第24話『ダンジョンヤベー』

俺とプレアにしか聞こえない不吉なアラートが鳴り終わる。


するとブォンッてな感じでボス部屋の中央に金色の魔法陣がバァーンッて現れた。

マジで嫌な予感がするんですけど……。


「……ん?何か出て来たっぽいよぉ?」

「………………」

「あれは、黒いゴーレム?」


魔法陣から現れたのは人型の黒いゴーレムだ、少し細身だが背丈は二メートルはあるな、あのボスゴーレムよりは小さいが、普通に強そうだな。


…………ってかよ。


「コイツは、ヤバすぎだろっ!?」

『マスター!このゴーレムの魔力、とてつもなく強大です!』


俺の目にも何かしらのスキルがあるらしいのだが、おそらくその能力だろう。


俺にはこの黒いゴーレムの大体の戦闘力が一目で分かった……っいや、強すぎてとても敵わないって事が分かっただけだがな!。


「おたくら!コイツはさっきのボスゴーレムとか比べ物にならんくらい強いぞ!まともにやり合うな、死ぬぞ!」


俺の言葉に三人にも緊張が走る、これであのゴーレムに突撃するバカはいないだろう。

しかし黒いゴーレムは、その姿を一瞬で消した。


違う!動きが早すぎて全く見えないんだ!。


「ッ!?……」


黒いゴーレムは、殆ど瞬間移動みたいな早さでフリーネの目の前に立っていた。


「フレア…!」


駄目だ、遅すぎる。

ボスゴーレムとの戦闘でレイナも金ぴかも前に出ていて間に入り込める場所にいない、そして1番近い場所にいる俺は……咄嗟に身体が動かねぇんだよ。


これだから三十路野郎のボディは!。


ゴーレムの両腕が鋭いブレード状に変形して、フリーネに迫る。


その時、二人の間に割り込むヤツがいた。


「ハアアアアアアアアアッ!」


ギャリィイイイイインッ!。


「……きっ金ぴか!」

「まだ言ってるのか!私の名はブランニーシャだぁっ!」


まさかあの距離を一瞬で!?全身鎧のクセに速すぎだろう。


「お前今まで手を抜いてやがったなこの金ぴか騎士がぁーっ!」

「言ってる場合か!?いいからさっさとこの魔導師の女を下がらせろ!」

「……分かった!」


俺はフリーネの手を引っ張り、レイナとともに出来るだけ距離を取る。


「レイナ!フリーネを連れてこのボス部屋を出ろ!」

「無理ですアカシアさん。ボス部屋は基本的にボスが現れると全ての扉は内側から魔法で鍵が掛かります」

「……つまり入る事は出来てももう出るにはあの化け物を倒さなきゃあいけないってか?」


流石はリアルファンタジーのリアルダンジョンだなっ仕様が本当にクソだわ。

まぁダンジョンって入ってきた冒険者を罠に嵌めるなりして仕留めるのが仕事だしな。


もちろんこっちはそのまま殺られるつもりなんて毛頭ないがな。


「なら出来るだけ二人はヤツから距離を取れ、間違っても戦闘に参加するなよ?アレは俺達とはレベルが違う。瞬殺されっぞ」


「わっ分かりました!」

「はぁーーい……」


そしてその黒いゴーレムとやり合っていた金ぴか騎士が一言。


「本当なら貴様は戦えと言いたい所だが、このゴーレムは本当に洒落にならないからお前も避難していろ、少し危ないからな……」

「……ああっ分かった」


俺も距離を取るように動く。

金ぴか騎士は剣を正眼に構え、黒いゴーレムを見据える。


「コイツの相手は私がする、お前達は余計な事はしないで待っていろ!」


何かスゴいカッコいい感じでキメ顔をかます金ぴか騎士。まさかこれ………。


黒いゴーレムが疾走する、金ぴかに接近。


「私の守りを、破れるものなら破って見せるが言い!セイクリッド・ガーディアン!」


金ぴか騎士の身体が更なる黄金の輝きに包み込まれる、元々黄金の鎧なんてのを着込んでいるのに

更にゴールドなオーラとか纏ったもんだから、その成金的な風貌に更に拍車が掛かってる。


「今の私は鉄壁だ!如何なる攻撃も意味を成さないと知れ!」


助けてくれて言うのもなんだけど、コイツ……。


『………マジックキャンセル』


三分後。


「おのれーーーっ!強化魔法も攻撃魔法も無効化するなどこの卑怯者がぁーーー!」


カッコつけて切り札を発動した感じを出して、変なフラグを立てた間抜けは俺の予想通りに黒いゴーレムに防戦一方である。


流石の金ぴか騎士も魔法関係を封じられたら見れたものではないらしい。

まぁ騎士が魔法に頼りまくって防御力を底上げしてる時点でどうかと思うんだけどな。


「おいっ!私がピンチだ!さっさと助けろ!」

「「「………………………………」」」


そういやコイツ結構偉かったな、自分の命の危機に平然と無理を言ってくるヤツってムカつくよな。


会社で無能な上司のバカが当たり前見たいにデスマーチ労働を命じてくる度に本気の殺意を覚えていた俺はこの手の人間が大嫌いだ。


しかしコイツには臨時とは言えパーティーメンバーのフリーネを助けてもらった訳だし、ここは三十路野郎が無理をするか。


「……これで貸し借りなしだからな!」


俺はインビジブルアンブレラを拾う(ロケットランチャーを射つ時に邪魔だったので足元に置いた)、これで俺の存在を黒いゴーレムは認識出来ない筈だ。


更に俺はインフィニティナイフの姿をランチャーから変える。


「先ずは、あのゴーレムを止めるか!」


ナイフを黒いゴーレムに向ける、すると刃先の形状が変化しゴーレムに向かって伸びて行く。


ナイフは鋼鉄製ワイヤー見たいな物に変わってひとりでにゴーレムの身体に巻き付く、そして拘束が完了した瞬間、ゴーレムは自由を失った。


『…………!?』

「これは!アカシアが!?」


現状ゴーレムは自分がワイヤーに縛られてる事すら分からない筈、そして金ぴか騎士は俺が何かすると考えたのか速攻でゴーレムから距離を取った……ってか逃げたぞ。


「ひいいいっ!あんなのの相手何か出来るか糞が!」


………俺ひいいいっ!って言いながら逃げる人間を初めて見た。しかも女の子が、ってか騎士が糞がって、クソを多用する俺でも引くわ。


『……………キギ!』


ミチッ………ミチミチッ……。


おっと、バカな事をしている余裕は無さそうだな、今こそ攻め時ってヤツだ。


俺のインフィニティナイフは、別に1つだから一個の物にしか成れない訳じゃない。

コイツを残したままでっと念じれば、このワイヤーを維持して他の物にも変身してくれるのだ。なんと言うか普通にチートだ、頼りになる。


そこで俺は……。


「頼むぜ!俺のそっくりさん!」


俺はインフィニティナイフを更に以前城の牢屋を脱走する時にお世話になった、俺にそっくりなゴーレム(多分ゴーレムだろ?)に変身させる。


そっくりさんは手についさっきまで雑魚ゴーレムを蹴散らしていた鉄バットを装備している。

俺のそっくりさんはそのバットで動けない黒いゴーレムを滅多打ちにする。


ガンッガンガン!ガンガンガンガンッ!。


俺のそっくりさんがバッドで殴りまくるが全く効いてる感じがしない、雑魚ゴーレムなら一撃だったのにやはりボスグラスは別次元って訳かよ。


「だがっまだ行くぜ、プレアお前のスキルって…」

『……もちろん私のスキルなら、あのゴーレムの真上にも出現出来ます』

「よしっ!行ってくれ」

『はいっ!』


返事とともにプレアが身動きが取れないゴーレムの真上に現れた、そして。


ガッシャアアアァンッ!。


「……これでどうだ?」


普通に考えて上から軽自動車が降ってきたら大抵の生き物は死ぬだろう。

そして俺のそっくりさんは間一髪で距離を取っている、そして黒いゴーレムは……。


『ッ!?マスター!危険です離れ……』

「何ッ!?」


ボゴンッと言う音がするとプレアが吹っ飛ばされた。

更にゴーレムの全身から湯気の様なものが出ていて、その全身の色が真っ赤に変わる。


「オイオイッ……マジかよ!」


次の瞬間、ゴーレムを中心に大爆発が巻き起こった。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る