第10話『ユーレシア無双』
《ユーレシア視点》
ズガァアアアアアンッ!の数十分前。
私の名はユーレシア。
『異界契約の指輪』っと言う、所有者がいる世界とは別の世界にいる上位存在と色々な細かいデメリットとか無しで主従の契約を結べるチートアイテムで相棒と契約し、顕現した最高のパートナーメイドだ。
本来は主従契約を結ぶ為の
まぁ相棒には言わないけど、なんの力も持たない人間とアイテムの力で契約しようなんて変わり者は私以外いなかった。
何しろ相手は人間より遥かに強大な力を持った上位存在だけを契約の対象としたアイテム、ついでに契約を交わした所有者の情報とかを事前に此方にも寄越してくれるので私には相棒の性格やら今までどんな人生を送ってきたのかともまるっとお見通しだ。
無論そんな話をすれば相棒はプライバシーとか何とかうるさくなるのも知ってるので何も説明はしないがな。
本来ならあの指輪は強制的に契約をさせる物なんだが相手を上位存在以上に限定したからその強制力が意味を成さず大半の上位存在は人間ごときの相手などしないので無視された。
そんな可哀想な彼の相棒に名乗りをあげたのが私だった。
まぁ私は上位存在よりも更に上に位置する超存在と呼ばれる存在だからあの指輪の力だけでは人間と契約なんて出来ないので、少々無理をしたら『異世界契約の指輪』が消しとんでしまった。
本来なら二、三体の上位存在と契約を結べる筈のチートアイテムだった筈だが、まぁ過ぎた事を考えても仕方ない。未来志向で行こうか。
そして現在、私自身まさかの街中大爆走であったのでかなり笑い転げてしまった。
ニヤニヤしていたらいつの間にか相棒が牢屋に連行されてしまったのだ、てっきり私も同じか隣の牢屋に行くものと考えていたら全く違う牢屋に別々に入れられた。
何故か私は取り調べをされた。
チラチラと人間のオスが顔と胸と太ももを見ていたな、殺したりすると相棒がドン引きするのは目に見えているから視線を無視して話も無視していたら牢屋に入れられた。
話の内容はどこぞの貴族の物になれば云々、聞く価値もない。
『もしもし、マスターが脱走します。そちらも脱走するなりして下さい』
これはあのポンコツカーの思念伝達か。
私が相棒に色々吹き込んだからなのか私に対する当たりが強い、しかしこの私を差し置いて相棒の相棒などと言うのが間違いなのだ。
実際に中古のポンコツなんだしレベルアップで自我を持っただけの軽自動車などたかが知れた扱いで十分だ。
しかしやはり相棒は自力で脱走出来る様だな、まぁ心配はしてなかったが、万一の時は私が城を灰塵にしてでも助けなければと考えていた次第である。
「分かった。それで相棒は脱走は出来るとして身の安全は保証出来るか?」
『認識無効のスキルを持っている傘がありますからまず安全に脱走出来るでしょう』
認識無効、この世界では一部を除いて殆どの存在から認識される事が無くなるスキルか。
実は異世界転移の時に彼の車の中にある大半の道具がレベルアップし、様々なスキルをゲットしたことを私は気づいていた。
車の中にあった物でレベルアップした物は、スマホ、財布、CD、傘だったか、確か他にチェアリング用のチェアもショボいがスキルをゲットしていたな。
後は相棒のサラリーマンスーツの上下と靴とカバン位だろうか。
相棒には後で気づくと面白そうなので何も言わないがな。
さてっ相棒の安全については問題無さそうだ。
ならっ私がするべき事は……。
「なら相棒に伝えてほしい、後は私が上手い具合に処理をするからそれまで相棒達は好きなように遊んでいるといい」
『…………分かりました』
思念伝達は終わった。
私がこれからする事は多分相棒的にも賛成してくれる事だろうが、少しビックリさせてやろうと考えて詳細を説明しなかった。
フフフッサプライズっと言うヤツだ。
そして私がこれからする事について説明すると、あれである。
「………この城の連中。この私と相棒を牢屋にブチ込むとは良い度胸だよ、後悔させてやろう」
まぁ城に突撃した事は認めるが、それはそれこれはこれだな。
っと言う訳で、これより私、ユーレシアによる『お城落とし大作戦。力わざ編』を開始しま~す。
早速牢屋から出るとしょう。
メギョッ!。
牢屋の鉄格子を千切って捨てる。はいっ脱出終わり。
「なっきさまぁあ!?何を堂々と牢屋を破壊してんだコラァアアアッ!」
ん?牢屋にいる私を見張ると言う名目で覗いていたクズ兵士が吠えている。
「何だあの力は、魔法か!?」「魔導師か!あのメイド」「メイドは良いなぁ」「くそっ!見た目が可愛いからって油断した」「兵士を集めろ!直ぐに取り押さえる!」「合法的に色々な所をさわるぞぉ!」「「「「おぉおおおおおおっ!」」」
更に何故かその見張りの兵士がやたら多かった、お陰で牢屋から一歩出ると兵士どもが鼻息荒く此方に殺到してきた。
死ぬほどキモい、殺してやろうか。
いやっ辞めておこう。私の相棒は人殺し重い罪になる世界から来たからな、下手に死体の山を作ると怒られそうだ。
ここは、身動きを封じる魔法でも使うか。
「………ハァッ…マテリアルバインド」
私の魔法が発動すると同時に全ての兵士の動きが止まる、この魔法は対象者の動きだけでなく声すら出すことが出来なくなる高度な身体拘束魔法である。
相手を殺さない様にする魔法ではこの手の魔法はテッパンだ、下手に戦闘をするよりも断然早く相手を無力化出来る。
「……さてっ行くとするか」
声すらあげる事が出来ずに顔を恐怖に歪める雑魚どもを尻目に私は歩き出した。
ちなみに私に取り調べでセクハラまがいな真似をした兵士には一発キツいのをかましてやった。キンテキブレイクである。
◇◇◇
「しっ侵入者だ!捕らえろぉおおおお!」
少し偉そうな兵士の命令、それに従う雑魚兵士が私に向かって突撃してくる。
「はいはい無駄だからな~マテリアルバインド~」
私の魔法が発動したら最後、視界にいる兵士は全て身動き一つとれなくなる。
自身の身に何が起こったのか理解出来ずに恐怖に支配されている、人間は愉快な種族だ。
下からある程度城を上ると兵士だけでなく上等な鎧を着込んだ騎士がやいのやいの言いながら此方に斬りかかってきだした。
「これ以上侵入者を先に進めるなぁっ!」「我が剣の錆びにしてくれる」「あれほど美しい女性が賊とは……」「我が家に伝わる宝剣の力をご覧にいれよう!」「騎士道精神を見せてくれる」
様々な鎧を着込んだ騎士だ、よく全身鎧で兵士よりも早く動けるものだ。
恐らく相応にレベルが高く、それにともなって身体能力も上がっているのだろう。
………あと騎士道精神がどうのって言っていたヤツよ、大人数で襲い掛かっているクセに舐めているのか?。
「どいつもこいつもマテリアルバインド」
ムカつくので全員無力化した。
当然だが城を侵入者が堂々と闊歩していると兵士やら騎士がもの凄くたかってくる、無力化するのに労力は掛からないがとにかくうっとおしい。
バギャアッ!
「ぶごぉっ!?」
ボゴスッ!
「がふっ!」
あまりにもうっとおしいので何人か鉄拳制裁をかました。
更に上に向かう。
目的地はこの城の国王がいるであろう場所だ。
私は人物探査が出来る魔法を使う。
「……サーチ」
私の頭の中にこの城の国王が現在いる部屋が何処なのか、その情報が入ってくる。
いるのは謁見の間か、誰かしらと会っているのか?。
「私達を牢屋に放り込んでいながら、舐めているのか?」
まぁ賊の侵入なんて話が国のトップに行くのか私は知らないし興味もない。
私にとって大事なのは私達を怒らせた責任は、やはりこの城で一番偉そうな連中にとってもらおうってだけである。
私は更に大きな声を上げながら私に襲い掛かろうとする雑魚どもを全て無力化しながら謁見の間に向かう。
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