第10話

俺、那須伊織は今宇多家にいる。目の前には真昼以外の家族。真昼は基本的に10時を過ぎると眠くなって寝てしまうのでこういう報告会は寝たあとに呼び出される。ま、家隣だしそれはいいんだけど………もう宇多家の圧がね、


「いつも悪いわね〜伊織くん!それでどうだった?四条さんって。」と笑顔だけどなんか怖い美星さん。


「まーかなり綺麗な人っすね。なんでも花咲高校の四天王に一年ながら入ってるとか。そんな感じっすね」


すると朝陽さんが

「四天王?何それ?私知らないんだけどうちの高校そんなのあったんだー」と、あなたもその四天王の一人なんですけどねー


「四天王とか綺麗とかはわかったから伊織くん!それでその人はおにーちゃんのことどう思ってる感じなの!」と一気に距離を詰めて問いかけてきた。近い近い、それに鼻息やばっ!怖いわ


「う〜ん、間違いなく真昼に惚れてる感じかな〜真昼が話しかけて顔真っ赤にしてたし。何より空気感が宇多家に似てる所があったし。」


「あー真昼もついに恋とかしちゃうのかなーその子凄い綺麗なんだろ?ついにかー」と悲しいようで嬉しいような顔で大地さんが言うとものすごい勢いで三人が


「「「ありえないから!!!」」」


もうヤダ!心臓止まるかとおもったわ!あーあ大地さんが部屋の隅にいって体育座りしだしたぞ!これ直すの大変なんだぞ!わかってんのか!と心でツッコんでおく。


このままだとまた3人が暴走して訳のわかんない作戦を立てて真昼が結局中学の時のように可愛いのに変なやつ扱いをされて友達が作りにくい状態になってしまう。それは親友として見過ごせない。


「まー今のところ真昼は四条さんの事久しぶりに出来た友達だと思ってるしみんなもわかるように真昼は鈍感を突き抜けてるやつだから早々に四条さんの気持ちには気づかないですよ。」


「だから今はそっとしとくのが一番ですし、何かあれば俺がついているので大丈夫です。ま、幼馴染で親友としては真昼には高校生活を楽しんでほしいし。」


結構恥ずかしい事をいってしまった。ほら、3人が口を開けてアホ丸出しで俺見てるし。何気に隅の人もチラチラ見とる。こっちこいや!すると何を思ったのかニヤつきながら美星さんが


「そうね、伊織くんに任せたらとりあえず大丈夫かなー。それに」とここでためたのは絶対俺にとって良くないことを言うに決まってる。


「伊織くんは真昼の事大好きだもんね〜何しろ伊織くんの初恋の相手だし、小さい頃なんて俺!真昼とけっこ」


「あぁああああ〜〜〜〜!!やっぱ言った!やっぱ言いやがったぞ!絶対言うと思ったわ!美星さん!それは忘れてっていったでしょ!」


あーもう最悪だ、美星さんはニヤついてるし朝陽さんも笑ってるし大地さんはこっちに歩いてまた座ろうとしてそれを押しのけて夜空ちゃんが、


「もう違うよね!今は友達として好きなんだよね!だよね!ね!ね!」


あーあまた大地さんが隅に。もうほっとこ。相変わらずのブラコン夜空ちゃん。この子昔から突っかかってきたからな。


「当たり前だろ!今は真昼の親友だからな。まーでも学校での真昼はもちろん、幼馴染だから家での真昼も知ってるからこの中の誰よりも真昼のことを知ってるのは俺かもな」とちょっと夜空ちゃんをからかったつもりだけど、


「「「それはないから!!!」」」とえらく冷たい声で3人がいった。


「あ、すいませんでした」もう反抗するんやめよとここに誓った伊織だった。


その後とりあえず四条さんの事は俺に一任と言うことで方が付いた。まー夜空ちゃんはかなり苦い顔してたけど。あとは真昼の学校での様子や隠し撮りなどを献上してようやく開放された。毎回後半のが長い。帰るときに朝陽さんがこっそり


「伊織、お願いなんだけど真昼を生徒会に誘ってくれないかな?伊織と一緒なら絶対入ってくれると思うから。お願い!」


この人今日あんまり前に出てこないと思ったらそういう事ね。本当に宇多家は誰しも真昼ラブだな。


「いいっすけど、朝陽さんが頼んでも真昼は喜んではいるんじゃないっすか?」


「どうだろ〜家では普通に話してくれるんだけどね、なんか学校で話そうとすると避けるというかあんまり話してくれないんだよね〜なんでだろ?」


あーなるほどね。この人普段はクールな人だけど真昼の前だとデレまくるし家だと普通ってことは学校だとさすがの真昼も恥ずかしいのかもな。


「そういう事ならりょーかいっす!明日聞いとくんで。それじゃあ」


「ええ、頼むわね?じゃあまた」


最後の笑顔は綺麗だったけど裏を知ってる俺としては素直に綺麗だとは思えなかった。むしろ誘えなかったらおぼえてろよ?が垣間見えるから怖い。


明日からまた何かと大変だなとおもいながら伊織も真昼と過ごすのは好きなのでなんだかんだで楽しみなのである。


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