第40話『話し合いの結果』

このホッコリ金ピカが………。

フリーネはユーレシアから魔法で動きを完璧に封じたので大丈夫だろう、俺は金ピカに話を聞く。


「それで?結局のところ、この屋敷の貴族が何であの鍵の事を知ってんだよ。そんでなんでその鍵を渡さなきゃいけないんだ?それとあのお姫さんは一体何なんだよ?城の姫とか普通にこんな街に来て良いのか?」

「……何でも何も、お前がその鍵を持っている事を地上で散々吹聴していたのはそのメイドだし。姫をこの街に連れて来たのもそのメイドだ!城の兵士や騎士が止めるのを全て吹き飛ばしてな!」


俺はアホメイドに向き直る。


「コラーーーッ!お前は何で俺のやる事なす事邪魔するだあぁっ!?」

「なっ!?誤解だ相棒!私は近々相棒と私が未踏の地に挑戦する、その為の鍵も既に手にしているとあの小娘に話していただけなんだぞ!それを聞いたどこぞの者が話を広げたんだ!」

「………ならあの姫さんについてはどうなんだ?それと!ずっと気になってたんだが、そのお前が胸元につけてるバラのブローチ。それ確かあの子にあげたヤツじゃ……」


………ん?何故かユーレシアやレイナ達が黙ったぞ?何だよ、何で黙ってこっち見んだよ。

すると金ピカがユーレシアに何事かと話し始めた。


「おいっそのブローチは一時の間貸し出された物だから還せと言ってた筈だが?」

「………さて?何の話だ?あとこのブローチは私のだからな」


………ハァッ別にもうあのブローチは役目を終えた筈だし、誰が持っててもいいんだが。


「金ピ……おいっブランニーなんとか、おたくまさかあの姫さんの子守でここに来たのか?」

「ブランニーまで出てなんでシャが出て来ないんだ貴様は!それと姫を姫さんとか変な呼び名で呼ぶな、子守でもない!護衛だ!」


似たようなもんだろうに、しかしあれだけ金ピカでゴツい鎧着て強そうなのに姫さんの子守とか……。


「もしかしておたく、騎士の中じゃ落ちこぼれ的な立ち位置なのか?」

「なっなっ!?この黄金の騎士ブランニーシャを捕まえてお、おちっ落ちこぼれだと!?」


「うん?黄金の騎士ってこの国の2人しかいない特級騎士の称号ですよね?ユーレシアさん?あの人はその騎士のファンの方じゃないんですか?」

「何を言ってるんだレイナ、あの金ピカは本人だぞ?あまり大した活躍もしないから分かりにくいだろうがな……」


「お腹すいたわ~ねぇセレンちゃん、食べ物に変身出来たりする?」

『………出来……る』

『セレン、そこは出来なくて良いんです。フリーネの前で食べ物に変身してはいけません』


そんな感じでバカ共がバカな話を好き勝手にしていると、またバァタアァンッ!ってドアが開いた。


そして現れるのは、あの姫さんとお付きの黒いのだ。何故かあの貴族のおっさんはいない。


「話し合いの結果を知らせに来ました!」


おおっもうあの貴族のおっさんを黙らせてくれたのか?何しろお姫さまである、相手がたとえ貴族でも王族パワーで黙らせてくれたのか?。


「今から屋敷の庭でこちらの陣営とラーゲイン伯爵が用意した冒険者で決闘をしてもらってその勝利した陣営が鍵を手にすると言う事でまとまりました!」


まとまってない!全然まとまってないぞ姫さん!?。


「あの……お姫さま?なんで、な、ん、で俺らが所有してる鍵を向こう連中にくれてやるなんて話でまとまってるんですかね?」


「っ!貴様、姫様に気安い口をきくな!」

「クロネ、落ち着いて。先程は碌に挨拶も出来ずにすみませんでした、私は今回貴方に会うためにこの街に来たんです」


え?俺に会うために?こんなだけ高貴な気配の人間に会いたいと思われる人間じゃねぇぞ?。

俺を通してユーレシアになにか面倒事を押しつけたいのか?。


「あのブローチとそれをお貸し戴いた理由を聞きました、まさか私の部屋に侵入していたのには驚きましたが、それ以上に貴方のお陰で私は知らないうちにこの命と国の命運を救われた事に驚きたいました……」


「…………………」


はい?国の命運?なんか話がとんでもない事になってないか?。

俺はユーレシアを見る……っあ!目をそらしやがったぞ!。


「………ユーレシア、話をしてくれ。詳しくな!」

「むぅっ分かった。話をする」


そして何かとスケールがデカイ話がされたが……ぶっちゃけ俺には関係ない事ばっかだったので全て割愛。


それとブローチの所有権をめぐって姫さんとバカメイドが何故か小競り合いをし出して収拾がつかなくなってきたので要点だけまとめると……。


鍵を掛けて戦う(決定事項)。


敵は貴族のお墨付き(決定事項)。


つまり街を出るまで時間がかかる事が殆ど確定。


「………プレア、もうお前に乗れるだけ乗せてそのダンジョンに行かね?」

『このセイージュの街に戻った時に貴族から嫌がらせなどを覚悟するのならそれでもいいかと…』


嫌がらせか……ファンタジーの世界の貴族だとそれも禄でもないレベルのが多そうだ、まぁいざという時はユーレシアの理不尽な地獄を見せれば片付くだろうが…。


お偉いさんに敵を作るのは賢くない、まぁ俺が言っても説得力がないが、これでも前の世界じゃ普通に社畜してたんだ。偉い人間の何がどう面倒臭いのか、三十路リーマンは知ってんだよ。


そしてブローチをゲットしたのは……なんと姫さんだった。

あのユーレシアから物を奪うとは、このお姫様は将来とんでもない大物になる予感しかしないな。


ユーレシアが額に血管を浮かび上がらせながら悔しがっているので、後で同じのを……いやっ流石に同じのは無いよな。


もう少しデザインを変えた物をセレンに頼んで用意して貰うか。

だから背中からドラゴンな翼とか出したり角とか生やすな、………コイツいつか本物のドラゴンになったりすんじゃねぇだろうな?。


もうこんな感じだから俺1人がゴネてるのもバカらしくなったので、この場にいる全員でその鍵を掛けた戦いの場となる、屋敷の中庭に案内してもらうとする。


「かえせっ!このドロボー小娘がぁぁっ!」


「なっ!?これは元々私が戴いた物だと言われたじゃないですか!返してもらったのはむしろ私の方ですよ!?」

「ブランニーシャ殿、本当にこの者達の態度を容認していいのですか!?」

「………………」


金ピカの無言の困り顔を眺めながら歩いて行く。


ん?こっち見んなよ、俺は知らんし関係ねぇからな。


そう言えばブローチの話の辺りからレイナとかがチラチラと視線を感じる、無視しとこ。





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