後書き

獄中

私は突然の連絡を受けまるで電撃が走ったような衝撃を受けた

私の妻が私の不倫相手の加奈子を殺したのだという。

私は何も考えられずに、ソファに座り込んだ。

バレていたことすら私は気づかずにのうのうと今日まで過ごしていたのだ。

私はこれからの事を考えた、出所した妻(しかし、明山 加奈子が出所することはなく、獄中の中で餓死したという。)とどのような生活をするのか或いは私は訴えられてしまうのか。

翼は為す術もなく刺殺されたのだろうか。

とりあえず、私は妻に会わなければならない、刑務所に向かわなければならない。身支度も程々に私は足早に家を出た。


「なんでだよ…。」

私は面会を拒否された。もう誰にも会わないと言っているらしい。代わりに手紙を渡された。

『私は罪人であり怪物であり悪魔であるのです。だから、私が人であった時に築いた人間関係は一切破棄しなければなりません。なのでもう来ないでください。どうか私との生活の一切を忘れてください。手紙もこれが最後です。さようなら。私はあなたの幸せを奪ってしまった。ごめんなさい。さようなら。』

私は綺麗な妻の文字と贖罪の文章に心を奪われたまま家に帰った。

もう私はどうしようもありません、彼女はきっと死ぬつもりだ。私にはもうどうしようも出来ない。

私はコップをひとつだし、その中にビールを注ぎ込んだ。

冷えた液体が喉を勢いよく通過したが、なんの味もしなかった。

これが私の犯した罪の味だろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カモフラージュ Lie街 @keionrenmaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説