第49話『女執事』

現れた女性は歳は二十歳くらい、褐色の肌に真っ赤なショートヘアーで何故か女性なのに執事服を着ていた。


そしてかなりの巨乳であった、ユーレシアに匹敵するそしてかなりの美人。つまり最高ランクの女性って事だ。


どこぞのチートメイドとはジャンルこそ違うが双璧を成しそうなレベルだな。


「アカシアさん?何を女性をジロジロと見ているんですか、怒られますよ」


「じっジロジロとかみてねぇし、気のせいだろ?」


「………ふーん」


俺は誤魔化した、しかし効果は無かった様だ。

そして俺達のやり取りを見ていた執事服の美女が口を開いた。


『遅れて申し訳ありませんでした……マスター』


………あ?。


◇◇◇


謎の美女の正体はプレアであった。


おたく何で人間になってんの?しかも美女に変身とかしてんだよ。


『少し思うところがありまして』


「思うところって……おいっまさかお前、俺達の前に現れるのが遅れた理由ってその姿に変身出来る様になる為にレベル上げとかしてたんじゃないか?まさかこのダンジョンのワーボア共の気が立ってるのってお前の」


『マスター、そして王族の姫。ここは既にダンジョンの中です、きを引き締めて行きますよ?前衛は私が務めますので付いてきて下さい』


プレアは何も語らずに先に行きやがった。


「アカシアさん?本当にあの方がプレアさん何ですか?あの乗るゴーレムを操っていた人と言う事です?」


「違うだろうな、あれはそのゴーレム本人だよ。何故かレベル上げたら人間になれたっぽいぜ?」


「レベル?何ですかそれは……それにゴーレムが人間になれる訳がありませんよ」


知らねぇよ、実際に本人が美女になってんじゃん。

そんでレベルについては知らんってか?そう言われると俺も1度も自分のレベルとかステータスなんて知らねぇんだが……。


ステータスウィンドウって俺の異世界生活には実装されてなさそうなんだよな。


取りあえず俺達は巨乳女執事になったプレアの後を追うことにした。



そしてしばらく進むとワーボア共の死体があるわあるわ、この元軽自動車めっマジでピンチの俺達をほったらかしにしてこのダンジョンで1人経験値稼ぎをしてやがった。


「こっこのワーボア達は?岩の杭の様な物で貫かれていますね、恐らく土魔法による攻撃かと…」


『……恐らくこのダンジョンには我々が知らない何者かが潜んでいるのかも知れません。周囲の探索には気をつけて下さい』


「分かりました」


元軽自動車が国のお姫様をだまくらかしている、地上なら打ち首だろうな。


その後はワーボアも2、3体ずつで移動してくるのを戦闘して倒した。一応俺もプレアの土魔法で出してもらった岩の棍棒でワーボアに挑んだ。


………普通に返り討ちにされたけどな、やはりあのマッチョな上腕二頭筋は見せ掛けではなかった。

チクショウ、以前のゴーレムダンジョンの雑魚ゴーレムはバットで一撃だったのに……まさかそれ以降殆ど戦闘なんてしなかったから、なまりになまってしまったのか!?。


戦慄する俺を余所に姫さんとプレアはワーボアを完全に雑魚モンスターとして処理していった。


「遅いですよ!」


姫さんの剣がフッと霞む、するとワーボアがバラバラになって死んだ。


『脆すぎますね』


プレアはもう魔法も使わない、素手と蹴りでワーボア共を地面や壁にめり込ませていく。


ワーボア共が集まってきたら魔法で一網打尽にし、少なければ確実に先制を仕掛けて何もさせずに戦闘に勝利する。


「ちょっ!おいっ死に損ないを残して俺に止めをやらせろよ!俺にも経験値を寄こせ」


「なっなぜ死にかけのモンスターに止めを差したがるんですか?」


だから経験値だよ経験値!幾ら戦闘しても俺が成長している感じが全くしないんだ、多分少しでもダメージを与えないと経験値は入らない仕様なんだと考えた。


だから俺はパワーレベリングを提案する。寄生して何が悪いこちとら命が掛かってんだよ。


『マスター、恐らくですがマスターはレベルを幾ら上げても身体能力とかは殆ど上がらないかと』


「なんで!?」


俺は意味が分からなかった、俺が知らない事をこの元軽自動車現巨乳女執事は何か知ってるのか!?。


しかし聞くと後悔しそうな事は、俺は聞かない。気を取り直してダンジョンを進む。


今はこのイノシシダンジョンから脱出するのを優先だ、生きる事が優先だからな俺は優先順位を間違えない。死ぬのはゴメンだからな。


このダンジョンには以前のゴーレムダンジョンと違って下に続く階段とかはない。変わりに少しキツめの坂が延々と続いているんだ。


正直足には地味に疲労が溜まっている、プレアは平然としているが姫さんは疲労が見て取れるな。


プレアに少し休憩を宣言して地面に腰を下ろした。


「プレア、おたくの車内に置いていた食料や水やらはどうなったんだ?」


『私の空間に全て置いてあります』

「そうか、それなら幾つか取り出してもらいたいんだが……取りあえず飲み物と食べやすい食料を頼む」

『分かりました』


プレアが両手を出すと飲み物と食料が現れた、休憩するのならしっかり取らないな。


「ううっこの干し肉と言うのは硬いですね」


「オイオイッ少しは我慢し……って硬っしかもしょっぱ過ぎだろうが!?」


え?干し肉ってこんななの?今までこの世界の保存食なんて食べてこなかったから知らんかったわ。


「こんなのどうやって食えと言うんだよ」


『マスターがファンタジー世界で遠出するなら保存食料とか飲み水は必要だろうと言ったからですが?』


そうだったか?俺はしらばっくれる。


「姫さん、ダンジョンじゃ休憩は取れる時に取るもんだ。それと怪我とかしてたら直ぐに言ってくれよ?俺は回復魔法は無理だかプレアがいるから傷薬の類なら用意出来るぞ?」


「はいっ私は怪我はしてません、けどその気づかいに感謝しますね」


気づかい1つで感謝されたのは生まれて始めての経験だった、俺が前いた世界では言わなくても動いて気を利かせるのが普通でそれが出来ないと気が利かないヤツだとレッテルを貼られるからな……。


人にどうこう言う前に、自分自身が人にそれだけ気をつかって貰うに値する人間かどうかを再確認するつもりはないのか?っと俺は上司に常日頃不満を持ってその背中に中指を立てていたものだ。


モンスターだらけのダンジョンで過去の事を振り返ると……この冒険者ってのも悪くないと思えるのはきっと前の世界のブラック企業のお陰だな……死ね。


そして休憩を終えた俺達は更にダンジョンを下る為に進むのだ。











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世界を越えたその先は。 どらいあい @driai

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