第16話 あなたが落とした斧は・・・

 へっへっへ、いい話を聞いたね。


 木こりの爺さん、森の泉に斧を落としちまったら泉の精が現れて金の斧と銀の斧を貰えたってよ。


 こんないい儲け話は無ぇや。

 斧ほどもある金や銀の塊がありゃ、当分遊んで暮らせんじゃねぇか。


 やらねぇ手は無えよな?


 しっかし、へぇ~、あの薄気味悪い森の泉に美人さんの精霊がねぇ・・・


 へっへっへ、楽しみだぜぇ。


 よーし、ここだな。

 へっ、この親父の斧が金や銀に替わるんなら願ってもねえぜ。

 仮に話がウソだったとしても、どうせもう錆びて使えやしねぇんだから惜しくもねぇ。


 いくぜぇ・・・泉の精霊さんとやら、出て来ておくんなさいよぉ。


 そおれっ!!



 ドボンッ!!


 ・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・


 あれ、出てこないねぇ?

 やっぱウソだったか?

 でもあの爺さん、実際に羽振りが良くなってたしなぁ・・・

 くそ、さては担ぎやがったか?!


 おっ!?

 何だか泡立ってきやがったぞ。


 お、おっ、おおおおお・・・


 あ・・・


 はわわわ・・・


「わたしはこの泉の精です。

 あなたは今、この泉に斧を落としましたね?


 落としたのはこの金の斧ですが?

 それともこちらの銀の斧ですか?


 それとも、今アタシの頭に刺さってるこの錆びた鉄の斧ですかぁぁぁぁぁ?!」

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