08 煌他 ENDmarker 2.

 この場所。


 どこにもなくて。


 これからも、どこにもいけない。


 幻想のような、この場所に、たどりつきたくて。


 日々を生きた。

 そして、眠りから覚めずに、ここにいる。


 でも。


 彼のことばかり、思い出した。


 なぜだろう。

 彼がいて。彼といて。救われているような、自分がいた。たしかに、ふたりでいたときは、救われていた。


 この場所のことばかり、死ぬことばかり考えていた自分に。彼は、寄り添ってくれた。


 彼の隣に、いたかった。ずっと一緒に。でも、わたしは、ここに来たかったから。彼の誘いを振り切って、いま、ここにいる。


 何もない。


 ただ、幻想的な場所。

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