第7話 出逢/変化

△△アイ△△


 やっと街道まで戻ってこられた。あと3時間も歩けば街に着く。ホントにもう、やれやれね。


「街に入るのに必要なものはあるか? スノウ」

「入街税が銀貨1枚必要ね。どこかのギルドに登録して、ギルド証を発行してもらえば、それ以降は免除されるけど…… アキラ、銀貨、持ってないわよね? いくらか渡すわよ? 色々助けてもらったし」


 確かに、これまでしてもらった事を考えれば、アキラが欲している情報くらいでは割りが合ってないだろう。ここは私も。


「アキラ、私もいくらか融通するわ。色々助けてもらったのは私も同じだし」


 荷物は失くしたけど、非常時用にいくらかは懐に忍ばせてある。スノウも同じだ。って、スノウ! なに胸の谷間から出してるのよ?! あなたいつもそんな所に入れてないでしょ!!

 ほら! スノウが変な事するから、アキラが難しい顔してるじゃない!


「2人共、気持ちはありがたいが、2人だってこれから買い直す物が多いだろう? 流石にただ貰う訳には…… あぁ、そうだ。精錬済みの銀塊を買って貰うという事でどうだ? それなら、街に入ればすぐ換金出来るだろうし」


 スノウの奇行は華麗にスルー。流石アキラ。そこでもぞもぞしているスノウ、反省してね。

 私としてはあげちゃっても良かったのだけど、アキラが気兼ねするというならそれでいいかな。スノウもそれでいいみたい。


「それでいいわ。私達が、銀貨と同じ重さの銀塊を買うという事で。いくら必要?」

「そうだな…… 街に入るのに銀貨1枚で、ギルドの登録にいくらかは必要なのか? 後、宿の1泊の料金は?」

「ギルドの登録料は、冒険者ギルドで銀貨5枚よ。宿は、可もなく不可もない程度の宿屋で、食事2食付けて1泊銅貨5枚だから、2泊で銀貨1枚ね」

「ふむ……なら、2人からそれぞれ銀貨5枚、全部で銀貨10枚あればいいか。街に入りさえすれば、金属素材なりなんなり売ればいいだろうしな。済まないが、どっちか銀貨5枚を渡してくれないか? 重さを確認したい」

「うん、いいよ。はい、これ」


 スノウより先にアキラへ銀貨を渡す。んふふ~♪ 勝った~♪


「ありがとう、アイ。成る程、このくらいか。それなら、こんなもんかな? ほら、アイ。スノウも」


 アキラが荷物から布に包まれた塊を2つ取り出して、私達に渡してきた。重さは確かに同じくらいだ。でも、妙に嵩張っている。これ、本当に銀?


「アキラ、確認しても?」

「勿論だ。確認してくれ」


 私とスノウは包みを解いて中身を見た。出てきたのは、銀色で、薄っすらと虹色の光沢を纏っている塊。ちょっと待って! これって!!


「「アアア、アキラ?! こここ、これって?!」」

「? 精錬した銀だぞ?」

「「銀は銀でも真銀ミスリルじゃない、これ!!」」


 真銀ミスリル。銀が何かの作用を受けて変質した金属。同じ量なら、重さは鉄の3分の1で固さは鉄の3倍以上。そして魔力との親和性も高いから、武器に魔力を纏わせて攻撃力を上げたり、防具に魔力を纏わせて防御力を上げたり出来る、武器・防具に加工出来る物の中で最上級の素材だ。

 当然、値段も高く、普通の銀の100倍以上の値が付く。

 私も昔、防具屋で真銀のクロークやコートを見て、それを着る事に憧れて、値札を見て、ガックリと項垂れるというのを繰り返した覚えがあったりする。


「ま、いいから。大差ないから、それ持ってけ」

「「大差あるわよ!! 100倍違うわよ!!」」


 銀貨500枚……3年くらい遊んで暮らせるわ……


「それ売って、もう少し装備を整えるんだ。ゴブリン退治に行くなら、せめて革のショートパンツかスパッツを下に履いていけよ? 布の下着なんて、ゴブリンに"犯して下さい"って言ってるのと同じだからな。2人共美人なんだから、そういう所にも気を使うようにな」

「「び、美人っ?!」」


 "美人"なんて言葉、何度でも聞いたけど、アキラに言われると気持ちが浮き上がっちゃう。きっと、顔が真っ赤だ。


「あぁ、それとも、現物の方が良かったか? そのサイズの塊なら、大振りのダガーくらいは作れるぞ?」

「「アキラ、鍛冶も出来るの?!」」

「材料持ってて鍛冶出来ないとか、残念にも程があるだろ、それ。あぁ、でも、ミスリルを繊維状にして織り込む奴はすぐには出来ないな。それなりの設備が必要だからな」


 う、憧れのミスリルコート、ちょっと期待しちゃった…… ん? でも、アキラの口ぶりだと、設備があれば作れるって事?


「アキラ、その言い方だと、設備があれば作れるの? ミスリルコートとか」

「出来るし、実際作った事もある。Rライフルも俺が作った物だしな。後、自動機械人形オートマタも造ったな」


 アキラってすごい! 強くて頭良くて優しくて、その上いろんな物も作れるなんて、将来性抜群じゃない! あ、スノウが手を胸の前で組んで、目をきらきらさせて、満面の笑みでアキラ見詰めてる! ま、負けないんだからね!

 ところで、"オートマタ"って何?


「アキラ、"オートマタ"って何? 魔術人形ゴーレムとは違うの?」


 スノウには付いて来られない話題で、差を拡げてやるんだから!


「ふっ、流石は魔術士。好奇心旺盛だな。この辺りでも、ゴーレムは、"その素材そのものか、その素材で造った像に魔ほ……魔術を掛けて、自律又は半自律行動をさせたもの"という定義で合ってるか?」

「うん、それで合ってるよ。素材は、行使する魔術の難度の低い方から、泥、木、石、青銅、銅、鉄、銀、金、真銀ミスリル、あと、王銅オリハルコンだけど、純金、純真銀、純王銅で造ったのなんて見た事ないわ」

「王銅もあるのか。まぁ、純金はともかく、真銀や王銅のゴーレムなんて、出会ったら最後だよな、普通は」

「そ。だから、見た事ないの。それで、"オートマタ"って?」

「オートマタは、ゴーレムのように一つの素材で作られたものじゃなくて、人間の身体の構造を模して、機械からくりで造られた人形の事だ。ゴーレムは素材を魔術で無理矢理動かしてるから、動きが鈍かったり単調だったりするだろ? オートマタは人を模してるから、動きの繊細さや速さ、力強さは人と同等以上だ。しかも強度や機能を計算して部品を設計しているから、重さも、同じ大きさのゴーレムの数分の1だ。はっきり言って、この辺りの冒険者じゃ、脅威度は、鉄製のオートマタでも真銀や王銅のゴーレムと大差ないだろうな。ちなみに、非戦闘用のものをオートマタと呼んで、戦闘用は戦闘人形バトルドールと呼んでいる」


 うわ、戦闘人形バトルドールとか、名前からして、とんでもなさそう……


「アキラはその、"バトルドール"? だったっけ? を倒した事あるの?」


 スノウが横から話に入ってくる。そんなの、聞くまでもないじゃない。


「あるさ。でなければ、ここにはいないな。PブレードやRライフルなら王銅も壊せるから、後は相手の速さにさえ付いていければ何とかなるんだ。まぁ、その、速さに付いていくのが大変なんだが。俺と大差ないくらいだし」


 アキラと大差ないって…… それ、私達なら終わってるわよね。

 というか、光の剣も銃も王銅壊せるとか、やっぱり神に祝福された勇者の武具なんじゃ……

 でも、光の剣を振りかざして巨大ゴーレムと戦うアキラ…… 見たいかも。きっと格好いい!!


「話を戻すが、それは売るなりして、2人共装備なりを整えてくれ。それじゃ、街に向かおうか」


 アキラに促され、街へと歩き出す。街道は、夕方に向けて、街へ向かう人や馬車の通りが増えてきた。隣の宿場町まで2日。途中の野営地を朝出発すると、夕方前くらいにこの街に着く。丁度これからが一番混む時間だ。私とスノウはギルドカードを見せればすぐ通れるけど、アキラの入街手続きが時間掛かりそうね。

 3時間歩いて街の北門に辿り着いた。案の定、通常の入街手続きの列は長い。後、1時間くらいは掛かりそうだ。


「アキラ、アタシ達が門番を説得するから、一緒に入らない?」

「ん…… いや、通常通りの手続きで入るよ。こういうのはきちんとやっておかないと、大抵、後でロクな目に逢わないからな。気持ちだけありがたく受け取っておく。それよりも、2人こそ街に入って、宿にでも戻って休んでくれ。疲れてるだろうし、2人が入ってくれないと、依頼の達成にならないだろう?」


 スノウの提案に、少し考える素振りを見せてからアキラは断った。真面目だ。でも、そういう誠実なところ、良いと思います!


「街に入って宿を決めたら連絡するから、2人の泊まっている宿の名前を教えてもらっていいか?」

「私とスノウの泊まってるのは、中央広場から少し南に行ったところにある、"銀の森亭ジルヴァバルト"という名前の宿屋よ。お値打ちな割りにいい宿で、アキラにも勧めたいところなんだけど、確かもう満室だった筈なの。ごめんなさい」


 アキラも一緒の宿になれば、また色々と話が聞けると思ってたんだけど……残念。アキラの宿が分かったら、そっちに移っちゃおうかな? スノウには内緒で♪


「それはアイが謝る事じゃないだろう? ま、なるようになるさ。それじゃ2人共、またな」

「えぇ、お疲れ様、アキラ」「アキラ、ここまで、本当にありがとう」


 アキラと別れ、私達は街の門をくぐった。


◆◆アキラ◆◆


「それはアイが謝る事じゃないだろう? ま、なるようになるさ。それじゃ2人共、またな」

「えぇ、お疲れ様、アキラ」「アキラ、ここまで、本当にありがとう」


 2人が門の向こうへ消えるのを微笑を浮かべて見送った俺は、俺の後ろに並んでいた行商人風の男に声を掛けた。


「あ、すみません。ちょっとお願いがあるのですが、もし今の女性2人が私を捜しに来たら、『忘れ物を取りに行くと言っていた』と伝えてもらえますか?」

「え? 兄さん、もうすぐなのに列を抜けるのかい? 今抜けたら今日中には街に入られないよ?」

「ええ、分かってます。どうぞ前に詰めて下さい。それでは、私はこれで」


 銀貨1枚を相手に握らせながら言伝を頼むと、俺は列から抜け、街道を元来た方向へと戻っていった。そして、人の目が届かなくなった事を確認してから、街道を外れ、森へと分け入った。

 何故そんな事をしたのか? それは、センサーに反応があったからだ。そう、電波発信物質入りの塗料をぶちまけてやった2人の。門の向こうに出向いて来ていたのだ。

 スノウとアイを追っていたゴブが戻らず、剰えその調査に来た自分達も襲撃を受けて遁走。そうなると、スノウとアイがその襲撃者に助けられて無事だという事は容易に想像がつく。

 となると当然、次は自分達の邪魔をした者の確認に動く事になる。今後どう動くにも、未知の脅威を捨て置く訳にはいかないのだから。

 だから、俺と共に街に戻ってくるであろう2人を待ち構えていたのだ。あそこで感動の再会を果たせば、俺の事を紹介するであろう事を見越して。

 だが、俺としては、今、顔がバレるのは宜しくない。陰謀の全容を把握するまでは、自由に動けるようにしておきたいからな。

 で、人目を避けて俺が何をしているのかというと、変装だ。

 荷物から取り出した、髪の成分にのみ付着する染料のスプレーを頭に吹き掛け、髪の色を赤から黒に変え、髪型もショートレイヤー風から七三分け風に変える。

 そして、アンダーアーマーのプロテクター部分とブーツ部分の色を、グレーからなめし革のようなブラウンに変更し、前開きのローブを実体化させて羽織り、腰にミスリルダガーを鞘ごと佩いて、柄まで金属製のミスリル・ウィングド・ショートスピアを右手に実体化させた。ダガーもショートスピアも、ぱっと見、ミスリルには見えないように表面を加工してある。

 変装を済ませた俺は、荷物を背負い直し、街の東門へと駆け出した。センサーで確認したところ、そっちの方が人数が少なく、スムーズに街に入られそうだったからだ。

 いきなり森を突っ切って東門の前に出ると怪しまれそうだから、大回りして、東門へと至る街道に出てから街を目指した。道のりにして数kmあるが、俺の能力なら15分もあれば辿り着ける。

 便宜的に東街道、北街道と呼ぶが、東街道は北街道に比べて随分狭い。ここから東には大きな街とかがないのかもしれないな。

 東門に着いた俺は、入街手続きを済ませて街の中に入った。街の名前は"アビット"。俺が元いた世界の、中世の頃の建築様式に似た、木と石を組み合わせた建物が通りの両脇に並んでいる。

 センサーからの情報によると、街の直径はおよそ4km。北から街に川が流れ込んで、街中で方向が変わって街の南東へ抜けていて、川で街が東西に2分されている。面積としては、川の東側の方がかなり狭い。

 街の中央付近に一か所だけある橋を渡ったすぐ向こうに中央広場があり、そこから東西南北へと通りが伸びている。

 ここを便宜的に東通りと呼ぶが、東通りに入ってすぐ、こちら側の門が空いていた理由が分かった。

 この辺りは歓楽街。そして、一歩奥に入るとそこは貧民街だ。恐らく、川の東側一帯がそうなのだろう。路地にはストリートチルドレンがちらほら見られるし、少し気の早い店の客引きの女性も見られる。そして当然……


「おう! 兄ちゃん! いい身なりしてるな! 財布と荷物置いてきな!」


 こういう輩も涌いてくる。

 無視して歩き続けると、当然、更に絡んでくる。


「おら! てめぇ! シカトとはいい度胸だっ! おわっ! 」


 俺の肩に掴み掛かろうとしてすっ転ぶチンピラ。軽く間合いを外してやっただけで転ぶとか、身体の鍛え方が足りないな。


「こんのぉ!! やりやがった、なぁっ?! 」


 男が腰に佩いていた鞘から大振りのナイフを抜いた。その時初めて、俺は男に目を向けた。特別凄んだ訳ではない。軽く殺気を乗せただけだ。ただそれだけで、男は悲鳴にも似た驚きの声を上げた。


「得物を抜いた以上、生命の遣り取りをする覚悟は出来てるな?」

「ひいっ?!」


 カンッ!

 石畳に男の取り落としたナイフが跳ねる。軽く凄んだだけで腰を抜かすか。その程度で冒険者と分かる装いの奴に絡むとか、頭の程度も知れるな。

 鼻を鳴らして男を一瞥した後、立ち去ろうとしたその時、路地から悲鳴が上がる。


「イヤッ!! やめて!! はなして!!」

「逃げるから痛い目みるんだよ! 大人しく犯られておけば、気持ちいいだけで済んだのによ!」


 見ると、2人のチンピラが1人の少女を俯せの状態で押さえつけながら少女の太腿を抱え込んで両足を拡げさせ、別のもう1人のチンピラが、少女のスカートを捲り上げ、下着を引き下ろし、自らも醜い物をさらけ出していた。


「イヤッ!! イヤァァァッ!!」


 少女も必死に抵抗しようとするが、男2人に押さえつけられていては、出来るのは頭を振る事くらいだ。

 頭をこちらに振り、その少女の顔が見えたその瞬間、俺は足下の石畳を蹴り砕いた。


ドガァンッ!!


「お前ら!!」


ガッ!!

 瓦礫を上に蹴り上げる。


「その娘から!!」


 身体を捻って、右足を大きく引く。


「離れろぉぉぉぉぉぉっ!!」


 ドゴッ!! 落ちてきた瓦礫を2つ、で蹴り抜いた。

 狙い過たず、瓦礫は醜物を晒してした男と押さえつけていた男の1人の頭に直撃。男達の頭を粉砕し、その向こうの壁に大穴を開けた。

 それなりに鍛えた人間のサッカーでのシュートで時速100kmを超える。それを俺の10倍の膂力で行うと、速度は√10倍=3.16倍になる。つまり瓦礫の速度は時速300kmを超え、これは400mの高さから瓦礫を落として直撃させたに等しい。頭がなくなるのも当然だ。

 頭のなくなった身体から血が噴き出て辺りを、そして、残る1人のチンピラと少女を染める。


「あぁぁぁぁ……イヤァァァ……」


 剥き出しの臀部に生温かいものが降り注いだせいか、勘違いしてぐったりする少女。自分の拘束が緩んだ事にも気付いていない様子だ。少女を押さえ込んでいたもう1人のチンピラも、仲間の突然の事態に頭が付いていけないのか茫然としている。


「逝ってこい大霊界!!」


 瓦礫を蹴り飛ばすと同時に地を蹴り、30mはある距離を一瞬で詰めた俺は、残ったチンピラの首を蹴り薙いだ。


ドガッ!!


 もげた頭が隣の壁に激突し、さっきとは別の建物の壁に大穴を開けた。


「しっかりしろ! 大丈夫だ。まだ犯られていない。それより逃げるぞ!」


 少女の胴に腕を回し強引に立たせ、ずり下げられた下着と捲り上げられたスカートを直してやる。返り血に塗れているが、流石にお尻丸出しで抱かえるのはどうかと思うしな。


「イヤッ! たすけてっ!! やめてっ!!」

「落ち着け!! 助けてやるから、少しの間だけ大人しくしててくれ!」

「ひゃっ?!」


ダッ!ダッ!ダッ!ダッ!


 ここからさっさと離脱する為に、少し強引に少女の腰に腕を回して抱きかかえ、大穴を開けた左右の壁を三角跳びの要領で交互に蹴りながら建物の屋根へと跳び上がった。そして少し移動して、下から見えない位置に立ち止まってから辺りを見回す。可能なら、川を渡って、向こう側の地区のまともな宿屋にでも入ってしまいたいところだが、俺と少女は絶賛血塗れ中だ。宿に辿り着いたとしても、衛視辺りに通報されるのがオチだろう。俺はともかく、何処かで少女の身体を洗えないものか……


「なぁ、ちょっと聞きたいんだが、君の身体を洗える所はないか? 君の家とか。流石にこの状態だと、川向うに行っても、すぐ通報されてしまうだろうしな」

「いえ…… イヤッ! いえ、イヤッ!!」


 少女は"家"という単語に拒否反応を示した。これはあれだ、親に売られたとかだな。流石貧民街といったところか。


「分かった。家には連れて行かないから安心するといい。なら、一旦街を出て、川で洗うしかないな」


 街中の川縁は護岸されていて、水を汲めそうな所は船着き場しかない。夕方前のこの時間、船着き場には何隻かの船が停泊している。当然、その船への人の出入りがある訳で、そんな所で行水という訳にはいかない。


「え…… でも、そと、こわい……」

「大丈夫。いざという時はさっきみたいに跳んで逃げられる。というか、普通に飛べるしな。ほら」


 腰を抱えたまま、少し屋根から浮き上がってみせる。


「わ、わ、わ、わ! おじさん、まほうつかいだったの?!」


 ひゅ~~すとん。がっくし……orz


「お、おじさん!? だいじょうぶ!? ねぇ!!」


 ひょろひょろと屋根に着地し、両手と両膝をついて屋根に突っ伏す俺。その姿でその言葉は破壊力あり過ぎだよ……

 暫くそうしてから、ショックから立ち直った俺は、少女に笑顔を向けた。


「だ、大丈夫だ。ちょっと君の顔で言われるとショックな言葉があっただけだ。とにかく、川で身体を洗ってこよう。それから宿を取って、飯にしよう。俺の首に腕を回して摑まってくれ」

「う、うん!」


 少女を横抱きで抱き上げると、再び浮かび上がる。そして、それと同時に、Cリアクターを定常出力レギュラーパワーまで上げて、少女を含めた自分の周囲にサーマル光学オプティカル音波サウンド隠蔽ステルスフィールドを展開する。これで俺達を見つけられるのは、ジェネシスと同等の探査能力を持った者だけだ。幸い、既にリアクターの修復は済んでいる。定常出力ならまず損耗しない。

 少女に負担が掛からない程度の速度で南東方向に飛び、街壁を飛び越して、街からは見えない位置の川岸に向かう。


「わ! すごい! ぼく、とんでる!」

「そうそう見られないだろうから、楽しむといい……って、"ぼく"? 君、男の子だったのか?」

「ちがうよ? おんなだよ? おじさん、さっきみたよね?」

「見てない見てない。そんな失礼な事出来んだろう? 下着を引き上げて、スカート直しただけだからな?」


 俯せで、お尻しか見えてなかったし。そうか、"ぼくっ娘"か。

 手頃な場所を見つけて川縁に降り立つ。センサーで周囲に人や魔物、動物がいない事は確認している。


「おじさん、いいひとなんだね♪」

「"いい人"は、他人の頭を吹き飛ばしたりはしないと思うぞ?」

「おじさんはぼくをたすけてくれた。おかあさんもたすけてくれなかったのに……」

「まぁ、出逢ったのも何かの縁だ。出来る事はしてやるさ。少し待っててくれ。水浴びし易いように囲いを作るからな」


 荷物から取り出す振りをして、長さ1mの金属棒を10本造り出し、2本を組み合わせて2mの金属棒5本にする。それを一辺2mの正方形になるように、川の中に2本、岸に2本突き刺し、最後の1本は、岸に刺した2本の片方から50cm離した所に刺す。そして、一辺20mの白い防水シートを取り出して折り、幅1.2m、長さ20mの長方形にしてから岸側の1本にしっかり巻き付けてステープラで留め、そこを起点に、川の中の棒を経由して棒の外側をぐるりと取り囲み、5本目の棒を折り返して、起点になった棒まで戻し、ステープラで留めて完成。岸側に50cmの出入口がある囲いが出来た。


「ほら、出来たから、この中で身体を洗うといい。着替えも用意しておくから」

「ありがとう、おじさん♪ うんしょっと!」


 いきなり目の前で服を脱ぎ出す少女。ワンピースというか、貫頭衣のような服を脱ぐと、上の下着は着けてない。なるほど、かなり控え目ではあるが双丘がある。女の子だ。いやいや、そんな事確かめている場合じゃない。止めようとしたが、時既に遅く、下の下着も脱ぎ捨てられて、一糸纏わぬ姿になっていた。メリハリが少し足りないが、すらりとした体型。肩甲骨の下まで伸びた銀髪。茶色く返り血がこびり付いていても美しいと思えるその姿は……


「……おじさん?」


 じと目な視線と低めの声音で我に返った俺。


「あ! いや、すまん! つい、見とれた! 君があんまり綺麗だったから…… 着替えを用意しておくから、水浴びしてきてくれ」

「はぁ~い」


 慌てて身体ごと振り返りながら弁明をする。失態だ。いくら似ているからって、裸をじっと見るのはダメだわな。何やってんだか、俺。


ちゃぷん ちゃぷん ぱしゃぱしゃ


 水音だけが辺りに漂う。


「ねぇ! おじさ~ん!」

「ん? 何だ?」

「なんでぼくをたすけてくれたの~?」


 当然の疑問。見ず知らずの人間が無償で助力してくれると考えるのは、元いた世界の、平和ボケしたある国の人間くらいだ。


「……似てたんだよ。俺の、大切な人に」

「そっか…… そのひと、びじん?」

「……そのまま、下を見てみな。水面に映ってるから」

「? ぼくのかおしかうつってないよ?」

「その、"ぼくのかお"そのままなんだよ。本人じゃないのは分かってるんだが、勘違いしそうなくらいよく似ている。美人だろう?」

「そっか。そのひとのなまえ、なんていうの?」

「シア、だ。シア・フジミヤ。いい名前だろう?」

「えっ……?」


 水音が止まった。どうしたのか?


「おじさん、ぼくのなまえも、シア、だよ」

「何だって?! そうか! 多元存在ドッペルゲンガーか! なるほど、君はこの世界での"シア"、なんだな」


 多元存在ドッペルゲンガー。世界が生まれる時、ただ一つの世界ユニバースが出来るのではなく、微妙に異なった世界が無数に出来る。これを多元世界マルチバースというが、多元世界マルチバースにはそれぞれ、微妙に異なった同一存在がいる。それが多元存在ドッペルゲンガー。同一存在と言っても、同一なのは存在の根幹部分、所謂"魂"が同じだけで、身体の構造や記憶などが同一になる事はほぼない。

 目の前のシアだって、俺のシアと姿は似ているが、身体構造も違うし、記憶も当然繋がっていない。姿が似ているだけの、全くの別人な訳だ。

 だが、魂が同じな為、体験や経験による成長はほぼ同じ軌跡を辿る。具体的には、状況判断や行動の指針、異性の好みなどはまず変わらない。自分を犠牲にしてでも大切な人を護る者は他の世界でも同じように滅私で行動するし、周りの迷惑を省みずに利己に走る者はやはり他の世界でも自分の為だけに行動する。

 そして、かつて世界の人々の為にと愛する人と共に心血を注ぎ、その努力の結実の矢先に数奇な運命により愛する人を失い、運命と世界を呪い、世界を滅ぼした者もまた、他の世界でもそれを行おうとした。

 それが"アイツ"。俺や、俺の協力者である"あの人"の多元存在ドッペルゲンガー。俺と"あの人"は、偶々目覚めたある力によりその事に気付き、自分の多元存在ドッペルゲンガーの凶行を止めるべく、刻と世界を渡り行動を始めた。

 幾多の死闘と"あの人"と共に重ねた努力により完成したのが、刻の流れを力に変える装置、Cリアクター。そして、ジェネシス。

 ただ、その物理法則すら超越する強大な力は、人の身では御し切れない。だから、人の身を捨て、強化再精製体リフボディとなった。

 おっと、俺の身の上話は置いておいて、この娘をどうするかだな。流石に見捨てるという選択肢はない。それなら、そもそも助けたりしない。親元へ帰したとしても、同じ事の繰り返しになるのは目に見えている。

 うーん……本人に聞いてみる方が早いか。飯食う時にでも聞いてみよう。


「シア、と呼んでいいか? ここにタオルと着替えを置いておくから、洗い終わったら、タオルで身体を拭いてから着てくれ。着方が分からないなら教えるから」

「うん。ありがと、おじ…… えと、おじさん。おじさんのなまえ、おしえて?」

「あぁ、そういえば名乗ってなかったな。俺はアキラ。アキラ・フジミヤだ。アキラ、でいいぞ」

「うん、わかった、アキラ。ふわぁ~! このタオル、ふかふかだぁ~!」


 タオルくらいでそんなに喜ぶシアが不憫過ぎて目頭が熱くなる。俺のシアと違うとはいえ、何とか、普通の生活が送れるようにくらいはしてやりたい。


「背中や腰やお尻も、しっかり拭いてから服を着るんだぞ? 濡れたまま服を着ると風邪をひくからな」

「うん! あっ、アキラ~! これなに~?」


 目隠しのシートの上に両手で掲げられたのはスポーツブラ。そういや君、着けてなかったね。

 あーだこーだと教えながら、ようやく着替えたシア。上はグレーの長袖シャツに赤い半袖のブラウス。下は黒のタイツの上に赤のショートパンツ。黒のソックスを履いた後、赤に白のラインが入ったショートブーツを履いている。


「アキラ~! ぼく、こんなにきれいなふくきたのはじめて~!」

「そうか…… 喜んでもらえたようで何よりだ。それじゃ、街に戻って、宿で食事でもしよう。シアの分も、ちゃんと俺が払ってやるから心配すんな」

「うん! ありがと、アキラ!」


▲▲スノウ▲▲


「それはアイが謝る事じゃないだろう? ま、なるようになるさ。それじゃ2人共、またな」

「えぇ、お疲れ様、アキラ」「アキラ、ここまで、本当にありがとう」


 アキラを別れて街の門へと向かったアタシ達。門番にギルド証を見せて門をくぐり、街壁の厚さと同じ長さの通路を歩く。

 ここアビットの街は、西に王都ユーキオウト、北に研究学園都市アブクト、南に観光都市アワゴマクに繋がる街道の要所だから、街壁も厚い。で、壁から更に20mくらいはトンネル状の通路が続く。非常時にはここの壁を崩して天井を落とし、外からの進入を阻む仕組みになってる。

 もう少しで通路を抜けて街中に入ろうとした時、聞き覚えのある、野太い男の声がした。どうやら衛士と話しているようだけど、あの声は間違いない!


「ロイド? ロイドなの?!」

「えっ? ほんとに?!」


 アタシ達は声のした方へと急いだ。通路を抜けた左側、番をしている衛士の向こうにいたのは、間違いなく……


「「ロイド! アルベルト!」」

「お? おおー!! アイにスノウ! 無事だったか!!」

「お二人共、よく無事で!」


 重戦士ヘヴィアームのロイドと施療神官ホーリィヒーラーのアルベルト。アタシ達がゴブリンの巣に置き去りにした2人。


「よかった……ロイドもアルベルトも無事で……」

「そいつはコッチのセリフだってーの。オレの鎧はゴブの攻撃なんて通さねーし、【解毒アンチドート】の出来るアルベルトもいるんだ、やられるワケねーさ。むしろオマエさん達の方がヤバかったハズだ」


 自分の鎧をガンッ!と叩きながらロイドがそう言った。確かに、ゴブの持ち物くらいじゃ、その鎧には傷くらいしか……

 そこでアタシは違和感を覚えた。ロイドは重戦士ヘヴィアームで、守る事には長けてるけど、避けるのはあまり得意じゃない。実際、ゴブの巣の中では、大楯で攻撃を受けている音がガンガン鳴り響いていた。

 いくら守りに長けていると言っても、あれだけの数のゴブからの攻撃を全部楯で捌ける訳ない。でも、ロイドの鎧には傷一つなかった。

 しかしアタシはこの時、再会出来た喜びで、その違和感を頭の隅に追いやってしまった。


「全くです。ゴブリンの何匹かが2人を追いかけた時には拙いと思いましたよ。かと言って私達が追ったところで追いつける訳ありませんし。よく無事だったと……2人でゴブリンを倒したのですか?」

「ううん、私達も危なかったんだけど、偶然出逢った冒険者?に助けてもらって……」

「「ほう?」」


 アイの言葉に2人の雰囲気が少し変わった。なんだろ?


「凄かったの! ゴブリン8匹の前に1人で立ちはだかってくれて、その内5匹は素手で瞬殺だったんだから!」

「素手でか?! 確かにすげえな! で、どんなヤツなんだ?」

「赤毛のすっきりした髪型で、名前はアキラ。歳は私とスノウより何歳か上みたい。【身体強化付与フィジカルエンチャント】に【浮遊レヴィテーション】が使えるわ。高位魔道士かとも思ったけど、その2つしか使えないと本人は言ってたわ」

「むう……今いちよく分からんな」

「高位の魔術が使えるのに、他の魔術は使えず、格闘が得意……何かちぐはぐですね」


 アイが出会った時の事を2人に伝えていく。2人は難しい顔だ。確かに、この辺りの常識には当てはまらないわよね、アキラは。でも、実は魔術じゃない事は伝えないでおく。だって、アキラとアタシ、2人だけの秘密なんだから♡ うふふ♪ アイ、頑張っても、貴女には勝ち目ないのよ?


「それで、件の彼は今何処に? 一緒ではないのですか?」

「それがね、アキラ、真面目だから、通常の手続きしてから入るって。『きちんとやっておかないと、大抵、後でロクな目に逢わないから』って言ってたわ」

「そうですか…… 常識もあるし、行きずりの人間も助ける。人として出来た御仁のようですね」

「堅っくるしそうだが、信用は出来そうだな。2人共、運がよかったな!」

「それは私もそう思った!」「アタシもよ。思わず神様信じたくなっちゃったもの!」


 全くもってその通りね。頼りがいもあるし♪


「なぁ、ソイツのツラ拝みにいってみようぜ。アイとスノウを助けてもらった礼もしたいしな」

「私も同意します。興味もありますしね」

「! じゃあ、アタシがアキラに知らせてくるわ! いきなり行ったらびっくりしちゃうだろうし!」

「あ! ちょっと! スノウ、ズルい!!」


 ふっふ~~ん♪ 待たないわよ~~♪

 通路を逆に戻って外へと向かう。さっきよりは近くにいる筈。

 でも、列を追って捜してみてもアキラが見つからない。髪型はともかく、あの髪色ならすぐ分かると思うんだけど……


「スノウ、アキラ、いた?」

「それが見つからないのよ。あの髪色なら見落とす筈ないんだけど……」

「そこのお嬢さん達、赤毛の兄さん捜してるのかい?」


 アキラを見つけられずウロウロしているアタシ達に声が掛かった。顔を向けると、行商人のオジサンが手招きしている。

 アイと顔を見合わせてから、その行商人に近付いた。


「アキラの事、知ってるの?」

「名前は知らないが、赤毛の兄さんなら『忘れ物を取りに行く』と言って、街道を戻っていったよ。自分を捜してる女性が来たら伝えてくれと言伝を頼まれたんだ」

「そう…… ありがと、オジサン」


 行商人のオジサンに礼を言ってから列を離れる。アキラが忘れ物? 今朝、結構しっかりと確認してたのに? うーん……なんか釈然としない……


「おーい、いたかー?」


 アイとアタシが頭を捻っていると、追いついてきたロイドとアルベルトが声を掛けてきた。


「それがねー、アキラ、忘れ物を取りに戻っちゃったみたい」

「なんだ、いないのか。どんなヤツが楽しみだったんだがな」

「仕方ありませんね。2人共、連絡の手筈は取ってあるのですか?」

「うん。街に入って宿を決めたら、私達のいる宿に伝えてくれるって言ってたわ」

「なら、それを待つしかねーな。今日は戻ろうぜ」

「えぇ……」


 アタシ達はまた街に入って、宿へと向かった。あんなに手回しの良かったアキラが忘れ物なんて、アキラ、どうしちゃったんだろ……


◇◇シア◇◇


 シネラリアをウィスタリアの格納庫に納めた私は、ミウともう1人の女性に案内されて、船内を見学させてもらっていた。

 シネラリアからのビーコン発信はまだ行っていない。敵に発見される可能性があるから、コウさんの指示を待つ事になっている。


「初めまして。私はアリシア・リンドヴルム・フジイ。ミウと同じく、コウ・フジイの妻よ。アリシアでいいわ。宜しく、シア・フジミヤさん」

「初めまして。シア・フジミヤ、です。よろしく、お願いします。シア、でいいです。コウさんの、奥様は、ミウだけじゃ、なかったの、ですね……」

「いろいろあって、私1人じゃコウを支え切れないな、と思って、私からお願いしたの。あ、アリシアは、私とコウが離ればなれになっている時に、直接コウと知り合ったのだけど。私とアリシア以外には、この船にキャンディ、後、これから向かう世界には壱与いよ様がいらっしゃるのと、もう1人、リーエロッテがいるから、全員で5人ね。ちなみに、2番船ブレティラの船長の月華つきかさん、3番船アルストロメリアの船長の冬華とうかさん、ここには来てないけど、4番船ジェンティアの船長の白夜はくやさんはコウの現地妻の孫娘よ。それと、今、曳航している船に、壱与様のお孫さんの六花りくかさんと、白夜さんの妹さんが乗っているわね」

「ミウ、凄く変わった。でも、とてもいいと思う。私、ミウの事、尊敬する」


 アキラは私の事をとても大切にしてくれる。そして愛してくれている。だから、私もアキラを大切にして、愛している。

 アキラの愛、そして、アキラへの愛は、私とアキラ、2人だけのもの。そう思っている。

 それは、コウさんとミウも同じだと思っていた。

 でも、暫く会わない内にミウは変わっていた。コウさんに関わる事で、何かとても辛い事でもあったのだろうか。

 コウさんをとてもとても愛しているからこそ、コウさんの為に、ミウは他の人と手を取り合う事を選んだ。

 アキラは危険だと判断すると、私に離れるように命じて、自分1人で立ち向かっていた。この前と同じように。

 私はアキラに死んで欲しくない。だったら、ミウのように、もっとアキラを助けてくれる人を増やしてみるのもいいのかもしれない。

 今すぐにとはいかないけれど、もしアキラを、私と同じくらい想ってくれている人に出逢えたら、考えてみようと思う。アキラと一緒に。

 アキラを誰かに取られてしまうという焦りは、なくなった訳ではないけれど、少しは和らいだように思った。

 でも、やっぱりアキラと同じ身体が欲しいのは変わらない。早くアキラを見つけて、コウさんにお願いしようと思う。


「ミウ。アリシア。私に、いろいろ、教えて下さい。ミウとアリシアが、コウさんを、とても大切にしているように、私も、アキラを、大切にしたいから」

「もちろんよ! シアは大切な友達だもの!」

「そうね。コウの親友の奥さんなら、私達も親友ですからね。協力するわ」

「ありがとう。ミウ、アリシア」

「それじゃ、案内が終わったら、まずは生体についての勉強ね。身体の自己管理くらい出来ないと、アキラさんに迷惑掛けちゃうから」

「宜しく、お願いします」


MISSION ”身体を手に入れろ” CONTINUED

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