第29話『俺の異世界物語、か「そんな訳ないだろう?」』
なっ何を言ってんだこのクソメイドがぁあーーーーーーッ!。
「あっちなみにお小遣いの額は月に金貨二枚だ」
きっ金貨二枚?。大金貨が1枚十万円くらいで、金貨は確か1枚で一万円くらいだった筈。
え?二万?。
俺の月の小遣いが二万だとっ!?。
そんなの前の世界で社畜してた時の俺が自由に出来た金額と大差ねぇじゃねえかっ!。
俺は全力でユーレシアに抗議する。
「おまっ!お前ふざけんなよっ!何で俺のサイフをお前に管理されにゃならねぇんだ!」
「いったろ?相棒は金を持つとダメ人間になってしまうと私は判断した、だからおサイフを管理すると決めたんだ」
「何がダメ人間だ!お金持ちがろくに働かないのはそれが至極当然の行いなんだよ!俺はこのまま働かずに、朝から酒を飲んで!夜も酒を飲んで、エロい店にもバンバン行って女の子達と楽しく夜を」
「全て!すーべーてー却下だこのばかちんがっ!そんなアホな欲望を全開にしてる相棒をこのままほっとける訳がないだろう!少しは頭を冷やすんだ!」
ダメだっ!このメイド!話が通じないっ!。
(おそらく、マスターの中では自分が真っ当な事を言っていて、あの女の言うことは暴論か何かだと思ってますね。流石に私も今のマスターには…)
「くっプ、プレア!このイカレメイドになんか言ってやれ!」
(………ここは黙秘としますか)
なっ!?まさかプレアまで俺を裏切ったのか!?。
おのれ~っ!ドイツもコイツも!。
「やはり、金は人を狂わせるのか!?」
「……言っておくが相棒、この中で狂ってるのは相棒だけだと思うぞ」
ふっ…ふざけんなっ!ふさけんじゃねぇーーっ!。
お金持ちとなり、人生の勝ち組となり、異世界でも楽勝モードに突入して三十路野郎が狂ってるだと!?。
どこがどう狂ってるって言うんじゃコラァーッ!。
「いいかっ!?冒険者が冒険すんのはなぁ、冒険の先にひと山当てて大金ガッポリ、女もガッポリ、地位や名誉も全て……とはいかねぇがっ大半は上手い事なるように出来るのが金の力何だよ!」
「…………………」
「俺だってそうだっ!冒険者になってやりたいこと?異世界ラノベお約束の成り上がりだよ!バンバン金が舞い込んでくるご都合主義システムを手に入れて大した事もせずに、汚れずに、楽をして三十路ライフを生きるのが俺の冒険なんだよ!異世界生活なんだよ!」
「…………………」
「十億だぞっ十億十億!そんな年末ジャンボ当てたみたいな大金を手に入れて真面目にコツコツとかやってられるかよ!即日で日々ムカついていたクソ上司に暴言を吐き散らかして張り倒し引っぱたいてやんだよ!解雇上等くたばれハゲーーッ!」
「…………………」
「分かるかユーレシア!?十億って金はそれが簡単に出来ちまう程の大金なんだよ!そしてそんな大金を手にした男は……遊びまくる義務があんだよ!俺を見ろ俺を!この二週間金に物を言わせて色んな人間とのコネを作り……とにかく更なるお金を生むシステムを作ってる最中なんだよ!」
「…………………」
「全ては……全てはいぃっ!…………っ!…………っしょうぅうっ!働かないで豪勢な生活を送るために!」
「…………一生っていったのか?相棒」
「ハァッハァッハァッハァッ!ここまで説得しても、分からないか、ユーレシア……」
『説得!?』
「ああっ分からないぞ!相棒」
………平行線か。ならば素直に答えるしかないな。
「ユーレシア。お前の言葉は……断じて受け入れられん、それが答えだ!」
「……相棒。本気なのか?」
本気?当たり前だろ、俺は静かに一歩前に出る。
「俺を舐めるなよ?ユーレシア……」
「私が相棒を舐めた事なんてないぞ?私達は常に対等だ」
………対等かっなる程な。
思えばこのユーレシアとは常に一緒に馬鹿をやらかしてきた俺だ。
この異世界に来てある程度経ったが、これまで対立した事は殆どなかった。
まぁあれだっ物語の主人公とその相棒ってのは、やっぱり最後の最後に派手にぶつかるのがアニメやゲームでもテンプレな展開だよな。
そうかっやはり全ての決着をここで着けるのが運命ってヤツなんだろう。
俺は覚悟を決めてユーレシアと相対する。
「行くぞオラァアアアアアアアアアアアアアッ!」
一瞬で決めてやる!。
俺の必殺のサラリーマンパンチが炸裂した。
スカッ(俺のパンチがかわされた)。
ピンッ(ユーレシアの神速のデコピン)。
ドゴォッ!(デコピンがヒットした音)。
ボッゴォオオオオォンッ!。
チートメイドのデコピンひとつで、俺は吹き飛ばされ壁にめり込んだ。
「がっ………は…………っ!?」
そしてそのままへたり込む。
ばっ馬鹿なっ……お金持ちとなって人生勝ち組な俺が、デコピンの一撃でっだとっ!?。
「さてっそれじゃあ私は自分の部屋に帰るからな、お小遣いは明日渡すから今日はもう寝るんだぞ~」
まっまるで何事も無かったかのようにされたっ!?。
ギイッ………バタン。
「ほっ本当に帰って行きやがった……」
『まぁ…あの女相手に勝てると考えていたマスターが、ある意味凄いですよ』
「ふっまぁな……っ」
『…………褒めてはいません』
「けどっ二万かよ……ハァッ……」
『そもそもの話ですが。その十億に化けた素材を集めたのも売ったのもあの女ですよね?むしろマスターが何故そこまで自信満々で全て自分の金だと主張出来るのかが……』
「………寝るか」
俺は自身の中に渦巻く様々な感情を整理する為にも、今日はもう寝よう。
色々あって、疲れたな……。
こうして、俺のお金持ち生活は幕を閉じた。
……………………。
『………マスター?』
俺はすくっと立ち上がる。
「……って!そんな簡単に諦めるかぁーーーーーーッ!プレア、インビジブルアンブレラを出せ!」
俺はアンブレラとインフィニティナイフを装備する。
「1度で諦めるか訳ねぇだろっ!十億だぞ十億!」
そして俺はユーレシアが借りている部屋に殴り込みをかける。
たとえ何度やられたって諦めない!俺の戦いはこれからだぁーーーーーーッ!。
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