後半

 空き家を撤去作業をしていた人が、次々に足に軽い怪我をしていった。前に起きたとされる切断までのことは起きなかったが、気味は悪かった。


 真夏は、桜の家で遊んでいて、少し外は暗くなっていた。家に1人で帰るのが少し怖かったけど、あの全焼した空き家の前を通る時は、走って行こうと思い、その家の近くにやって来た。

「こっちに来て」と声が聞こえた。家の方かは分からない。足がすくむ。

「何やっての?」

後ろの方から違う人の声が聞こえる。背筋が凍る。

「なあ?」

触れられた。

「いやー」と叫ぶと、触れた者を突き飛ばした。

「お前、何してんだよ。大丈夫か?」

突き飛ばした相手は、同級生で同じマンションに住んでいる草刈くさかりたもつだった。

「ごめん」

「まあ、いいけど、そこに突っ立てると通行の邪魔になるぞ」

押し通してしまって、保はそこに座り込んでいる状態だった。

「うん、ごめん」

「いや、まあいいけど」


その瞬間、空間が歪んだ。

真夏は「うふ」と声を出した赤いワンピースを着た女性らしき人が目の前にいて、足元は片足しか見えなかった。

「来てくれて、うれしい」

何を言ってるのだろう。恐怖で、動けない。

「みんな、私を馬鹿にするの」

女がこっちを見てると思うが、顔をよく見えない。焼け焦げているようで、爛れている感じだった。

「なんで、そんな顔するの?」

口元だけが真っ赤な口紅をつけているので、笑っているように見えた不気味な感じがした。

「ここから出たい?」

出たいけど、声が出ない。

「ここに呼んで、実際に来たのはあなただけだよ。運命かしら」

女はずっと1人で話している。

「ここが燃やされる前にね。家に女が来たの。」

自殺したとされている人ね。

「人の家に勝手に来るなんて、不愉快だった。」

何を聞かされているのだろう。

「だって、彼女、家から出て行こうとするから、寂しいかったから、出れないようにしたの。女の足は綺麗だった。」

「どういうことですか?」真夏が女に言うと

女の口元が緩んだ。

首が紐で吊り上げるような感覚に陥る。息ができない。苦しい。


-----------

 保は、目の前に立っていた真夏がいなくなったことに、呆気にとられた。

「どうしたの?」

声を掛けられ、振り向くと真夏の父親だった。

「真夏が消えた」

その言葉しか頭に浮かんでこなかった。

「何を言っているのかな?」

まあ、信じれるはずはないのだろう。でも、他に説明のしようがなかった。真夏の父親はスマホをいじり始めた。

 保は焼け落ちた家の方をみると、静まり返っていた。それに真夏が戻ってくる様子はない。

「真夏は家に居る?・・・いない」

真夏の父親は血の気が引くようなほど、青ざめているように見える。

そして、また誰かに連絡を取り始める。

「子どもがいなくなった。あの家を調べてほしい」

警察に連絡をしたらしい。朝にならないと無理だと言われているらしく、だったら自分たちで行くと言い出している。

「では、待ってます」

それは困るのか、警察が来て、焼け落ちた家を捜索することになったらしい。

保も、真夏の父親と警察を待つことになった。

「消えただな」

「はい」

「そう、分かった」

「何かあったですか?真夏があの家にいるか分からないじゃないですか?」

保は子どもだ。大人たちはこの家のことで、また違うことを知っているのだろう。

「そうだな」と真夏の父親は言って、保にある話を始めた。それは、この前自殺を図ったされる女性が、興味本位でこの家に入ってらしい。それから、2週間しても戻っこないので、親から心配をして、探してほしいと警察に連絡はあり、捜索したところ、首を吊った状態で発見された。だた、その遺体には右足がなかった。

 また、この家に元々住んでいた娘が右足が太ももまでの状態で生まれて、阻害されるように育ち、1度も外に出されず、親に20才の時に顔を焼かれ、首を絞殺されて亡くなった。なので、その娘の仕業じゃないかと噂されている。


 警察がやって来て、捜査した結果、絞殺されたような形で右足を切断された状態の真夏の遺体が発見された。

 保は警察に、事情を聴かれることになった。親も同伴の上で行われた。真夏が急に消えたをしたぐらいで詳しくは聞かれず、話して終わった。


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 決して、その女と会話をしてはいけない。








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深紅の笑み 一色 サラ @Saku89make

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