エピローグ

 大勢いた教室も今や三人だけ、殆どの同級生と話す事なく別れを遂げた。授業が再開される事も無く、全員が別々の場所へ転校する。


「…〝曰く付き〟か。

来るときそう言われたよ、何も無いのに」


「結局ドコいったのかな、あいつ。」


「……」

恭香の言う〝あいつ〟がどちらを指すのか、はたまた両方か、どちらにせよわからない。これ以上、追及するべきでも決して無い。


「生きてるよー。

場所まではわからないけどねー。」


「冴島さん..どこかで会ったのか?」


「..一度、街でね。

髪はボサボサで、元気無さそうだったけど笑ってた。面白い話もしてくれたよ?」


「面白い話..」「そー。」


話の内容は、明確ではなく真実とは言えないが、無意味とも思えないものだった。


「知ってる、魔女狩り..」


「魔女狩り?

あの昔の拷問みたいなやつだよねー。」


「魔女だと決めつけられた人が拷問に掛けられ凄惨な暴威を振われる。..最後は括り付けられて火で炙られて燃やされる」

 口先だけをブツブツと動かして小さな声で話す。前から大人しいタイプではあったがそれとは違う、何かが取り憑いたような異質な雰囲気が全体を覆っている。


「かわいそうだよねー。

勘違いで燃やされるんだもん」


「..違うわ、あれは自分でやってるのよ。

魔女を生み出した張本人が身体を焼いて二度と出て来れないように、浄化してるの。」



「……そうなんだー。」


彼女はそれだけ言うと去っていった。

最後に一瞬笑顔を向けた。無愛想な顔に浮かべた優しい笑顔、魔女では作れない本当の顔。


「今は、どっちも死んでるかなぁ。

...逆だったらイヤだなぁ。」


「そんな事、あってたまるもんですか..!」


「…大丈夫だよ、僕たちが噂をしなければ。どっちも忘れないといけないんだ、絶対に..」


この街には、誰一人残ってはいけない。



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ベロニカ アリエッティ @56513

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