知らない国? 知らない土地? いいえ、あなたは知ってるはず。

当方、「スチームパンク」がどんなものなのか、知らないままこの作品を読み始めました。何せミステリー畑の出身ですから、ファンタジーの世界にも疎い、この作品のいい読者にはなれないんじゃないかと、不安もありました。

結果からまとめましょう。杞憂だった。

作者の笛吹ヒサコさん、きっとこの作品を書くために、世界地図から作ったんじゃないかなぁ。そう思わせるほど、この作品の世界観に飲み込まれました。

この世界の地理、文化、歴史、宗教、社会、全てが新鮮で、けれどどこか知っているような気もして、「身近だけど知らない」世界を僕は味わいました。

登場人物の描写……とても丁寧です。特に行動や態度から心情を察することができる点がいい。
魔法の描写……ミステリー畑で、そういう「魔法の場面」の想像力に欠如している人間でも目の前にありありと浮かぶほど。
世界観……先ほども話した通り。

このレビューを書いている2021/2/4時点でまだ連載中ですが、続きが楽しみ。

これはあなたの知らない世界の話じゃない。きっとどこかで、知っている話。