魔力と魔法

「さてと、地理等はこんなものにして魔力そして魔法に行こうか」

「押忍!」

「では、魔力について教えた事を聞かせるのじゃ」

「押忍!」


 魔力、それは生命維持とは別に体内に余剰されている生命エネルギーの事である。

これらは人間以外も全ての生物の持っている物らしい。

 何故存在するのかについては議論が絶えない、生命維持が危ぶまれる危機的状況で活用する為か、使おうにもエネルギーに対して肉体の方が先に参ってしまうから使えないで余剰されているだとか。


 まあ色々とあったりするが、そこは別段重要な事ではない。

要は魔力を魔法として使えるか使えないか、学者先生じゃなければ、ここ以外はどうでもいい事なのだ。


「魔力については、理解しておるな、では次は魔法について述べよ」

「押忍!」


 魔力を認識し、それを解放して制御する事で様々な現象を起こす方法である。

魔力の認識とは体内の余剰エネルギーを自覚する事である、認識するには、既に魔力を認識している物から自覚させて貰う方法と。瞑想等の強い集中状態を維持し自分の中の魔力をゆっくりと感じ認識していく方法の二つがある。

ただどちらにも利点と欠点があるもので。


 最も分かりやすいのは習得の速さだろう、断然前者の方が早い。後者は出来ない人はずっと出来ないらしい。ただ前者は体への負担が強い、子供にこれをやれば一晩中どころか酷ければ三日三晩高熱に悩まされ、死の危険まであるだとか。


 そして解放とは認識した魔力を体外に排出する行為だ、魔法はこの解放された魔力を用いて行う、ただ解放された魔力は身体から離れ空気中に霧散していく傾向にあるので常に制御が求められている。いかに素早く魔力を解放するかも重要だが、常に自身の魔力を制御下におけるかもかなり重要な部分だ。


「お前さんは去年の暮れにようやく認識が出来たんじゃったな」

「ようやくと言う事は遅い方なので?」

「10歳から瞑想をさせて13になっても認識できなければ目覚めさせると言った形式が魔法の習得の基本的なやり方じゃ。トラの場合は6歳からやらせたからのう、期間だけで言えば普通かやや遅いくらいじゃ、ただその歳で魔力を解放させているのは早い方じゃ」

「6歳から瞑想を始めたから、確かに期間だけで言えば先生の言うとおりですかね」

「そんなもんじゃな、してそんな魔法の型には色々あるんじゃ、答えれるかのう?」

「えっと……」


型は主に5種類あるんだったかな。

自分の肉体や武器を強化できる強化型。

自分から離れた魔力の維持や離れた所へ魔力を飛ばす事が出来る放出型。

魔力によって様々な物を作り出す具現化型。

魔力を物に通したり、時には人に干渉し、それらを操る操作型。

魔力の性質を変化させる変化型。

これら5つである。


「うむ、一応これとは別に何でもアリな特質型という物があるが、割愛じゃ」

「特質型ですか、何でもアリってどこまでなんでもアリなんです?」

「奴等は本当何でもアリじゃった、話しても今のトラじゃ混乱するだけじゃ」

「あった事があるので?」

「大分昔にな、さて、この魔法の型は一人一人得手不得手がある、それらの判別方法は分かるかな?」

「ええ、理解してますよ」


 魔法の型の得手不得手、これは魔力を見るとすぐに分かるのである。

解放されている魔力は同じ様に自身も魔力を解放していれば視認できる様になる。

そうして視認している魔力には色がついており、その色によってどの魔法の型が得意なのかを判別出来るそうだ。 


 赤は強化、橙は放出、黄色は具現化、青は操作、紫は変化といった具合に。

そして、これらの魔力の色に似た傾向の髪色をする人もいて、そう言う人は内包している魔力の量が常人より高い傾向にあり、魔力の申し子と呼ばれるようになる。

 その魔力の申し子一つとっても、原色に近ければ近いほど魔力が高い等の程度の差はあるそうだが。


「うちの父さんや姉さん兄さん、それとステラが魔力の申し子ですね、ちなみに僕の魔力は黄色なので具現化型、母さんのも見た感じ黄色だから同じなんですよね」

「髪色や髪質といい美形な所といい、とことん母親に似たもんじゃのう、ちなみに儂は赤色じゃて、強化型がもっとも得意じゃ」

「そう言われるのは悪く無いですよ、後は具現化の場合は放出と操作とも相性が良いのですよね」


 魔力の型は五角形に並べられる、強化から時計回りに放出、具現化、操作、変化の順番だ、そうして並べた五角形で自分の得意な型と隣り合う型とは相性が良く。

逆に隣り合ってない他とは相性が悪いと言う事になる。

ただ悪いだけで出来ない訳では無い、ただ時間と努力は必須だそうだ。


「さて、そんな訳で魔法についても儂から教えたいのじゃが……すまん」

「いきなり謝罪とは、どういう事ですか?」

「儂は具現化も操作も使えん、放出にしても殆ど使わんでの、教えれる者は無い」


 どうやらこれ以上の魔法については独学が強いられる様だ。

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