第17話

『地下神殿』の最奥に、僕はたどりついた。


そこには、広大な広間があった。

そして、広間の中心でたたずむ奇妙な男。


全身を黒いローブで多い、赤く彩られた仮面をかぶっていた。

その男は、僕の姿を見るなり、闇魔法を唱えてきた。


僕はその闇魔法を受けながら、自分に《ヒール》をして進んでいく。

決して軽い攻撃をされているわけではないが、白魔法を使う僕にとっては大した攻撃ではなかった。

そして、間合いに入ったことを肌で感じた瞬間。



跳。



僕は、右脚で大地を踏みしめ、跳躍した。

そして、全体重をかけた左拳を、男の腹部に打ち込む。


「グゴッ」


うずくまる男の頭部を右脚で蹴り上げると、両手で固定し、左膝を連続して顔面に打ち込む。


パキュッボキュッ


顔面の骨を砕く手ごたえ。

顔を押さえる男を壁際に投げると、僕は再び跳躍し、全体重を預けたドロップキックをきめる。


「グブッ」


壁と僕の足に挟まれた男から、嫌な声が聞こえた。

そして、僕は男の顔を掴み上げると、自分の頭部を楔のようにして頭を差し入れ、男の胸を固定する。


がら空きの腹部ができた。


ボディアッパー。


僕の渾身のボディアッパーを男の内臓に打ち込む。


「ギヒィ……」


僕のボディ攻撃を嫌がった男は、掌や腕でブロックをしようとするが。

この体勢に持ち込めた僕の攻撃を防げるわけがない。


僕は両手をつかい、高速でボディアッパーを打ち込み続けた。

ときおり魔法で回復しようとしたが、回復されるよりも打ち込み続ける。


そして、十分ほど打ち込み続けたら、男は息絶えていた。

僕は、男のあまりの弱さに拍子抜けした。

どうやら闇魔法以外は大したことのないやつのようだった。



そんな中、タナカが呟いた。

『……四天王最後の一人こそが、最強……』

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