25話 リサにもラブレター。すごい偶然だな

「それで、どうなったんだ?」

「あのね……。教室に入った途端に『彼氏よりも弟になって! お姉ちゃんって呼んでみて!』って言われて両手を握られたから、怖くなって断っちゃった」


 想像すると壮絶な場面だな。


「良い判断だと思うぞ」


 ヒカリが変なことに巻き込まれなくてよかった。いや、半分巻き込まれてるか。


「とりあえず一件落着だねー。まあヒカリちゃん可愛いし弟にしたいってのもわかるけどね」

「ここにもやばいやつがいたか」

「冗談だってば」


 マヤが手をひらひらと振る。


「あの。わたしにも来ちゃいました。ラブレター」


 リサの手にはピンクの封筒があった。


「おー! すごい偶然! リサまでラブレターもらうなんて」

「リサもここで読むの?」

「はい。お付き合いって、漫画やアニメでよく見ますけど、自分のこととなるとよくわからないので」


――――――――――――――

 高橋理咲さんへ

 本来なら直接会って言うべきなのですが、勇気が出ないので、まずは手紙を送ります。


 あなたのやわらかい雰囲気やしぐさに一目惚れをしてしまい、気づけばあなたのことを目で追っていました。

 私とお付き合いしてもらえませんか?

 女の子同士のカップルは多くないですが、愛があれば大丈夫だと思うんです。


 ○月□日の放課後 △△教室で待っています。

――――――――――――――


 まさかの女子からだった。


「女の子からじゃん! リサのほうが女の子にモテてるじゃん」

「リサちゃん、どうするの?」

「会ってきちんとお話ししようかと。好意を寄せてくれた相手が誰であっても、真剣に向き合わなきゃいけないと思いますから」

「リサらしいわね」


 確かにリサらしい考えだ。


 それにしても、三人がラブレターをもらうなんてすごい偶然だな。

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