最も恐ろしいのは、人の想像力

 物語の最後、彼はミラーマスクを完成させる。そしてそのミラーマスクを被るのだ。すると、世界は明るく輝き始める。


 雨が降り、暗い世界だったところに、光が差し込むのだ。彼は今まで見えなかった世界を再び目にする。


 しかし、そこにはもう誰もいない。顔を取り戻したのにも関わらず、彼は玄関から外に出ることは出来ない。向かう場所は、彼が全てを終わらせた地下室。


 彼は再び地下室を開ける。すると、そこは闇に包まれた部屋ではなく、光溢れる世界だった。ゲームでは、ここで初めて主人公の手が現れる。その理由は、顔を取り戻したから。


 そして光の向こうには、彼を待っている家族がいた。――実績名・家族の再会


 エンディングにて流れる映像は、彼が天国に逝った、成仏した事を示しているのだろう。



 最も恐ろしいのは、人の想像力ではないだろうか。全てはドウェインの罪悪感、最も恐いものからくる想像だった。しかし彼はそれを全て受け入れ、顔を取り戻した。


 今の世界は皆同じ足並みで、ただ与えられたノルマをこなせ。誰かと違ってはいけない。そんな世界な気がする。


 そんな世界であなたに“顔”は存在するのだろうか。顔を失った人は最も恐ろしい場所へ足を踏み入れる事となる。


 Visageは顔を失った人が顔を取り戻すまでの物語である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ホラーゲーム“Visage”を語り尽くす! 柄針 @tukahari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ