第45話『星が見えるんですけど……』
料理を人数分作り終える頃には腕がパンパンになってしまった。
プレア以外は普通に人並みに食べるから1人で料理するのもシンドイ、まぁ戦闘ではレイナやフリーネには世話になってんだしこれくらいは……但し金ピカと黒すけと姫さんには何か働いてもらうつもりだ。
取り敢えず野菜と肉のスープとパンにキノコのソテーや目玉焼きと玉子焼きを用意した、タマゴはニワトリの物じゃない、まだら模様の謎タマゴだ。
食えるらしいので問題ないだろう、傷む可能性が高そうだから今日の料理で使い切った。
まだまだ旅は長いらしいので料理の材料も考えながら料理しないとな。
この世界にはいただきますと声を合わせる風習はない、俺は郷に入っては郷に従うタイプなのでそれに合わせて言わない様になった。
あの島国の人間はお国柄を変な所で出し過ぎるんだよ、ラノベの主人公とかそうじゃない?。
料理が冷めるのも勿体ないので食べ始める。
俺の料理に慣れたレイナやフリーネはモグモグ食べる、金ピカも食べている、セレンもプルプルしながら玉子焼きに向かう。
姫さんはまず黒すけが毒味的な事をしている、しかし姫さんは人が食べたヤツを食べるのに抵抗があるのか、問題ないと差し出せれた料理に少し悲しそうな視線を向けている。
……仕方ないな。
「おい黒すけ、料理はみんな同じのを食ってんだから毒味なんた真似は自分が食うのをしろよ。姫さんが食べるのヤツを一々食べんな、そもそも俺が料理するときずっと目を光らせてたくせによ」
「誰が黒すけだ!私は女だぞ!貴様みたいな得体の知れない男の料理など姫様に簡単に食べさせられるか」
その姫様は俺の提案に笑顔だぞ、そしてユーレシアが黒すけの後ろに立った。
「おいおいっ私の相棒に対して失礼なヤツだな?」
「ヒィッ!?いっいやそれは……」
黒すけはチートメイドに命乞いをし始めた、本当に何があの2人の間に起きたんだよ。
気になるにはなるのだが……これ以上料理を放置するとどこぞの腹ペコ魔導師が全て食べようとするので俺も食べる事にする。
そして料理を食べ終えて使った食器類や包丁やフライパンを綺麗にに洗う、あの姫さんが水魔法を使えたので飲み水を無駄に使わずにすんだ。
日が暮れてきたので野営をする、焚き火はフリーネの炎魔法が活躍したな。金ピカと黒すけもちゃんと燃やすそうな木の枝を拾って来たようでよかった。
時間は流れ夜になった、焚き火を囲むのは俺とユーレシアである。
他のヤツらは仮設した大きめのテントに引っ込んでる、夜風もそうだし交代で見張りが必要だからだ。
姫さんは流石にさせられないが黒すけは金ピカて交代で護衛をするようだ。
そして俺が寝るときはテントではなくプレアの中という事は暗黙の了解となった、まぁ仕方ないけどな。
パチッ………パチッ………パチッ。
「………………」
……なんか、焚き火って良いよな。
キャンパーなんて少し金と時間を自由に出来る勝ち組モドキ共の着飾った娯楽かと思って小バカにしていたが、中々どうしてこんな時間も悪くないと感じる。
社畜から解き放たれた俺は、もしかしたらこんな時間を求めていたのかも知れない。
「相棒、西の方角約500メートル離れた森の中にモンスターが数匹いるぞ?多分コボルトだな。倒しておくか?」
「ああっ頼む…」
うんっユーレシアのヤツがいれば俺はほぼいらねぇな、ユーレシアはその姿をシュンッとかき消す様に消えた。
二分もするとシュンッとまた現れて俺の向かいで焚き火の前に腰を下ろす。
「ご苦労様、一体どうやって夜の、しかもそれだけ離れたモンスターの気配なんて分かるんだ?」
「相棒もレベルが上がれば分かるようになるさ」
「レベルねぇ、この世界ってステータスとかまで宙に現れないしカードに記されたりもしないんだよな?どうやってか知る方法とかあんのか?」
「フフッそんな便利なカードは確かにないな、そもそもある程度レベルが上がると感覚で分かるものさ、一々相棒の世界のゲームみたく数字を気にして命の取り合いなんて出来ないからな」
確かに、全く持ってその通りだな。
どうにもこの世界はゲームみたいな側面がチラホラと見える様な見えない様なって感じの曖昧な所がある。
まぁ死んだらそれまでだろうから蘇生魔法とかは期待してないけどな。
俺はふと気になった事をユーレシアに聞いてみた。
「ユーレシア、ここって地下何だよな?なんか当たり前見たいに空は青くて夕方になって、夜になると夜空に星が見えるって何でなんだ?」
俺達が初めてここに来たときは地上に穴を開けてそこから入って来たんだ、ここが地下なのは間違いないし、その時に頭上で勝手に塞がる穴を見た。
つまりここの天井は岩盤だ、それなのに下に降りて見ると普通に青空になっていた。
俺の疑問にユーレシアが答えた。
「それはここが地上とは別の世界だからさ、この世界の冒険者はここを地下世界と呼んでいるが正しく言うと地下ではない、どっちかと言うと海の向こうの別大陸と言った方が近い場所なんだよ」
「……………なるほど、だからおたくは『迷宮大陸』と呼んでる訳か?」
「その通りだ」
どうして地下に向かうと別の大陸に行くことになるのかとかは聞かない、どうせ理解とか無理そうだしな。
やっぱりコイツに何か聞くと予想の斜め上にある答えが返ってくる、俺は冒険はしたいが面倒事は勘弁なので余計な真似は控えようと思う。
あっけどこれだけは聞いておかねば。
「ユーレシア、今更なんだが。俺達が目指している『巨壁の神殿』ってどれくらいで付くんだ?」
レイナやフリーネは知ってるぽかったからその辺りは全く調べなかった俺だ、何故かレイナのヤツが『そんなに遠くはないですよ』の一点張りだった。
それに何処となく不安になった俺はユーレシアに1度確認しておこうと思ったのだ。
「ん?あのダンジョンなら片道……まぁ2カ月くらいじゃないか?」
「へぇっ……片道、2カ月ねぇ~~」
片道………2カ月………?。
………………………何だと?。
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