第3話 おとちゃんまだ鬼役

 きゃっきゃ、きゃっきゃ、わいわい、ばたばた。

 今日も朝から同じ遊びをしてる。

 マイブームになっているのね。私もそうだった。


 「トントントン」

 この声、おとちゃんまだ鬼役なんだ。じんちゃん代わってあげれば良いのに。

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」


 「あそこのお姉ちゃんが、静香しずかお姉ちゃんのかたたたいた音」

 「おとちゃん、静香しずかお姉ちゃんて誰」

 「えーーーと、お掃除を代わってもらった人」


 …どうして静香しずかの名前が出て来るの。

 「「 「「 「あー良かった」 」」 」」

 ・・・ぐっ、偶然ぐうぜん偶然ぐうぜん


 「びりびりびり」

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」


 「あそこのお姉ちゃんが、らんお姉ちゃんのご本をやぶいた音」

 …ごくっ。


 「おとちゃん今度は誰」「うーーーと、おとお姉ちゃんが怒ったの」

 な、何よ、この子達、どうして、偶然ぐうぜん、そうよ、そうに決まってる。


 「「 「「 「あー良かった」 」」 」」

 ちっ、遅刻する。…あ、あれはらんが。


 「ばしゃばしゃばしゃ」

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」


 「あそこのお姉ちゃんが、奈美なみお姉ちゃんに水を掛けた音」

 …知らないっ、知らないっ。


  「「 「「 「あー良かった」 」」 」」

 「おとちゃん、ここにいないお姉ちゃんばかりじゃ、つまんないよ」


 「そうかなぁ~、次はちゃんとする」「うん」

 行かなくちゃっ。あ、足が、動かない。


 「トントントン」

 ぱん。動けっ。ぱんぱん。動けぇーーー「ぇーーーーーーーー」

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」


 動け動け「動けよおーーーーーーーー」「おとお姉ちゃんが」

 たったったったったったったっ。


 「「 「「 「きゃぁーーー」 」」 」」きゃっきゃ、どたどた、ばたばた。

 たったったったったったったっ。走れ走れ走れぇーーーーーーーー。


 気持ち悪いっ、もうあの通学路は通らないっ。

 人気は少ないけど、明日あしたから住宅街を通り抜けよう。

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