第16話冴子の涙

『昨日はお疲れまでした先生m(_ _)m』

 私は朝早く起きてスマホでメールをチェック。そこには担当編集者のメールをチェックし、私も『はい、あなたもお疲れ様(^^)』

 と、返信をし、ホテルの朝食コーナーに向かう。フレンチトーストにご飯にお味噌汁に焼きそば、ローストビーフ、クリームコロッケ、いろいろなものがあって何個か食べてみたけど、やはり料理は慎吾くんの作るものが美味しかった。

 そして、慎吾くんに『今から帰るね^o^』と伝えるも返信は来ず。多分次の小説で煮詰まっているんだろうと思って一人でクスクス笑う。

 やっぱり、こういう悩みって同業者しか分かれない。そういうところで慎吾くんと知られざる絆のようなものを持ったことで優越感が出る。まあ、ライバルはあんまし、いそうにないけどね。

 あ、でも、同業者のライバルでもあるのよね、彼と私は。

 そう思って知らず知らずのうちに新幹線の中で微笑んだ。




 僕はリビングでiPadで恋愛アドベンチャーゲームをしていたら、玄関から鍵の開く音がした。

 今は午後2時、冴子が帰ってきたのだろうか?

 というより、そう思いたい。昼から鍵を開ける強盗なんて居合わせたくない。

 僕は玄関の方に足を向けると、果たせるかな。やはり冴子だった。

「ただいまー」

「おかえり」

 僕は微笑んで冴子を迎える、冴子は荷物を持っていたので、それを持つ。

「これは東京で買った東京バナナとこれは大阪で買ったタコ焼き。たこ焼きは後で食べましょう」

「了解」

 俺は二つを持って、東京バナナを菓子入れに置いた。

「お茶、用意するな」

 それに冴子はにっこり微笑む。

「うん」

 冴子は冴子で着替えとかを洗濯物カゴに入れて、他にスーツケースなどを整理していた。

 僕は煎茶を入れて、タコ焼きを取り出す。たこ焼きはレンジで温めるやつで、それを温めて、上にソースと青のりをかけた。

「冴子、できたよー」

 洗面所から冴子の声が聞こえる。

「ちょっと待っててー」

 それから、しばらくバタバタとした声が聞こえてきて、僕はまたiPadで読書を始めた。




 冴子はハンコのような笑顔で謝ってくる。


「ごめん、ごめん、遅れて」

「いや、大丈夫」

 そして、僕はたこ焼きにお辞儀をした。


「いただきます」

「いただきます」


 冴子も食事の儀式をして、たこ焼きをちょこっと頬張る。そして、満面の笑み。


「うん。やっぱりおいしい。本場の味だよね」


「いや、普通のたこ焼きの味にしか思えないんだが・・・・」

 それにプクッと冴子の頬が膨らむ。


「もう、なんでわかんないのかなぁ。これ、大阪のたこ焼きだよ?」

「そうだね」


「いわゆるほんまもんのたこ焼きじゃない。普通のたこ焼きより美味しいに決まっているよ」


「まあ、冷凍のたこ焼きよりは美味しいな」


「じゃあ何?これは岡山で売られているたこ焼き屋台のたこ焼きと同じぐらいだっていうの?」


「うーん、似たようなもんだろ?」

 それに冴子は明らかにむすっとした表情を作った。


「あ、ごめん、悪かったよ」

 僕は頭を下げた。それに冴子はヒナゲシの笑みを浮かべる。


「ううん、いいよ。私も大人気なかったし」

「まあ、でも不機嫌にさせてごめんね?」

 それに冴子は綿飴の笑みを浮かべながら、たこ焼きを食べていった。


「うん、やっぱり美味しい」

「そうだね、美味しいね」

 僕も微笑む。綿飴がさらに大きくなっていった。


 そして、ふと、たこ焼きを食べていた冴子が手を止めてこちらをみた。


「そういえば、小説の方は順調ですか?」

「小説・・・・・・・」

 僕はその言葉に闇を感じた。僕も爪楊枝をたこ焼きにさして、そっと言う。


「実は、小説やめたんだ」

「・・・・・・・・・え?」

 また、たこ焼きを食べようとした冴子の手が止まる。そして、まじまじと僕をみた。


「本当ですか?」

「本当」

「なぜ?」


「なぜって、書く気力がなくなったからかな」

 それに冴子の顔色が青くなった。

「ど、どうして?」

 それに僕は軽く伸びをして、たこ焼きを口に運ぶ。


「別に驚くことじゃないだろ?この業界、途中でリタイヤする人は大勢いる」

「そうかも、そうかもしれないですけど・・・・・」

 冴子の顔が俯く。そして、キッとこちらの方へ向いた。


「理由を聞かせてください」


「なんかね、他の人のように書けないな、と思って」

「・・・・・」


「僕の小説って、ライトノベルと純文学が混ざり合ったような小説だろ?でさ、それが僕の強みだと思っていたんだ。全く新しいものを生み出せるのが強みだと錯覚していたわけ」

 僕の分の最後のたこ焼きを頬張る。冴子はあれから手をつけていない。


「でも、それが大きな勘違いな気が今ではするんだ。新人賞に通過するものや、書籍化されるものはどこかでみたものばかり、それに対して面白くないしね。僕の一番の大作、イケメン一樹も最後まで読んでくれる人は2、3人ぐらいなものだし、正直言って向いてない気がして」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「他の本とかもちょいちょい読んでみたけど、どれも面白くなかった。なんか過度に主人公に感情移入させようとして、痛々しかった。僕のような書き方は、完全にオリジナリティが溢れ(あふれ)る書き方だけど、でもそこまでべったり主人公に感情移入させるような書き方をしてないし、なんと言うか、僕は世の中に必要されていないんじゃないかって思って、それでここ2週間ぐらい休んでみたけど、いや、すごかった」


「何がですか?」


「ただ、単にだらだら過ごすのってこんなに気持ちがいいんだなって、思って。好きな時にゲームができて、好きな時に小説を読める。無職なのは世間一般では悪いイメージだけど、本当にリラックスができたし、ずっとこんな生活を続けてみたいと思った。まあ、君が追い出さなければ、だけど」


「追い出しはしません。それを確認の上で一つ聞きます」

「うん」


「本当にもう、書かないんですか?」

 冴子の目が潤んでいた。


「冴子、どうして泣いているの?」

「だって、だって」

 冴子は顔を俯き、ハンカチで涙を吹きながらしゃくりながら言っ

た。


「あんなに才能のある作者が本が、もう書かれないなんてかわいそうです。他の読書家にとってそれを提供しないなんて、大きな損失ですよ。あんなに面白いものを」


「でも、面白いかどうかは読者が決めることであって、僕らが押し付けるものじゃないよ。実際に僕の本はそんなにpv伸びてないし」


「でも、でも!」

 冴子は立ち上がった。


「でも、あなたには諦めて欲しくなかった。あなたは私のヒーローだった。全然売れなくても、それでもあんな素晴らしいものを生み出す、あなたは本当に尊敬しているし、だから、だから・・・・・・・・・・やめないでくださいよ、諦めないでくださいよ。今まで日陰にいたあなたが、時代を作っていく。実際にその才能はあるんですから、私はそれを夢見ていましたし、あなたの本を読んであなたにあって、それで全然売れなくても卑屈じゃない様子のあなたにとても勇気がもらえました。だから・・・・・・・・」


 冴子は時々言葉に詰まっては吐き出し、それでも、最後に言葉に詰まっていた。

 僕はその冴子はそっと抱きしめる。


「冴子」

「はい」


「僕のために泣いてくれてありがとう。僕のことを応援してくれてありがとう」

 それに冴子はビエンビエン泣いた。

 そんな冴子に僕は優しくキスをする。


「んっ」

 そして、ディープなキスに変化させていき、僕は寝室に冴子を移動させた。


 冴子のセーターを脱がせて、さらにその下にあったネルシャツも脱がせる。その過程でキスはやめない。

「んっ!ちゅ、ちゅ・・・・んっ、じゅ」


 そして、スカートを脱がせ半裸にすると、あまりに大きなメロンにかぶり付く。

「あっ、ん!」


 ブラジャーを脱がせていき、メロンを堪能すると、そのまま下の方んキスをする。

「あん♡あん♡」


 そして、股間に来て、白桃をマングリとつかむと、花弁を丁寧に舐め回した。


「あーん!!」

 そして、僕たちはことを済ませた。


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