エピローグ

 さあ、これでこの話は終わりだ。

 ええ?例の”上野介の書状はどうなったか”って?

 副住職氏からあの後俺の事務所オフィスに電話があったのだが、それによればあの書状、二・三の歴史学者や研究者に見て貰ったところ、

”確かに上野介の書状と筆跡はそっくりだが、本物だと断定するには決め手に欠ける”という結論が下された。

 かといって廃棄してしまうにはということで、現在でも寺の中にある耐火金庫で眠っているそうだ。


 本人が自分で書いたと言ってるんだから、本物であるには間違いないのだが、タイムスリップなどという話、現代の人間に信じろという方が無理なんだろうな。

 てなわけで、今でも内匠頭との問題は謎のまま、そして上野介殿は、

”悲しい悪役”のままである。


                                終わり

*)この物語はフィクションであります。

  登場する出来事、人物その他全ては作者の想像の産物であります。

  

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奇々怪々歴史譚(ききかいかいれきしばなし) 冷門 風之助  @yamato2673nippon

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