第11話

僕が教室に入るとクラスメイトが一様に僕を見てくるが声はかけてくれない。寂しいな


机に座り荷物を整理していたら隣の四条さんが挨拶をしてくれた。嬉しかったので僕は笑顔になり


「うん!おはよっ!ニコニコ」


すると四条さんはまたしても机に突っ伏してしまう。ここ何日かこのやり取りだ。すると今日は珍しい事にクラスメイトに声をかけてもらった。


「宇多くん、おはよ。」


初めて四条さんや伊織以外に挨拶されてつい嬉しくなった僕はその女のコの手を取って


「おはよっ!うれしいな〜!僕、あんまり人に声かけられないからさみしかったんだ〜」


するとその女のコは頭から湯気を出しながらも


「や、やっぱりこれはもう作るべきだとおもうのよ!」


といきなり声を上げてそんなことをいった。その声に反応したクラスメイトたちがぞろぞろと僕の机にやってきた。こんなこと今までなかったのにどうしたんだろう?僕は首を傾げていると


「やばい!近くでみるとこんなに可愛いんだ」

「俺、宇多なら男でも行ける気がする」

「この可愛さは独り占めしてはいけない!」

「………etc」

僕の周りを囲んで何かブツブツ言ってる。すると先程挨拶をしてくれた女のコが僕の手を取って


「宇多くん!!私達はあなたのファンクラブを作ろうとおもうの!」


僕のファンクラブ?


「それは僕とみんなが仲良くしたいってことかな?」

僕が聞くとみんなが天井を見上げ、中には涙を流す人もいた。するとまたさっきの子が


「そうです!みんな宇多くん、いや。真昼くんが大好き!仲良くなりたいの!だからファンクラブ作ってもいいかな?」


そうだったんだーみんな僕と仲良くなりたかったんだ!うれしい!


「うんっ!いいよー!これからよろしくね!」


すると周りの人が大はしゃぎしていた。そんなに喜んでくれるなんて僕もうれしい


「改めまして!真昼ファンクラブ会長を務めさせていただきます。葉山 優子です!よろしくね真昼くん!」


こうして僕にも友達がこんなにたくさん一度にできた。こんなこと初めてで浮かれて気が付かなかった。隣の四条が血の涙を流しながらこっちを見てることも教室のドアのまえで伊織が呆然と立ってることも。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る