歯を磨いた後に食べるクッキー

美しい文章で終始語られる罪悪感。人間失格とはそこに書かれている人間の失格であると捉えています。神から与えられた命とはそういうものであり、それが原罪であり、故に美しく人を惹きつけるのかもしれません。果実すら口にすることが無いのも美しさなのでしょうか。深く読み解いてみたい素晴らしい作品です。

　つらつらとしたためられた念のような、妄想のようなモノを読みました。これが何かとハッキリ形容するには私の感性が足りません。それでも作者様の表現した世界は、どこを切りとっても『名文』であふれてありました。ただし、吐き出される想いの濁流は決してキレイなばかりでなく、むしろ生をグロテスクに書きつらね、ある種の酔いを誘うものでした。本質的な部分をつかめなくとも文を読みすすめることに面白みがあります。
　この手の作品は作者様の顔がみえる気がします。当然文面からの印象ですので、それが作りものである、つまりまったくの別人をみている可能性は多分にあります。が、本作のいわゆる独白文に綴られている自己完結の世界…続きを読む