第14話無双勇者 再度挑戦

 僕が作ったペペロンチーノは冴子は美味しい、美味しいと言って食べてくれた。それはいいんだが・・・・・・・


 僕はまた、『無双勇者』を読んでいる。今一番売れているラノベだし、勉強がてら読んでいるのだが・・・・・


 なんというか、もうお腹いっぱいです、はい。


 所々にネット小説を肩透かしするシーンもあるが、そもそも小説なんだから、そのままゲームのような世界観にかなり幻滅しています。これ読むぐらいだったら普通にゲームをするわ、と言った感じだ。


 それに所々に挟まれるエロシーンが何より僕はげんなりさせる。なんか、エロ向けの小説でエロが入るにはいいんだが、一応異世界転生であからさまなエロを全面に打ち出すような世界観ではないのに、普通にちょっとしたエロシーンとかあるとげんなりさせてしまう。


 なんか、こんなんで喜ぶ読者がわからない。


 そもそも、これはウェブ小説のカウンターカルチャーだが、そもそもウェブ小説がよく好きじゃない僕にとってはなんでそこまで受けるのかわからないし、これはウェブ小説に依存して作られた作品だ。


 なので、出版業界全体のパイを広げるような作品ではない。まあ、ウェブ小説ばかり読んでいる人たちが買うかもしれないが、正直言って他のエンタメ本とか、純文学者から読まれることはないだろうし、何よりこれは今のネット小説に依存しているから、ウェブ小説の流行りが変われば読まれることはないだろう。


 場つなぎとしては悪くないかもしれないが、こんなものばかり売っていては本当にラノベ小説の未来がなくなる。


 それにこれは無双勇者とは別だけど、シリアスなストーリーにコミカルな描写を入れるのは個人的に好きじゃない。シリアスと言っても、色々シリアス度が作品ごとに違って当たり前だが、十こうなストーリーにコミカルな部分を入れるとげんなりする。


 まあ、2000年前期のアニメにはコミカルなストーリーに非常にシリアスなメッセージを入れる作品が多かったから真似しようとしているんだけど、相当の才能の持ち主じゃないとできないからやめた方がいいし、あくまで2000年前期のアニメはコミカルな世界観にシリアスなメッセージだ。


 重厚なストーリーにコミカルシーンを入れる作品で成功した作品を僕は知らない。中にはあるし、世間的に評価された作品も少しはあるが、僕はそういう作品を全く認めていない。


 閑話休題。僕は無双勇者の第1巻を丁寧に棚に戻した。そして、寝室から出てリビングに向かう。


 リビングでは冴子がやはり、『赤と黒』を呼んでいた。冴子が僕に気づく。


 冴子はニコニコしていった。


「洗い物済ませたよ」

「どうも、ありがとう」

 そして、僕はチュッと冴子の頬にキスをした。


「キャ!」

 冴子は恥ずかしそうに頬を赤らめていた。

 そんな冴子に僕は話しかける。

「そのワンピースかわいいね。白が好きなの?」

 冴子はフリルについた白のワンピースを着ていた。胸元が大きく空いていて、豊かなメロン乳が光沢を光らせながらその存在感を見せていた。エロいね。


 それにコクリと冴子はうなずいた。


「はい、白い服装好きです。なんか、こう女の子とした感じでいいじゃないですが、だけど・・・・」

 冴子の顔が曇る。


「だけど?」

 グッと襲いたい気持ちを我慢して頷く。ここはエロの場面ではない。


「女友達からはよください、と言われました。あんまり歓迎されてないことはなんとなくわかります」


「うん」


「でも、それって何かおかしくないですか?身なりが不潔だったら非難されてもいいかもしれないが、服装の細々としたところでチェックされるなんて、私は嫌ですね」


「友達はいるの?」

 冴子は小川のような表情をした。


「はい、います。私も女友達はいますけど、私は別に男とか女とか関係なく友達として接しています」


「でも、男友達は君とあわよくば、と考えているんじゃないの?」

 それにクスクスと冴子は笑った。


「はい。そうですね。そうだと思いましたけど、男の子って面白いじゃないですか?私たち、女性の側からしたら素っ頓狂(すっとんきょう)な思考をしていて、一緒にいて飽きません。もちろん、ガードはしていますけどね」


「まあね」

 僕は冴子の隣に腰掛けた。そして、スマホを取って電子書籍を読み始める。


「何読んでいるんですか?」

「『魔法ラブ』知ってる?」

 それに冴子は被り(かぶり)を振るう。


「いいえ」

「ドタバタコメディなんだけどね。中学生のとき読んでいて、その時は買うのを止めたんだけど、めっちゃ好きで、たまたま最近アプリを見たら、全完全版が電子書籍で売られていたから購入した。面白いよ」

 そうは言いつつも、胸元のメロン乳に目が行く。襲うのは夜まで我慢だ。


「ふーん」

 冴子はなんとも言えない表情をした。それに僕は苦笑する。

「電子書籍って便利だけど、人にかせないのが嫌なところだね。楽しみを共有できない。そうだ、興味があるなら、僕が買おうか?ちょっとこの小説、一巻とそれから続く巻の構成がかなり違っていて、試し読みじゃわからないんだ、だから・・・・」

 それに冴子はやんわり否定した。


「いえ、大丈夫です」

「そう?」

「私、貯金に5億ぐらい持っているんで、三千円とか5千円なら買えます」

「そうか、なら買えば良いよ。面白いしね」


 それに冴子はにっこり微笑んだ。

「はい」


「そう言えばさ、なんで岡山に住んでいるの?東京には住まないの?」


「まず、私の実家が岡山にあって、で、岡山の大学に通っていたんで、打ち合わせとかは東京で、それで実家で執筆活動をしていました」


「ふんふん」


「で、結構売れだした頃から一人暮らししたいなと思って、でも、東京ってめっちゃ人が多くて肌に合わなかったんですよね。だから、岡山のマンションに住むことにしました。打ち合わせとかは東京に行きますが、今はそれさえも、テレワークの会議でやっていますから、全く岡山で過ごしながらできています」


「なるほどねー」

 僕はもっさりうなずいた。


「そう言えばさ」

「はい」

 冴子は目をくりくりさせてきいてくる。


「『無双勇者』の感想言っていい?」

 冴子は一瞬白い陶器の表情をした。だが、それはすぐ消え、いつものニコニコした表情になった。

「はい。いいですよ」


「正直言ってさ、この本の題材がわからなかったんだよね」

「題材、とは?」


「いや、ゲームのような世界で、ウェブ小説のお約束展開を外しまくるという話だけど、僕なら、こういう小説読むぐらいなら、ゲームをやったほうがいいと思うんだ。本当にゲームのような世界観を持つ小説は小説の将来を失わせると思うよ。だって、普通に考えてゲームの方がいいでしょう?」

 それに冴子は綿毛のたんぽぽのようなクスリとした笑い方をした。


「ど、どうしたの?」

 冴子は海蛇の表情をする。


「いえ、その話、前の担当の人が聞いたらどう思うだろうと思って」

 それで僕はピンときた。


「まさか、無双勇者の作者って・・・・・」


「そう、だいたいの世界観とストーリーは担当の人が考えてくれました。私はそれにアレンジを加えただけ。そうそう、ウェブ小説のお約束を外した、と言ったその部分を主にアレンジしました」


「そうなんだ・・・」

 少しは驚いた。しかし、こういう話は巷(ちまた)でちょこちょこと噂に聞いたことがある。小説のストーリーは編集者が考えるということを。だから、そんなには驚かなかった。


 冴子は紅葉の表情をする。

「あんまり驚かないようですね?」


「まあ、そういうのは噂で聞くから」

「ふふふ、オフレコにしてくれますか?」

「もちろん」


 内部の話を言いふらすほど野暮ではない。まあ、よほどの悪事がなければの話ではあるが。


「で、冴子は書いていて、楽しかったか?」

 冴子は石の表情をした。


「そうですね」

「うん」


「正直言ってしんどくなかったと言えば嘘になります」

「うん」

 しかし、風の乗ったタネが石につき石を貫通した根をはり、たんぽぽの花を咲かせた。


「でも、アレンジしていく楽しさはありました。だから、投げ出したいとは思いませんでした」

 そう言って冴子はにっこり笑った。


「そうか、ならよかった」

「はい」


 そして、夜、ベッドに入った途端僕は冴子の爆乳を鷲掴みにした。


「キャ!」


 カレンは驚いた表情をしたが、その背後に明らかに官能の期待があった。

 僕はキスをしつつ、カレンの寝巻きを脱がせ、ブラジャーとパンティーを取っ払っていく。

 

 そして、僕も全裸になり、カレンを押し倒した。


「今日は寝かせねえよ」


「いや!」


 と言いつつ顔は喜色満面だった。


 カレンの大勢をバックにする。そして耳元でささやいた。

「さて、大物作家がどれだけ立っていられるか今から楽しみだな。今夜はめちゃくちゃにしてやる」

「いや!やめて!」


 と言いつつも、背後の官能の期待を感じつつ、前戯をしてから穴を掘りまくった。

 冴子は最初は抵抗をしていたが、それはフリですぐにメスの表情になり、僕たちは倒れるまで官能の時を過ごした。


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