第24話 ヒカリにもラブレター……なのか? これは。

「結局断ったのか」

「だって相手のことほとんど知らなかったし。まずは知り合いから?」


 相手は勇気出してラブレター送っただろうに。道のりは遠いな。


「この前の『付き合っちゃうかも』は何だったんだよ」

「それ覚えてたんだ。ナギトをからかうためかな。それに、私には好きな人が既にいたりして。きゃっ」


 マヤがわざとらしく顔を手で覆う。

 ああ。元から道なかったな。行き止まりの崖だったな。気の毒に。名も顔も知らないあいつに合掌。


「た、ただいま……」


 ヒカリがやってきた。声に元気がない気がする。


「おかえり。遅かったな」

「うん。ちょっと考え事してて」

「考え事?」

「これなんだけどね」


 ヒカリは鞄からあるものを取り出す。


「その紙がどうかしたの?」


 アカリが聞く。一見ただのメモ用紙にしか見えない。


「手紙みたいなんだけどね」

「ヒカリちゃんにもラブレター? ヒカリちゃんにはまだ早いんじゃないのー?」


 マヤが茶化す。


「うーん。これってラブレターなのかな……」


――――――――――――――――――――

 中村くんってさ、小さくて可愛いよね。

 普通の女の子よりも可愛いんじゃないかなって思う!

 それでさ、私の彼氏になってくれない?

 女の子より可愛い彼氏って面白そうだし。


 ○月×日の昼休みに×△教室で待ってるからよろしく!


 あ、私の弟でも良いよ♪

――――――――――――――――――――


 俺は開いた口がふさがらなかった。


「あっはっは! 弟だって! なっちゃえば? その子の弟に」

「愛を伝えるって意味ではラブレターではあるわね」

「ヒカリさんが弟って楽しそうですねー」

「おかしいだろこれ。彼氏はまだわかるとして、弟って何だよ」


 弟ってことはもしかして上級生か? いや、そんなことは今どうでもいい。


「これ行くのか? ヒカリ」

「うーん。せっかく手紙もらったんだしいかないと悪いかな……」

「やばいやつだったらどうするんだ。ていうか、絶対やばいやつだろ」

「行かなかったら、その人怒っちゃうかもよ。ふふっ」


 マヤは何かがツボに入ったらしい。さっきからずっと笑っている。


「そうだね。うん。頑張ってみる……」

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