第8話 解消の幕開け

 今日は随分と人と会う日だ

改めて携帯の連絡先を見て驚いた。

入っていたのは両親と、祖母

殆ど死んでる人との断たれた繋がり。

「おばあちゃんだけは生きてるな」


「お待たせ、少し遅れたね。」

「いえ、有難う御座います」

今会っているのは連絡先を知らない、だけど前から知っている人。

「話って何かな?」

「..瑠夏の事件について、知っている事を教えて頂けませんか」


「……。」

少女不変死事件、言葉を無くす凄惨な事件だったのだろうか。しかし聞かねばならない、例え話したくなくとも。

「亡くなったのは冴島 好花

当時16歳だったよ。」

瑠夏の姉、性格は真逆で凄く穏やかだったという。物静かな少女が、突然声を上げ、発狂して全身の骨を自ら砕いたという。

「親御の話によれば、本当に突然だったというよ。徐々にではなく、いきなり叫びを上げて全身の骨を..。」

警察が駆けつけた頃には、既に死んでいた状態だったという。全身を渦のように捻じ曲げ、涙を流して倒れていた

「気付かなかったよ。

あのとき現場にいた小さな子が瑠夏ちゃんだったんだね。」

不思議な光景だったという。姉が無惨に目の前で死んでいるというのに、泣くどころか冷たい目を向けていたと。


「気丈な子なんだね、あの子は。」

「......?」

疑問に感じた。

〝気丈に振る舞う〟というのが正しい表現なのだろうか。姉の死を受け入れるという意味ではそうなのだろう。

「有難う御座いました。

..瑠夏の親御さんにも、話を聞いてみます。思い出すのは辛いと思うけど」


「..無理だよ。」

「えっ?」

「瑠夏ちゃんの両親は、お姉さんが亡くなって直ぐに死亡した」

「嘘..!」

〝気丈な子〟だという意味がわかった

総ての思いや悲しみを、纏めて背負わそれたんだ。死と生の境界線を目の前で見させられ、庇う者は誰もいない。

「後を追うように首を吊ってた。

しかしあの子だけは頑なに、生きる事を選んだみたいだ。」


「瑠夏..」

私は確信した、次にベロニカが住み着くのは瑠夏の中。もしくはもう既に...

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