第6話渋谷事件(3)

極道の一人が、歩いて来る神威大和に目を向けた。

「おいおいおい!何だ!この若僧!」

「そこで止まれ!」

「今、取り込み中だ!」


しかし、神威大和は、歩みを止めない。

「天下の公道を歩いて、何が悪い?」

「あなたに、私の歩みを止める権利があるとでも?」

その顔も厳しく、声も恐ろしく厳しい響き。

極道三人組が一瞬怯む中、そのまま少女の前に立ってしまった。

「はい、これ履いて、君のでしょ?」と靴を履かせたりしている。


すると、極道三人組は、また騒ぎ出す。

「おいおい!勝手にうちの商品に手を出すんじゃねえ!」

「なめた真似をすると、手前も無事で帰さねえぞ!」

「いいか!怪我したくなかったら、とっとと失せろ!」

そのまま短刀を構える者、チェーンを振り回す者、木刀を歩道橋に叩きつけて脅す者、とにかく騒がしい。


自殺寸前だった少女は、本当に怖いのか、神威大和にしがみついてる。


神威大和は厳しい顔のまま、口を開いた。

「商品とは?人間は売り物?」

「それから、無事で帰さない、怪我をしたくなかったら?」

「意味がわからないな」


その言葉と同時に、極道三人組の顔に朱が走った。

「手前!もう我慢できねえ!」

「俺たちの怖さを教えてやる!」

「覚悟しろ!」

口々に叫んで、とうとう神威大和と少女に向かって猛突進。


と、その時だった。


神威大和が何かの呪文を唱えると、不思議な青い呪印障壁が浮かび上がっている。

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