第48話『プレイヤーとダンジョン』
俺と姫さんは無事にダンジョンに侵入する事に成功した。
岩壁が崩れた先はまるで示し会わせた様にダンジョンに続いていたぜ、内部は正にバカでかいアリの巣宜しくの洞窟だ。
人が集団で移動出来る程に道の横幅も広く、天井も高い、まだモンスターに遭遇はしていないが俺も冒険者としてこの『迷宮大陸』で生きてきたからな。
腕前が雑魚でもその場所にモンスターがうろついているかどうか位は分かる、地面や岩壁に何かが通った痕跡が分かりやすく残っているからな。
そんでこの『迷宮大陸』には普通の動物はあまりいない、こんな洞窟に住む動物とか皆無だ。
先ず間違いないモンスターが多数生息している。
ここがダンジョンだと言う事は確定した、しかし俺はそれとはまた違う事に思考を向けていた。
……プレイヤーって何だよ。もう2回目だ、流石に前回と違って今回は聞き逃さなかったぞ。
プレイヤーが来たからダンジョンが起動しただ?姫さんは前にあのナレーションが流れた時は居なかった、やっぱり俺がプレイヤーって事か?。
俺だってゲームなら結構なジャンルをしてきた自負がある、プレイヤーの言葉の意味位知っている。異世界だから言葉の意味が全く違いますっとか言われたらアレだけど……。
「アカシアさん、こちらからモンスターの気配がします。私が先行しますので待ってくださいね?」
そう言うと姫さんは腰に差しているとてもお高そうなショートソードを抜いた。
いやっ今はモンスターとかどうでもいい、つまり俺がいたからこのダンジョンが解放されたってか?。
俺がゲームで言うプレイヤーだとしてダンジョンはクリアを目指すステージと言う事か?ならそのステージをクリアしていった先にはゲームクリアのゴールが待っているというのか?。
分かっている、恐らくユーレシアに聞けば全て答えてくれる、或いは分かりやすいヒントとかくれるかも知れない。
「モンスターを発見。……ワーボアですか?腰蓑をして片手に石斧や棍棒を装備していますね……」
ワーボアってのはイノシシがあのチョコンてした足で二足歩行に進化した様なモンスターだ、しかし両腕はマッスルな上に5本指になっている。
パワーもあり武器で殴られると死ぬほど痛い事は確実だな。
話が逸れた、俺は攻略本を片手にゲームを進めるタイプの人間じゃないんだ、やはりここは出来るだけ自分で調べる様にしようと思う。
分からなかったら聞くかもだけどな、何しろおれ1人でどうにか答えが出せる問題かも分からんしな。やっぱりここはパーティーを組んだアイツらにも……。
「アカシアさん!気づかれました!私が前に出ますので……アカシアさん!?何を私の後ろに隠れてるんですか!?」
「何故って俺は武器なんて1つも持ってねぇんだぞ?ここは姫さんが王族ってのがただ偉そうにしてるだけの人間じゃない所を見せる所だろう?」
「なっなんて物言いを……」
悪いな、俺は親が偉いだけの子供にへーこらする趣味ない、ロリコンかよ。
それが嫌なら能力を示すしかないぜ。
そして俺は後方に下がった。
俺が姫さんの格好いい所を見てみたい~っと声援を送る。姫さんはブーたれながらもワーボア共に突っ込んだ。
「もうっ!なら私が頑張りますから見ていて下さいね!?ハァーーッ!」
気合一閃、姫さんの剣がワーボアを切り裂く。
近くにいた別のワーボアが石斧を振りかぶる、姫さんはそちらを見る事もせずに魔法を発動。
そのワーボアは一瞬で火だるまになってしまった、他のワーボアはそれを見てビビったので姫さんが順番に倒していった。
数分後にはワーボアは全滅した。
「ふうっまぁダンジョンにいてもワーボアくらいならこんなものでしょう、けどアカシアさん少しはフォローをして欲しかったんですけど…」
「だから俺は今武器もないし魔法も使えないんだってそんな俺に何をフォロー出来るってんだよ」
「そこで機転を利かせる所を見せて欲しいのですが……」
何でだよ、この姫さんやたらと俺が活躍するのを見たそうにすんよな。そんなのはチートをしっかりと頂いた方の異世界転移野郎にでも頼んで欲しいわ。
「取りあえず、俺達はこのダンジョンを下の方に向かって下りていくぞ。あのトリ公の巣が本当のどっかの山の中にあるのならどうせ何階建てかのダンジョンだろうからな」
「下の方にですか、本当にそこに出口が?」
「ある、これはダンジョンだ。なら入口があるなら出口もある、手前にボス位いるかも知れないが中途半端な所でダンジョンが終わってる何てのは無いはずだ」
あのナレーションも流れたしこの手のダンジョンの出口は山の麓辺りまで一気に下った所に出るに決まっている。
じゃなければダンジョンをクリアして更に山下りまでしろとかなったら普通に死ねる、だってその道中にもモンスターは出るわけだしな。
あ~考えれば考える程に碌な想像が出来ねえ、本当にあのトリ公は何が目的で……。
「はぁっ…考えても仕方ないし、姫さんさっさと行くとするか?」
「そうですね、この通路で挟み撃ちなんてされたら私1人ではアカシアさんを守りきれませんし……」
「そうだな、せめてもう1人誰かいれば……」
「ブオオオオオオオッ!」
「「!?」」
俺達が話をしていた最中、ワーボアらしき連中の鳴き声が聞こえた。
これっかなり近くないか?ワーボアはゴブリンに毛が生えたレベルのモンスターではあるが、当然数を成せば普通に驚異となる。
もしこのダンジョンの主となるモンスターがワーボアなら数にものを言わせた力押しとかも普通にしてくるんだろう、そうなれば2人しかいない俺達は全滅だ。
「急いでここを離れるぞ、下手に命をかける冒険者は直ぐに死ぬ。俺達の目的はまず生きてダンジョンから脱出する事だからな?」
「……はいっ出来るだけモンスターとの戦闘を避けるようにしましょう」
よしっ意思疎通は取れたな、俺達は再びダンジョンを移動し始めた。
そして数十分後、俺達はモンスターに追われていた。
「オイオイッ!普通に見つかったぞ!?何でこのワーボア共は俺達を見失わないんだよ!」
「おっ恐らく、ワーボアは鼻が良いのではないかと」
……あっなる程、確かにイノシシって鼻が良いよな、人間のニオイを追ってくれば普通に逃げ切れないわ。
「ブオオオオオオオッ!ブオオオオオオオッ!」
まっ不味い!地面が舗装されてもいないから俺の足腰が限界だぞ!?。
迫るワーボア共の数は10体以上はいる、俺と姫さんでやれるか?。………ゲッしかも逃げた先が行き止まりじゃねぇかよ。
俺達は逃げ場がなくなった、完全にピンチである。
そんなタイミングであった。
『フウッ…間に合った様ですね』
女性の声がした、すると天井の岩が崩れてきて、ワーボア共が一瞬で全滅した。
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