私の世界

 ショートカットが似合うと言われる私。女だけど男勝りだからかな。

 顔は美人じゃないけど、一応人並みだと思うのよ?

 友達は多い方。一つ年上の彼氏がいるの。部活で一緒の先輩。

 そう。私、部活してるの。幼い時テレビで見て、自分もしたいと思ってた剣道。

 毎日帰りが遅いって両親には言われるけど、部活の後、先輩と歩いて帰ったらそりゃ少しは遅くなるよね。




「沙恵」

 聞き慣れたやさしい声に私は目を覚ました。

「お母さん?」

「寝てたの?」

「うん……」

「ごめんね、起こしちゃったわね」

「いいの」




 夢の中の私は元気で毎日が楽しくて充実してる。

 時々どちらが本当の世界かわからなくなる。


 眼が覚めるといつもの病室。変わるのは窓から見える季節だけ。もうどのくらいこうしてるかな。


 学校に行きたい。友達も彼氏も欲しい。

 別に美人になりたいとか、人気者になりたいとかそんな多くは願わないから、だから、ごく普通の学生生活を送りたい。


 もう一度眠ったらその世界が現実にならないかな。

 毎日夜空にそう祈りながら眠りにつく。


 神様。

 それでも私は生きてます。



                 了

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る