第14話 力

「それって...一体どういうことよ?!」

「...落ち着いてください。まだそうだとは決まったわけではないです。本当に、“司書”になったら、という仮定です」


 そう言われて、私は少し後悔してしまった。


「貴方達もご存知の通り、強い“力”を持つ“司書”は“ウワサ”や“怪談”に狙われやすい。...今の段階では貴方と威吹鬼朔磨の二人。これをも超える力を暁月彩芽が持つとなると、相当な負担がかかってしまうでしょう」

「...なら、暁月さんを“司書”にならないようにすればいいわね」

「いいえ、そういうわけではないです」


 え?と私は館長を見る。


「負担がかかって苦しむのであれば、他の方々の力を借りればいいのではないでしょうか?」

「...それって播磨や桜岡の“司書”の力を借りるっていうこと?...今、互いの縄張りを荒らされないように互いを監視しあっている状況なのにそれはいかがなものかと思うわ。逆に刺激してどうするのよ」

「事情を話せばわかってくれるはずです。何より、“本”が手に入りやすくなると考えたら利益はあるでしょう。損するような話ではないはずです」


 確かに、私達が奴らを引きつけてしまうのであれば、きてくれたほうが向こうもおいしいかもしれない。

 “本”が手に入りやすくなるし、仲間も守れる。


「...因みに属性まではわかっている?」

「はい。...彼女は無属性です」


 無属性?規格外だからかしら?


「わかったわ。わざわざありがとう」

「いえいえ、こちらもすみません」


 部屋を出て、みんなの元へ戻る。


「あ、三來ちゃん!!」

「三來、どうしたんだ?」

「館長とお話するなんてそんなになかったのに」

「...後で話すわ。もちろん、暁月さんもよ」


 おやつを食べ終えた私達は、広間に行き丸くなって座った。


「...まず最初に、館長から言われたことよ」


 __暁月さんが司書になったら、私達よりも強い力を持つ__



 みんなの反応は...私の予想通り、といったところ。

 驚いてる、その一文字。


「...一つだけ、暁月さんに伝えなければならない事があるの。強大な“力”を持つ“司書”は狙われやすく、命を落としやすい。それを踏まえて、なるかどうかを考えて」

「うん...ありがとう」

「...さて、暁月さん、もう夕方だしそろそろ帰ったほうがいいわ」


 そう言うと、朔来達が送っていきたいと言い出した。


「...まぁいいわ。私もそしたら行こうかしら」

「ライ、ずいぶん積極的になったね」

「それな。彩芽ちゃんのおかげか?」

「...だと思う」

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