第4話 あ~そ~ぼ

 何なのよ、あの保育園。

 もうあの通学路はめ、今日から住宅街を通り抜けて学校に行こう。

 …でも、ここ、住宅ばっかりなのに、人を全然見かけないのよねぇ~。

 それに今日は少しけむってる。


 「トントントン」

 …えっ、…こ、この辺り。


 「「 「「 「なんの音」 」」 」」

 幼稚園も、保育園も、…ない、はず


 「お姉ちゃんが歩いてる音」

 嘘っ、何時いつの間にかまわりが白くなって、4、5m先しか見えない。


 「「 「「 「あー良かった」 」」 」」「お姉ちゃん、あ~そ~ぼ」

 い、いやぁーーーーーーっ。たっ、たっ、たっ、たっ、たっ、たっ。


 「トントントン」

 「来るなあーーー」たっ、たっ、たっ、たっ、たっ、たっ。

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」


 「さくらお姉ちゃんが、られる音」

 さ、さくら、…あの子が悪いのよ、無視するから。

 「「 「「 「あー良かった」 」」 」」


 「サラサラサラ」

 「どっかいってーーー」たっ、たっ、たっ、たっ、たっ、たっ。

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」


 「さくらお姉ちゃんのご本に、“死ね死ね”って書いてる音」

 ち、違うっ、あれはひな、ひなが書いたんだからっ。

 「「 「「 「あー良かった」 」」 」」


 「バサンバサンバサン」

 「いやっいやっいやぁーーー」たっ、たっ、たっ、たっ、たっ、たっ。

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」


 「さくらお姉ちゃんを取り囲んで、かばんたたく音」

 公園、この時間なら犬の散歩や、小さい子を連れたお母さん達がきっといる。

 「「 「「 「あー良かった」 」」 」」

 たっ、たっ、たっ、たっ、たっ、たっ。「助けてっ、助けて下さいっ」


 「ドサドサドサ」

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」

 どさん、ざざぁーーー、あ、足が。


 「ドサドサドサ」

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」

 ここ何っ、誰もいないっ。


 「ドサドサドサ」

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」

 「うるさぁーーーい、なっ、何の音だって言うのよっ」


 「さくらお姉ちゃんが、マンションから飛び降りて、あっちこっち当たりながら落ちる音」

 「ちがあーーーーーーーーーう、私の所為せいじゃない私の所為せいじゃなあーーーいっ」


  「「 「「 「あー良かった」 」」 」」

 「そ、そうでしょう、私の所為せいじゃないんだから」


 「ぼきぼきほき」

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」

 「知らないっ、どっか行ってっ」何処どこから聞こえるの。


 「ぼきぼきほき」

 「「 「「 「なんの音」 」」 」」

 「知らないったら、知らないっ、なんの音、…かなんて、はっ」


 「おとお姉ちゃんの足がくだける音」

 ぼきぼきほき。「ぎゃあーーーーーーーーー」ばさっ、どさっ。

 「「 「「 「きゃぁーーー」 」」 」」きゃっきゃ、どたどた、ばたばた。

 あ、あ、あ、足が、痛いっ、痛いっ、痛いっ、痛いっ。

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