第5話 神との友情

結局ヌトリで、私は仕切り板を買った。安いやつだし、どこか心もとなかったけれど、これがなかなか使える。賃貸なので、床に穴は開けられないが、置いてみると案外ガッチリしていて、相当大きな地震が来なければ倒れそうにない。流石、お値段以上、ヌトリ♪と言っているだけある。それを部屋の一角に置いて、ゴッドに角部屋のような小さな部屋を作った。ゴッドも、童心に帰ったように(もともと何歳かわからないけど)喜んでくれて、なんだか嬉しくなった。


それから、私はゴッドの目を気にしなくて良くなった。ご飯や、テレビを一緒に見たいときだけ、ゴッドは簡易角部屋から出てくる。

「ご飯できたよ〜」

「ほ~い」

こうしていると、まるで新婚夫婦みたい。年の差は…多分100以上はあるけど。


いつまでこんなおじいさんと一緒に…って思うけど、こんな生活も悪くないかもしれない。会社でも家でも独りぼっち。そんな生活に、少し花が添えられた感じ?以前よりかは心が豊かになった気がする。…って、

「なんで私の箸使ってんの〜!?」

「おっ、間違えた、すまんすま〜ん。」

キモい。キモすぎる。そして謝り方。絶対反省してないじゃん。もう。

でもそのイライラさえも、なんだか心地よくて。人と関わるって、人と生きるって、こういうことなんだなって。


その夜、私は夢を見た。ゴッドと、ニコニコ朝食を食べている、ただそれだけの夢。だけど、ものすごく幸せな気分で、やっぱり友達(?)っていいなって思った。こんな幸せな気持ち、いつぶりだろうか。多少キモくても多少ウザくても、これからも一緒にいたい。そう思ったし、胸のどこかではそうなると思っていた。

思い込んでいた。


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