第5話渋谷事件(2)
地下鉄が渋谷駅に到着、ドアが開くと同時に、神威大和と森田愛奈はダッシュ。
エスカレーターを飛ぶように昇る。
森田愛奈は、ここでも信じられない。
「どうして誰にもぶつからないの?すごいスピードなのに」
「誰も、私たちを見ないし、関心もないの?」
「それに、このスピードで昇って、私も全く息切れがしない」
エスカレーターを昇り終えても、その状況は全く同じ。
すごい速度で進んでいるのに、誰とも接触することがない。
とうとう、神威大和が気にしていた歩道橋にたどり着いてしまった。
神威大和が歩道橋の先を見ながら、森田愛奈に声をかけた。
「森田さんは、警察を呼んで欲しい」
「僕は、先に現場に行きます」
森田愛奈が「え?」と聞き返そうとした途端だった。
少女の泣き声が聞こえて来た。
「いやです!そんな仕事したくありません!」
「グラビアだけって、言ったじゃないですか!」
「プロダクションの社長?そんなの知りません!」
「私、これ以上近づいたら、ここから飛び降りて死にます!」
森田愛奈は、「神威君、あれなの?」と声をかけた。
泣き声をあげている少女が一人。
すでに靴を脱いで、橋を登ろうとしている。
また、その少女の周りに、いかにも極道スタイルの男が3人。
短刀をぎらつかせている者、チェーンを振り回している者。
木刀を持っている者もいる。
神威大和は、再び森田愛奈に指示。
「早く警察に連絡を」
森田愛奈が警察に連絡するため、スマホを操作し始めると、神威大和は少女と極道者連中に向かって歩き出した。
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