第15話 日常

「_現在、この国には“憲法”というものがありまして_」


 公民の授業を受けている三來達は、脳内会議というものをしていた。


『いや、僕のクラスは代数の授業なんだけど?!』

『しょうがないじゃん。こっちは公民の授業だよ?』

『あー、寝っみぃ...』

『はぁ...朔磨、寝たらどうなるかわかってるわよね?』

『分かってる〜』


 つまり居眠り防止策である。

 誰かが寝ていたら、消しゴムの破片を飛ばして起こす。

 いや、それしかできない。

 席が近ければ、椅子の底を蹴ったりできるが...


『なにせ、席がバラバラだからなぁ...』

『起こそうにも起こせないよ』

『消しゴムの破片を飛ばすことしかできないわよ』

『っていうか僕関係なくない?別クラスだよ?』

『啓も参加しないとダメよ』

『僕巻き込まれてる!!酷い!!』


 と、三來が何か気がついた。


『待って。朔磨が消えてる』

『サークー?!起きてるー?』

『...』

『はぁ...こりゃダメだ』

『...なら、準備はいいわね?』


 三來、朔来が消しゴムの破片を用意する。

 先生が後ろを向いている瞬間


『一斉攻撃始め!』


 三來の声で消しゴムの破片を飛ばす朔来達。

 ...いやもうこれ一方的な雪合戦。


『...ねぇ、起きないけどどうしたらいい?』

『もう怒られるしかないわね』

「...威吹鬼さん、威吹鬼さん!!」


 投げられたチョークが朔磨の額に当たる。


「い゛ったい!!」

「ったく何寝てるんですか?」

「...すみません」

「しかもその消しゴムの破片の山はなんですか?」


 髪の毛や机の上には消しゴムの破片が山のように積まれている。


「え、あ、これは知りません!」

「...授業が終わったら片付けなさい」

「え、は、はい...」


『ったくなんですぐに寝てるのよ』

『しゃーねーじゃん。寝みぃもんは寝みぃんだから』

『でもその消しかすはウケる』

『起こそうとしたのに起きなかった貴方が悪いわ』

『ねー、せっかくあんなに消しゴムの破片を飛ばしたのに』


 そして、授業後。


「ったくなんで俺がこんなこと...」


 朔磨はちり取りと箒で、机の上とその周りを掃除する。


「なーに見てんだよ」


「朔来、三來、啓」


「...手伝うわ」

「は?」

「あんたを待っていたら暇になるから手伝ってやろうと思ったの」

「何その上から目線」

「ささ、早く終わらせて帰りましょ。暁月さんを待たせてるし」

「スルーかよ」


 箒を持って掃除をしていく三來達。

 ...そこに現れたのは


「...私も手伝いたい」

「暁月さん...!!」

「ふふ、多い方が早く終わるからいいよ〜」


 朔来から箒を渡された彩芽は手際良く掃除をしていった。

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学校怪談・ウワサ調査団 鬱見(ウツミ) 朔羅(サクラ) @kirika_net

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