ミニチュアだけどちゃんとヒト型!しかもイメージと違って和風美人とは。もっとギャルっぽい生き物が出てくるかと思ったよ。ところでその翼ってそれで空を飛べたりするの?」


『ふっふっふ。私もいつまでもワチャワチャしてるキャラじゃないんですよ!クールビューティになるのですよ!今はこのサイズですがこの世界の魔素を取り込みながら食事をして人間らしい事をしていくと人間のサイズになれますよ!あ、ちなみに翼は趣味です。無くてもちゃんと飛べますよー♪』


妖精のようにシドーの周りを飛ぶレイ。イメージと違うことにはびっくりしたが中身はそのままのようだ。

「翼、、、厨二病の患者さん?不要なら消せばいいのに。あと服が必要だな。」

『えー。服ですかぁ?まぁ私ほどの魅力的な身体なら小さいスケールでも興奮しちゃいますよね♪翼はこのサイズだと未知の生命体とか妖精とか言った方が見つかったときに都合がいいと思うんですよ。』

「確かに、見つかることがあり得るからね。パタパタ飛んでいたら珍しくて捕獲される恐れはあってもミニチュア人間として気持ち悪がられるよりましか。取りあえずは服は布で何とかしてくれよ。貫頭衣みたいなのでいいから。」


『お洒落な服着たいなー。あ、マスターさっきイノシシの皮をなめし中なのを保存してましたね。あれ、少し下さい。』


レイはシドーからイノシシの毛皮を受け取ると一部分だけ切り取りあっと言う間に毛を抜き取り、魔素を利用して黒く染め上げ、上下つなぎのライダースーツみたいなのを作り上げた。背中のつなぎ目はなぜかぼやけて見えない。なぜだ?


『じゃーん、これでマスターとおそろいでーす。嬉し恥ずかしペアルック。縦の赤ラインまで再現してますよ!』

「えーそれがお洒落な服?でも魔素って何でも出来るの?そんな魔法みたいな使い方出来るのか。」

『あはは、魔素だけでは出来ないですけどね。。大気中の物質から色素を足したりして黒にしました。これで私も自然な生命体ですよ♪』

「人造細胞とかで自然な生命体って、、、」

『マスターみたいな人外が気にすることではありませんよー。マスターは人間と私の間でいうとこっち寄りの存在ですから♪と言うわけで、、、』


と言い終えるとレイはクルンと華麗に回転したかと思うとシドーの右肩に座っていた。

『ここなら楽チン。一応培養細胞だけなのでこの身体自体は愛らしいマスコットとして癒しを提供することと、マスターの視覚外を見るくらいしか役に立てませんから。』

「だな。これからは成長のために食事して身体を作っていくか。」

『まぁ、そこらへんで私のお眼鏡にかなう美人が死にかけてたら身体を乗っ取るってのが楽なんですけどね。』

「ソレハダメ。モンダイダラケ。」

『残念。』


何だかんだでシドーも脳内ではなく実在してくれてありがたかったのだった。やはり一人は寂しいもかも知れない。一人になりたいと思ってもそれに慣れたら人と関わりを持ちたくなる。人とは不器用な生き物なのだ。


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