第9話本当に現れるん

「ここが館か?」

 俺達3人は占いじーじの館に来ていた。

「そうだ。ちなみに1回10万円だぞ」

 完全にぼったくりやん。

「だが特別記念お客様感謝セールで100円になった所だ」

 値段の差激しすぎだろ。

 最初から絶対その値段で行けたろ。


「着いたぞ」

 入り口には紫色の暖簾がかけられているだけで、俺達3人はその暖簾をくぐり中に入った。


「いらっしゃい」

 声の方向を見ると『占いじーじ』 らしき人物が水晶の上に乗って浮いていた。

 完全にあれやん。

 もう完全やん。

「さて誰から占う」

 俺達は全員を見合わせ正道を1番最初にだした。


 占いじーじは上に乗っていた水晶を机の上に置き両手で水晶をかざした。

 中から何やら人が映し出されてきた。

 これって、あの婆さんやった。

「お主の相手はこれじゃ」

 えーー。

 ピンポイントかい。

 占ってないじゃん。


「次は誰が占うんじゃ?」

「俺が行こう」

 何その主人公が今からラスボスへ向かう感じの意気込みは。

 占いじーじは先ほど同じ様に両手で水晶をかざしたら何やら映し出された。

 これは……人…いや

「動物じゃ」

 しかも犬だった。

 むちゃくちゃだしいい加減だよ。

 絶対に当たらないわ。

「崇帰るぞ?むちゃくちゃだわ」

 俺は崇の手を引っ張り出口に向かおうとすると、微動だに動かない。

「おいどうしたんだよ?」

「当たってる」

「え?」

「当たってるよ。今俺家の愛犬にベタ惚れだもん」

 それは当たってるな。

 まさかこいつ本物なのか。


「続いて俺お願いします」

 俺もやるしかねーな。

 占いじーじは先ほどと同じ様に水晶玉に両手をかざし占いを始めた。

『パキパキ』

「何と」

『パキーん』

 水晶玉がモノの見事に割れた。

「俺の運命はどうなるんですか?」

 占いじーじは自分の水晶が割れた事によりめちゃくちゃ悲しい表情をしていた。

「うるさい」

 占いじーじは俺の言葉など聞く耳持たずに、ただ水晶を眺めていた。

 俺は占いじーじの身体を揺らして『どうなったのか?』 と問いたが返事はこない。

 占いじーじは最後俺の方を向き直り鋭い眼差しで一言。

「自分の人生は自分で決めなはれや」

 何か聞いた事あるフレーズだぞ。

 完全に仕事放棄だよ。

 騒いでいる俺を崇と正道に抑えられ占いじーじの館を後にした。

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モテる奴はやっぱり顔か。 てるた @teruo0310

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